オトナンサー|暮らしに役立つライフスタイルメディア

  • HOME
  • 「食中毒」は予防できる! 予防法と気を付けるべき食材を紹介

「食中毒」は予防できる! 予防法と気を付けるべき食材を紹介

夏のイメージがありますが、年中注意しなければならない「食中毒」。ここでは、料理や食材別の予防法と、家庭における予防のポイントについて解説します。

食中毒を予防するためのポイントとは

食中毒の「予防三原則」とは

 食中毒は、暑さで食品が傷みやすい夏に多いと考える人が多いかもしれません。しかし、食中毒を引き起こす菌の種類は非常に多く、気を付けるべき食材や対処法がそれぞれ異なるため、季節を問わず一年中注意しなければならないのです。ここでは、食卓に上がる機会の多い料理や食材別の予防法について料理研究家で管理栄養士の関口絢子さんに聞きます。

 まず、食中毒は意外と身近に起きており、ニュースで紹介されているのはごく一部です。厚生労働省発表によると、2016年の食中毒発生件数は全国で1139件、患者数は2万252人。これらは共に過去10年間の平均数とほぼ同じでしたが、同年の死者数は平均数の約3倍にあたる14人に上りました。

 食中毒の発生場所は、飲食店が約60%、仕出し屋が10%、給食施設が0.5%程度です。家庭は約10%ですが、病院で診察を受けなかったり、原因が特定できなかったりしたことで保健所に報告されていないケースが多くあると考えられています。この場合、厚労省が発表する件数には含まれません。つまり、この10%という数字は氷山の一角であり、実際はさらに多くの食中毒が発生していると考える専門家もいます。

 食中毒はこれまで「大量の菌がないと感染しない」「人から人へ直接感染しない」との考え方でしたが、わずか数十個の菌で感染するケースもあれば、食品ではなく人が感染源となるケースもあります。食中毒の予防三原則は、食中毒菌を「付けない、増やさない、やっつける」。食中毒菌の特性を知ることで三原則をよりうまく実践でき、有効な食中毒予防につながります。

【料理・食材別】気を付けたい食中毒

 身近な料理や食材ごとに、気を付けたい食中毒の対処法についてご紹介します。

【おにぎり・お弁当・サラダ】

 菌が付着した手でおにぎりを握ったり、お弁当やサラダを盛り付けたりすることで発生。原因菌の黄色ブドウ球菌は、人の皮膚や口、鼻の粘膜にあり、傷口ができると侵入して化膿します。ニキビなどが悪化した場合も同様。食後約1時間で吐き気や嘔吐(おうと)、腹痛などの症状が急速に現れる特徴があります。

 手指や顔に化膿しているところがある場合、食品に素手で触らず、手袋などを使うようにします。鼻やのどの粘膜にも菌がいるので、特にかぜのような症状がある場合はマスクを着用してください。おにぎりやお弁当を室温で長時間放置すると菌が分裂・増殖します。夏場は保冷剤や保冷バッグを活用し、6時間以内に食べるようにします。

【肉料理】

 焼き肉の際、生肉を扱う箸と食べる箸を一緒にしてしまったり、肉を切ったまな板を洗わずに生野菜を扱ったりすることで発生します。また、育児中の方のおむつ交換や、夏場の簡易プールなどで2次汚染のリスクも。原因菌はO-157などの腸管出血性大腸菌で、多くが牛の腸管内から汚染されます。食後平均3~5日たってから血便や激しい腹痛などの重い症状が現れます。

 熱に弱く、75度で1分加熱すると死滅します。加熱不十分のハンバーガーによる発生例もあるため、牛ひき肉を扱う場合もしっかりと加熱調理してください。焼き肉では、生肉を扱う箸と食べる箸を分けるのが重要。肉を切る時に使ったまな板は、しっかりと洗浄・消毒を行うか、野菜のまな板と区別するのがオススメです。

【卵料理】

 常温で放置した卵を料理に使ったり、卵を溶くために使用したボウルや泡立て器の洗浄が不十分なまま使用したりすることで発生します。原因菌は、鶏卵にまれに存在するサルモネラ菌。食後12~24時間で下痢を伴う腹痛、発熱がみられます。

 割卵した状態で常温保存すると菌が発生・増殖するため、割れた卵を常温で放置するのは絶対にNG。10度以下では発育できないため冷蔵庫で保存してください。65度で3分加熱すると死滅しますが、常温放置で菌が増殖した卵は危険なので注意が必要です。泡立て器など、凹凸があって洗いづらい器具もしっかり目で確認して洗浄を。

【魚料理】

 特に、夏場に刺身や寿司を食べることで発生します。原因菌の腸炎ビブリオ菌は3%の食塩濃度を好みます。海水温が20度以上になると大量に増殖するため、夏場に漁獲された魚介類には腸炎ビブリオ菌が付着しています。約7割は刺身、寿司などの生食用鮮魚介類で発生します。発症は食後2~3時間と短い場合、12時間程度の場合とさまざまで胃けいれんのような上腹部痛が特徴です。

