子どもが「おむつかぶれ」を発症したらどうする? 症状・原因・予防法を解説
子どもにおむつをはかせていると「おむつかぶれ」になることがあります。もし、子どもがおむつかぶれを発症した場合、どのように対処すればいいのでしょうか。
子どもにおむつをはかせていると、尻や股にかぶれ、湿疹、ただれの症状が見られることがあります。「おむつかぶれ」といわれるもので、お尻がかゆそうな様子を見せたり、入浴時に痛がって泣いたりするため、できるだけ早い段階で治したいところです。もし、子どもがおむつかぶれを発症した場合、どのように対処すればいいのでしょうか。また、おむつかぶれは他の皮膚の病気とは何が違うのでしょうか。
アヴェニュー表参道クリニックの佐藤卓士院長(皮膚科・形成外科)に聞きました。
高温多湿の夏になりやすく…
Q.おむつかぶれの主な症状や、おむつかぶれになる原因について教えてください。どのようなときに、なりやすいのでしょうか。
佐藤さん「赤ちゃんの皮膚は薄く、角質層のバリアー機能が未熟なため刺激を受けやすいです。おむつをずっとはいていることにより、おむつの中では長時間、蒸れた状態が続き、皮膚がふやけた状態になります。その部分にさまざまな刺激が加わると、おむつと直接触れている肌の部分が炎症を起こして真っ赤になったり、ポツポツと小さな赤い湿疹ができたり、皮膚がただれたりします。これらの症状をおむつかぶれといいます。
症状が悪化すると尻全体が真っ赤になったり、水ぶくれができたりするほか、皮膚のただれた部分から出血してしまうこともあります。赤ちゃんはかゆみや痛みを感じて、泣いたり、むずかったりします。
刺激の原因となるのは尻に付着している尿や便の成分、尻を拭くときの摩擦、汗などです。おむつの素材が赤ちゃんの肌に合っていない場合もかぶれを起こします。サイズの合っていない小さいサイズのおむつも肌をこすってダメージを与えてしまうため、注意が必要です。特に気温と湿度が高い夏は汗をかきやすく、おむつの中が蒸れやすくなるため、おむつかぶれになりやすいです」
Q.もし、子どもがおむつかぶれになった場合、どのように対処したらよいのでしょうか。医療機関を受診する目安や子どもの尻をケアする上での注意点について教えてください。
佐藤さん「軽い赤み程度であれば、手でよく泡立てた石けんで優しく洗って、おむつ交換のたびにワセリンや亜鉛華軟こう(酸化亜鉛を含む軟こう)などを塗って保護するだけでよくなることも多いです。ワセリンや亜鉛華軟こうはクリニックでの処方だけでなく薬局でも購入できます。数日たってもよくならない場合や、水ぶくれができたり、ジクジクしたりしているときは皮膚科を受診してください。
また、おしりふきは便利ですが、こすって拭くことが刺激となり、炎症が悪化することがあるので優しく拭くようにしてください。ただれがひどい場合、おしりふきは使用せず、ぬるま湯で洗い流して柔らかいタオルやガーゼなどで水分を押さえ拭きしてください」
Q.おむつかぶれは、あせもやアトピー性皮膚炎とは何が違うのでしょうか。また、おむつかぶれと症状が似ていて紛らわしい病気はありますか。
佐藤さん「あせもやアトピー性皮膚炎との違いは、炎症がおむつが触れている部分だけに起こることです。ただ、夏はおむつの中にもあせもができやすく、『おむつかぶれかと思ったら、実はあせもだった』という場合もあります。おむつかぶれと紛らわしい湿疹に、カンジダ菌によって引き起こされる『カンジダ皮膚炎』があります。カンジダ菌は腸の中や口の中に常在しているカビの一種(真菌)で、皮膚に感染すると赤い湿疹ができます。
カンジダ菌は高温多湿な所を好んで繁殖します。先述のように、おむつをはいた赤ちゃんの尻やその周辺は蒸れやすいため、菌が繁殖しやすいです。おむつかぶれだと思って対応してもなかなか治らない場合、このカンジダ皮膚炎の可能性があります。治療には抗真菌薬の塗り薬を使います」
Q.乳幼児に紙おむつをはかせていると、肛門の部分だけが真っ赤になることがあります。これもおむつかぶれの症状の一つなのでしょうか。それとも、おむつかぶれとは別の病気なのでしょうか。
佐藤さん「肛門の周りがうっすら赤くなってきたら、おむつかぶれの初期症状のサインです。かゆみやヒリヒリとした痛みがあるため、 赤ちゃんが尻に手をやって気にしたり、おしりふきで尻を拭くときに痛がったりすることがあります。先述のように、症状が出た部分にワセリンや軟こうを塗るなど、おむつかぶれの対策をしましょう」
Q.おむつかぶれを防ぐために、日頃からどのような対策が求められるのでしょうか。気を付けるべき点について教えてください。
佐藤さん「おむつかぶれを予防・改善するためには、次のことに気を付けましょう。
(1)尻を清潔に保つ
おむつかぶれを発症する一番の原因は尿や便が付着して、蒸れたおむつをはき続けることです。おしっこや便でおむつが汚れたら、すぐに尻を拭き取ったり洗ったりして、おむつを交換しましょう。その際、おしっこや便をしっかり取り除くことは大事ですが、ゴシゴシとこすりすぎないようにやさしく丁寧に拭き取りましょう。肌に刺激を与えないよう、水分をたっぷり含んだ布やシート、コットンを使ってください。便のときは、ぬるま湯を入れたシャワーボトルを使って洗い流すのもおすすめです。
尻を拭いた後や尻を洗い流した後はしっかり、肌を乾かすことが大事です。そのためには、乾いたタオルでやさしく水分を拭き取りましょう。このようなケアをしても症状が改善しない場合、先述のように、おむつが肌に合わずにおむつかぶれを起こしているケースも考えられるため、一度他の製品に変えてみるのもいいでしょう。紙おむつは基本的に赤ちゃんの肌に優しい素材でできていますが、赤ちゃんと製品との相性には個人差があります。
(2)サイズの合ったおむつ、通気性のよいおむつを選ぶ
先述のように、サイズが小さいおむつは、おむつかぶれの原因となります。紙おむつのサイズは基本的には体重を目安に選びますが、ウエストと脚周りがきつくて、おむつを外したときに跡がついている場合は、サイズが合っていない証拠です。1つ上のサイズのおむつに変えましょう。そうすることで、肌とおむつとの間の通気性がよくなります。
なお、布おむつは綿や麻、バンブー(竹布)など赤ちゃんの肌に優しい素材を使っている製品が多いものの、紙おむつに比べて、赤ちゃんがおしっこをした後の通気性がよくありません。布おむつを使うときは、尻が蒸れてしまわないように小まめにチェックしましょう」
(オトナンサー編集部)
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