オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

ただの迷信? それとも…「暗い所で本を読むと目が悪くなる」のは本当か

視力低下を防ぐ「最適な環境」

Q.眼科医として、暗い所で読書やパソコン作業、スマホ操作などを行うことは容認できますか。

川名さん「基本的に暗い所での読書は疲れますし、姿勢も悪くなりやすい上に肩が凝ることもあるのでおすすめしません。パソコンやスマホの作業は暗い場所であることが必ずしも、目に悪影響を及ぼすわけではありませんが、一般的に『暗い状態』というのは夜間であり、その時間帯に発光するディスプレーなどを長時間見ると体内時計のリズムが狂うことがあります。明るい状態で、ほどほどの時間に限って見るのがよいのではないでしょうか」

Q.読書やパソコン作業などを行う際、視力の低下を防ぐ意味での「最適な環境」とは。

川名さん「読書やパソコン作業などは300~500ルクス程度の明るさがよいとされています。『晴れた日に、窓がある部屋で薄いカーテンを引いた程度』の心地よい明るさが目安です。照明の色については白色系だと集中を高め、暖色系だとリラックスできるといわれています。読書はおおよそ30~45センチ程度、パソコン作業は50~100センチ程度の距離が標準です。

最近のパソコンはディスプレーの輝度が割と高めに設定されているので、輝度を抑える方が目にとって楽です。私は診療で電子カルテを使いますが、画面の輝度はかなり下げています。また、ディスプレーの高さは目線よりやや下の方が望ましいです。目を大きく開ける必要がなく、涙の蒸発を抑えられるので、ドライアイ対策にもなります。読書もパソコン作業もつい長時間になりがちですが、同じ距離で物を見ていると眼精疲労につながりやすいので、1時間ごとに5~10分程度休憩するのが望ましいです」

Q.やむを得ず、暗い所で読書やパソコン作業などを行う場合、注意すべきことはありますか。

川名さん「なるべく避けるのがベストですが、やむを得ない場合は時間を決めて休む(遠くを見る、違うことをする)ことが大切です。読書よりもパソコン作業の方が目の乾きや肩凝りを感じやすいので要注意です」

Q.その他、空間の明るさと視力、目の疲労の関わりについて、日常生活で意識するとよいポイントとは。

川名さん「現代はパソコンやスマホの使用機会がますます多くなり、目を酷使しています。パソコンよりもスマホの方がより近くで画面を見る必要があるため、眼精疲労を引き起こしやすいです。10代や20代では『急性内斜視(寄り目)』とスマホの使用時間が関係しているのではないかと推測されています。

急性内斜視は軽症であれば、使用時間を抑えることで回復することもありますが、重症になると物がいつもダブって見えてしまい、生活に影響を及ぼします。使用時間を抑えても治らない場合には手術が必要です。また、ベッドでスマホを使用する人も多いと思いますが、ブルーライトや照度の問題で質のよい睡眠が取れなくなることもあるので、節度のある使い方が望ましいです」

(オトナンサー編集部)

1 2

川名啓介(かわな・けいすけ)

医師(眼科)

医療法人社団かわな眼科院長・理事長。1999年、筑波大学医学専門学群卒業。筑波大学付属病院、日製日立総合病院、総合病院土浦協同病院勤務を経て、2006年から筑波大学大学院人間総合科学研究科講師となる。2009年、かわな眼科を開設。「快適な目で、人生に潤いを」を目指し、患者さんに分かりやすい医療を提供することを目指している。専門分野は白内障、緑内障。かわな眼科(https://kawanaganka.com/)。

コメント