 塩水を好むので、真水(水道水)の流水で魚介類を洗うのが効果的。酸や熱に弱いので、酢の物や加熱調理が有効です。調理用と記された魚介類は絶対に生食しないでください。また、4度以下でほぼ発育できず、冷凍庫では死滅するので、低温保存がオススメです。魚を切ったまな板で、漬物など塩分のあるものを切ると2次汚染の原因になるので注意が必要です。

【煮込み料理】

 カレーやシチューを鍋ごと常温放置することで発生します。原因菌となるウェルシュ菌は食肉や魚、土壌などあらゆる場所に存在し、酸素がない状態でしか発育しない珍しい菌。煮込み料理が徐々に冷却されていく過程で、菌が急速に増殖します。症状は下痢や腹痛で食後10時間前後で発症します。

 菌は45度の温度帯を好むため、常温で放置すると増殖のリスクが高まります。カレーなどの残りをすぐに食べない場合は、粗熱を取ってから冷蔵庫で保管してください。菌は酸素を嫌うので、粗熱を取る間も適度にカレーをかき混ぜ、空気を含ませることでさらなる予防効果も。なお、ウェルシュ菌A型は100度で4時間の加熱に耐えるため要注意です。

【カキ(二枚貝)】

 生カキを食べることで発生します。まれに、アサリや赤貝、シジミ、ハマグリなどカキ以外の二枚貝が原因になる場合も。低温・乾燥に強いため、11月~3月ごろの寒い時期に多発します。原因菌はノロウイルスですが、カキに蓄積されている菌は中で増殖せず、それを食べて汚染された人の糞便や吐物が空気中に浮遊することによって感染・蔓延します。食後1~3日で腹痛や嘔吐、下痢を発症し、1~2日間症状が続きます。

 感染予防には、カキの生食を避けるのが最も効果的。85~90度以上で90秒以上の加熱調理も有効です。アルコール消毒は効果が薄いので、次亜塩素酸ソーダなどの消毒を行うのがベスト。また、人から人へ感染するため手洗いやマスクの着用は基本です。家族がノロウイルスに感染した場合は適切に対応してください。

【蜂蜜】

 蜂蜜に含まれるボツリヌス菌の耐性ができるのは幼児期以降。生後1歳未満の乳児は耐性がなく、大腸内で増殖して中毒症状が起きます。とろみがあり、溶けやすいので離乳食に利用しがちですが、1歳未満の乳児には絶対に食べさせないでください。また、大人が食べるお菓子にも蜂蜜が使われている場合が多いため、誤って乳児が口に入れないように注意が必要です。

家庭における食中毒の予防法

 食材の購入から、でき上がった料理を保存するまでの間に注意したいポイントをまとめました。

【購入する時】

 消費期限と、加熱調理の必要の有無をチェックします。保冷剤や保冷バッグ、無料で利用できるスーパーの氷などを活用し、購入後はなるべく早く家に持ち帰るようにしてください。

【保存する時】

 肉や魚の汁漏れがないか確認し、すぐに冷蔵庫や冷凍庫に入れてください。

【料理の下ごしらえの時】

 手や顔の傷口をチェックし、手洗いを徹底することが重要です。使用する器具類はきれいに洗って乾燥されたものかを確認しておきます。食材は使用する直前に冷蔵庫から出し、よく洗ってください。まな板は、肉用と魚用、野菜用に区別するのがオススメですが、難しい場合は肉や魚を扱った後に熱湯をかけて消毒してください。

【調理中】

 食材の下処理で手が汚れているので、加熱調理の工程に移る前にもう一度手を洗います。仕込み途中の食材はいったん冷蔵庫に保存しておきます。調理では、しっかりと加熱し、盛り付け前には調理台と手を清潔にしてください。

【食事中】

 食べる前に必ず手洗いを。焼き肉などの時は菜箸をうまく活用しましょう。

【残った料理を保存する時】

 調理してから時間がたち過ぎたものは、思い切って捨ててください。小分けにして保存することで早く冷やすことができ、食べる時に必要な分を取り出しやすくなります。

食中毒を予防して、安全な食卓を

「食中毒菌にも個性があるため、全て火を通せば大丈夫というわけではありません。菌の特性を正しく知ることが、効果的な予防につながります。食中毒菌を撃退して、おいしく安全な食卓を作りましょう」(関口さん)

(オトナンサー編集部)

関口絢子(せきぐち・あやこ)

料理研究家・管理栄養士・インナービューティースペシャリスト

米国栄養カウンセラー、ヘルスケアプランナー。企業やウェブサイトなどの各種メディアで、レシピやコラム、企画提案などを行う。斬新なアイデアやニーズを捉えた企画が人気を博し、CM用のフードコーディネートやフードスタイリング、商業施設のフードプロデュースなど多岐にわたり活動。「毎日続けられること」をモットーに簡単・おいしい・おしゃれ、かつ美容と健康に直結したレシピを発信。自らの体調不良を食で克服した経験から執筆した著書「キレイになる!フェロモンレシピ」で「食から始めるアンチエイジング」をテーマに、女性が一生輝き続けるための食事法を紹介。セミナーや女性誌の特集で人気を集めている。オフィシャルブログ(http://ameblo.jp/ayako-sekiguchi/)。