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一定の距離が奏功? 結婚4年、35歳女性が“姑”とうまくいっている理由

昔から、うまくいかないとされている嫁と姑の関係ですが、最近は、必ずしもそうとはいえないという認識が広がっているようです。実情はどうなのでしょうか。

「嫁と姑」がうまくいっているケースも
「嫁と姑」がうまくいっているケースも

“うまくいかない関係”の代名詞の一つである嫁姑(しゅうとめ)問題ですが、最近は「嫁と姑は必ずしも反目するわけではない」という認識が広まってきているようです。ある調査によると「姑と仲が良い」と回答した31~60歳の女性は2割程度にとどまったのに対し、20~30歳の女性は5割強が「仲が良い」と答え、若い世代ほど嫁姑問題が勃発していない傾向が見られました。

 では、嫁姑問題はどのような状況や、どのような家族関係のときに起こりやすいのでしょうか。嫁姑の関係がうまくいっているケース、そうでないケースを参考にその原因を探ってみたいと思います。

姑とは適度な距離感を保つ

 Aさん(35歳、女性)は結婚4年目で姑と仲が良いそうです。姑との連絡は週1~2回のLINE、会うのは家族ぐるみで月1回ほどの頻度です。Aさんは、関係がうまくいっている理由を次のように話してくれました。

「心理的にも物理的にも適度な距離感を保てているのがよいのかと思います。近過ぎるとお互いの嫌な部分が見えてしまいそうですが、現状はお互いを気遣う、気持ちのよいやりとりしかしていません。連絡がLINEというのもありがたいです。電話が苦手で、拘束されてしまう感じがどうしても強くなるので。

夫の実家は家から電車で約1時間の場所にあり、気軽に行くことはできるけれど、ご近所さんというほどではない距離です。結婚前から“核家族”に強い憧れがあったので、結婚後に実家から過剰な干渉があったら、すごくストレスだったと思います」(Aさん)

 平穏な嫁姑関係を築けているAさんですが、何か意識して実践していることはあるのでしょうか。

「義母とは初めて会う前から、『ぜひ仲良くしたい』と考えていて、実際に会い、さらにその気持ちが強くなりました。同時に、いい関係を続けるために一定の距離を保つことを心掛け、それを念頭に置いて新居を探しました。将来的に同居するかもしれませんが、結婚後すぐの同居は私には無理だったと思います」

 人との相性ばかりは運の要素が強いので、努力でどうにもならないこともありますが、Aさんの場合はその点に関しては恵まれたようです。加えて、相手に対して心を開いたこと、前もって、「これはしないでおこう」と冷静に見極め実践できたことがAさんと姑の関係を良好なものにしているのでしょう。

たっぷりと家事を手伝わされ…

 一方、「姑と仲良くしたい」と心を開いていても、うまくいかないケースもあります。

 都内在住のBさん(40歳、女性)は夫の実家が東北地方にあり、Bさん一家は盆と正月の年2回、計15日間ほどを夫の実家で過ごします。結婚して9年になりますが「姑とは無理かも」と悟ったのは結婚3年目だそうです。

「姑はいかにも“一家を切り盛りしてきたお母さん”という感じで元気にあふれ、おとなしい性格の私とは正反対です。結婚当初はそれが魅力的に映り、姑を実の母のように慕う気持ちがありましたし、姑も『こんなにかわいいお嫁さん』とかわいがってくれました」(Bさん)

 夫の実家へ初めて帰省した際、Bさんは気合を入れてよく働きました。

「夫の実家の価値観は古く、『家事はすべて女性がやる』というものでした。夫の兄弟もそれぞれ奥さんを連れて帰省していて、姑が私たち女性を取り仕切って次々に家事を命じていきます。最初は『お役に立てれば』と頑張っていたのですが、いくら家事を手伝っても報われているように思えず、姑の人使いも結構荒いのでかなり疲れました」

 Bさんは毎年、盆と正月に自分の実家にも帰省し、2、3泊します。しかし、夫の実家での滞在期間に比べ極端に短いので、夫に「私の実家への帰省ももっと長くしたい」と提案しましたが、返事は冷たいものでした。

「『それだと、うち(夫の実家)にいる時間が短くなっちゃうじゃないか。うちには毎年、きちんとあれくらいの期間帰らなきゃいけないんだから』と言われ、途方に暮れました」

 Bさんは半強制的に夫の実家へ帰省させられ、たっぷりと働かされることを繰り返しました。大きなストレスでしたが、最初は「弱音を吐く自分が悪い」と考えていたそうです。ある夜、その日の家事を終えて、ようやく布団に入ったBさんはふいに「どうして、私がこんなに大変な思いをしなければならないのだろう」と思いました。

「私の意思が全く考慮されていないことに気付き、腹が立ったのです。古い価値観で私が大変な思いをするのならば、夫には防波堤の役割を担ってほしかったのですが…。ずっとモヤモヤしていましたが、ようやくはっきりと『姑とは無理だ』と気付きました。結婚当初のように姑が私をかわいがることもなくなり、私が姑を慕う気持ちはもう、みじんも残っていません」

 結婚を予定するカップルは夫婦関係を長続きさせるため、伴侶との価値観の擦り合わせを行わないといけません。Bさんはそれがうまくいかず、結果的にBさんの姑嫌いを招いていると言ってよいかもしれません。

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武藤弘樹(むとう・こうき)

フリーライター

早稲田大学第一文学部卒。広告代理店社員、トラック運転手、築地市場内の魚介類卸売店勤務などさまざまな職歴を重ね、現在はライターとミュージシャンとして活動。1児の父で、溺愛しすぎている飼い猫とは、ほぼ共依存の関係にあるが本来は犬派。趣味はゲームと人間観察。

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