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彼氏に怒られた彼女…炊飯器の「内釜」で米を研いでもいい? それともダメ?

炊飯器の「内釜」で米を研いではいけないといわれることがあります。実際のところはどうなのでしょうか。

内釜で米を研いでも大丈夫?
内釜で米を研いでも大丈夫?

「炊飯器の内釜で米を研いでいたら、彼氏に『釜が傷つくだろ』と怒られた」
「(彼氏が)『コイツ、炊飯器の内釜で米研ぐんだぜ? 信じられない!』と周囲に触れ回った」
「(内釜で米を研ぐのは)そんなに変なこと?」

 先日、こうした内容の投稿が新聞のコーナーに寄せられ、ネット上では「内釜以外で研いだことはない」「米を研いだくらいでは傷つかない」など、内釜で米を研ぐことに肯定的な意見が多く寄せられました。

 炊飯器の内釜で米を研いでも本当に問題はないのでしょうか。また、コーティングが剥がれた内釜を使い続けた場合、米の炊き具合や人体に影響はあるのでしょうか。炊飯器の製造・販売を行う象印マホービン(大阪市北区)の第一事業部、三嶋一徳サブマネージャーに聞きました。

フッ素被膜の耐久性が進歩

Q.「内釜で米を研ぐと、釜が傷つく」と主張する人がいます。炊飯器の内釜で米を研いでもよいのでしょうか。また、象印マホービンの炊飯器は、内釜で米を研ぐことを想定して製造しているのでしょうか。

三嶋さん「現在、当社で製造・販売しているすべての炊飯ジャーは内釜で洗米可能です。元々、内釜で洗米することを想定して製造しています。20年以上前は『内釜で洗米しないでください』と案内していましたが、その後、内釜内面のフッ素被膜の耐久性の技術が進歩したため、内釜でも洗米できるようになりました。ただし、洗米のときに内釜の内面を傷つけるような使い方をしないことが前提です」

Q.「内釜の内面を傷つけるような使い方」とは。

三嶋さん「内釜のフッ素被膜を傷つけないためにも、次のように取り扱うことをおすすめします。

【準備のとき】
・米に混じっている異物(石など)を取り除いてから、米を洗う
・泡立て器などで米を洗わない
・金属製のざるを内釜に入れて米を洗わない

【米が炊き上がったとき】
・すし飯などを作るとき、釜に直接酢を混ぜない
・おかゆなどをすくうとき、金属製のおたまを使わない
・米をよそうとき、しゃもじなどでたたかない

【洗うとき】
・スプーンや食器類を入れない
・食器洗い乾燥機、食器乾燥器に入れない
・調味料を使った場合はすぐに洗う
・スポンジなどの柔らかい物を使って洗う
・シンナー、ベンジン、みがき粉、研磨剤入り洗剤、漂白剤、たわし類、メラミンスポンジ・スポンジのナイロン面などを使わない

なお、米がおいしく炊ける状態をできるだけ長く保つためには、炊飯後、各製品の取扱説明書に記載されている方法に従って、手入れを行うことが大事です」

Q.米を研ぐときの注意点や米をおいしく炊き上げるための手順について教えてください。

三嶋さん「現代の米は精米技術が進化したため、ぬかが少なく、きれいで繊細です。そのため、米は手で優しく洗ってください。昔のようにざるなどを使って研ぐ必要はありません。米は指を立てて洗いましょう。手のひらで米を押し付けて洗うと米粒が欠けたり、つぶれたりします。米をおいしく炊き上げるには、次の手順で作業するとよいでしょう。

【(1)米をすすぐ】
米を入れた内釜にたっぷり水を入れた後、指を立てて2、3回大きく手早くかき混ぜ、すぐに水を捨ててください。水に浸している時間が長いと米がぬか臭くなります。この一連の作業を2回繰り返します。

【(2)米を洗う】
(1)のすすぎが終わったら、まずは米だけの状態で、指を立てて釜の内側に沿って30回かき混ぜてください。その後、水を入れて2、3回大きくかき混ぜ、すぐに水を捨てましょう。この一連の作業を米の量に応じて、2回から4回繰り返してください。繰り返す回数の目安ですが、米の量が4カップ未満の場合は2回、4カップ以上8カップ未満の場合は3回、8カップ以上の場合は4回です。

【(3)再度米をすすぐ】
米を洗い終えたら、仕上げとして再度米をすすぎます。(1)と同様、内釜にたっぷり水を入れた後に指を立てて、2、3回大きく手早くかき混ぜ、水を捨ててください。この一連の作業を2回繰り返します」

Q.「無洗米」を炊く人の中には「一切洗米せずに、そのまま水を入れて炊く」という人もいるようですが、本当に洗米しなくても問題ないのでしょうか。また、洗米しなかった場合、製品の劣化につながる可能性はないのでしょうか。

三嶋さん「無洗米は洗わずに炊けるように、米の表面を削ったものです。そのため、洗わずに炊けますし、洗わなかったからといって製品の劣化につながることもありません。ただ、炊く前に軽くすすぐと米の削りかすが落ち、よりよい炊き上がりになると思います」

Q.炊飯器本体や内釜の耐久年数について教えてください。また、フッ素被膜が剥げた内釜や傷が付いた内釜を使い続けたり、炊飯の過程で剥げた被膜が体内に入ったりした場合、米の炊き具合や人体に影響はあるのでしょうか。

三嶋さん「製品の耐久年数については、お客さまの使い方によるところもあり、一概にはいえません。剥がれた被膜が体内に入ったとしても人体への影響(害)はありません。また、被膜が剥がれた内釜や傷がついた内釜でも炊飯や保温は可能です。しかし、内釜の状態によっては内釜の温度がうまくコントロールできず、米の炊き上がりに変化が生じるなどの影響が出ることも考えられます。

また、被膜が剥がれることで内釜に米がこびりつくようになるため、使いにくくなります。被膜が剥がれたら早めに内釜を交換したり、製品を買い替えたりすることをおすすめします。最近の炊飯技術の進化は早く、5年もたてば、おいしさのレベルは確実に向上します。炊飯器は日本人にとって大事な生活必需品なので、最新の炊飯技術が詰まった炊飯ジャーで、よりおいしく炊き上がった米を食べていただきたいと思います」

(オトナンサー編集部)

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