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善意でも…? 店員の「何かお探しですか?」はなぜ嫌われるのか

お店で欲しいものを探していると、店員が「何かお探しですか?」などと声掛けをしてくることがありますが、この声掛けが嫌われることもあるそうです。なぜでしょうか。

店員の「声掛け」、なぜ嫌われる?
店員の「声掛け」、なぜ嫌われる?

 洋服や靴を購入するために店内で欲しい商品を探していて、店員から、「何かお探しですか?」などと声掛けをされた経験がある人は多いと思います。しかし、こうした店内での声掛けに嫌悪感を抱く人も増えているようで、ネガティブに捉える声をよく聞きます。店員は「お客さまのために」という善意で声掛けをしているはずですが、なぜ、「何かお探しですか?」などの店員の声掛けが嫌われることがあるのでしょうか。経営コンサルタントの大庭真一郎さんに聞きました。

防犯目的で行うケースも

Q.商品を見ている客に対し、店員はどのような目的で声掛けをするのでしょうか。また、「何かお探しですか?」以外の、代表的な店内での声掛けはありますか。

大庭さん「店員による声掛けは客に『商品を買うかどうかを考えるきっかけを与える』のが主な目的です。客は店内に陳列されている商品の中から、欲しいものを選んでいるのですが、その過程で特定の商品に興味を持ったとしても、商品についての知識が少ないことが原因で十分に検討することなく、売り場から離れてしまうことがあります。そうした理由による販売機会の逸失を防ぐため、店員が声掛けを行うことが多いです。

それ以外にも、店員が売りたい商品を客にすすめる目的や、店員の存在を客に示すことによる防犯の目的で声掛けを行っているケースもあります。販売機会の逸失を防ぐために声掛けをする場合、『何かお探しですか?』という言い方以外に『試着されますか?』『お客さまの○○とお似合いですね』などの声掛けが行われることもあります」

Q.「客に積極的に声掛けをした方が売り上げが上がる」という意見もあるようです。本当でしょうか。

大庭さん「本当です。店内での対面販売が主流であった時代には、客に対して積極的に声掛けを行うことで販売確率が高くなるという発想がありました。『AIDMA(アイドマ)の法則』というマーケティングに関する考え方に基づいた発想です。店員から客に声を掛けることで、客に商品の存在を認知させ、興味を引くような言葉で接客し、買うことを前提とした行動を取るように誘導することで販売確率を高めていました」

Q.一方で、店員の声掛けに嫌悪感を抱く客もいるようです。なぜ、「何かお探しですか?」などの店員の声掛けが嫌われることがあるのでしょうか。

大庭さん「客が店に入店する目的はそれぞれです。『この商品を購入しよう』と決めて来店する客がいる一方、どのような商品が売られているのかを何となく見に来ただけの客もいます。自分のペースでゆっくりと選びながら買い物をしたい客もいます。

何となく見に来ただけの客や、自分のペースでゆっくりと選びながら買い物をしたい客からすると、店員の声掛けが『何か商品を買え! 買え!』と追い込んでくるように感じてしまうのです。そのように感じると、店内の商品に対して興味を抱くことなく退店してしまいます。

難しいことではありますが、店員には店内の客の様子を観察した上で、商品を購入してくれそうな客に対して、客の気持ちを不快にさせない最適なタイミングで声掛けを行う技量が求められます」

Q.店内での声掛けを嫌う客は増えてきているのでしょうか。増えてきている場合、どのような年代の人の間で増えてきているのでしょうか。

大庭さん「近年、お店では商品を確認するだけで、実際はインターネットで購入する『ショールーミング』といわれる買い物のスタイルも一般的になっています。そのため、来店する客の目的はお店で商品を購入するというよりも、何となく見に来ただけや、自分のペースでゆっくりと商品を選びたいなど多様化しています。

特に、若年層にはショールーミングが定着しています。実物の商品を確認するため来店しただけなのに『購入してほしい』と声掛けをしてくる店員の接客に対し、疎ましく感じる人が増えてきているのではないかと私は感じています」

Q.自分のペースで商品を探していて、「何かお探しですか?」などと声掛けをされたくないとき、その意向を客はどのようにして店員に伝えたらよいのでしょうか。

大庭さん「直接的には『声を掛けられても無視をする』『手ぶりなどで接客が不要である意思を示す』ことで、店員はそれ以降の声掛けをしなくなります。しかし、そのような反応を示すことも煩わしい、最初から声を掛けてこなければいいのにと思う客もたくさんいます。

そのような客向けに、衣類や小物類を販売する『アーバンリサーチ』というセレクトショップが2017年から、全国23店舗で、『声掛け不要』を合図する店内用のショッピングバッグの設置を開始し、話題を集めました。目に見える形で『声掛け不要』の合図が分かる取り組みを行っているお店があれば、それを利用することも一つの方法だと思います」

(オトナンサー編集部)

大庭真一郎(おおば・しんいちろう)

中小企業診断士、社会保険労務士

東京都出身。東京理科大学卒業後、企業勤務を経て、1995年4月に大庭経営労務相談所を設立。「支援企業のペースで共に行動を」をモットーに、関西地区を中心に企業に対する経営支援業務を展開。支援実績多数。以下のポリシーを持って、中堅・中小企業に対する支援を行っている。(1)相談企業の実情、特性に配慮した上で、相談企業のペースで改革を進めること(2)相談企業が主体的に実践できる環境をつくりながら、改革を進めること(3)従業員の理解や協力を得られるように改革を進めること(4)相談企業に対して、理論より行動重視という考えに基づき、レスポンスを早めること。大庭経営労務相談所(https://ooba-keieiroumu.jimdo.com/)。

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