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不倫も…最後は結ばれなかったけど、結ばれてほしかった朝ドラ男女ペア5選

田幸和歌子さんが選ぶ「テレビドラマ●選」。今回のテーマは「最後は結ばれなかったけど、結ばれてほしかった朝ドラ男女ペア5選」です。

有村架純さん(2020年1月、時事通信フォト)、竹内涼真さん
有村架純さん(2020年1月、時事通信フォト)、竹内涼真さん

「○○年代を代表するラブストーリー」「△△役がハマる俳優」など、テレビドラマにまつわるさまざまなテーマについて、テレビドラマに詳しいライターの田幸和歌子さんが「●選」の形式で紹介、解説します。

 今回のテーマは「最後は結ばれなかったけど、結ばれてほしかった朝ドラ男女ペア5選」です。

朝ドラ史上初めての不倫で…

■尾野真千子さん&綾野剛さん 「カーネーション」(2011年度後期)

 世界的デザイナー・コシノ3姉妹の母親、小篠綾子さんをモデルに、大阪・岸和田の呉服商の娘として生まれたヒロイン・小原糸子(尾野さん)が20歳で洋装店を開業、その後、女手一つで3人の娘を育て上げる奮闘記を描いたストーリー。

「朝ドラ史上最高傑作と名高い作品。朝ドラで初めて不倫を描いたことで批判もありましたが、一方で、激しくも悲しい恋に夢中になる視聴者が続出しました」(田幸さん)

「恋を知らずに結婚した糸子にとって、遅すぎる初恋相手だったテーラー職人・周防龍一(綾野さん)。切れ長の目や素朴な長崎弁、柔らかな雰囲気で三味線を弾く姿、テーラー職人としての確かな腕など、ヒロインと多くの女性視聴者がうっとりしてしまうポイントだらけでした。

さらに、妻子がありながら、ヒロインの愛の告白を『おいも好いとった』と受け入れてしまうズルさと優しさを持ち合わせる一面も。糸子が彼のための店を出してあげたことが、結果的に夢を奪ってしまい、恋が終わるというのも悲しく美しい形でした」

■有村架純さん&竹内涼真さん 「ひよっこ」(2017年度前期)

 東京五輪が開催された1964年から始まる物語で、茨城県北西部の村に生まれ、集団就職で上京したヒロイン・谷田部みね子(有村さん)が初めて見る東京に戸惑いながらも、友人や仲間に支えられ、さまざまな試練を乗り越えて成長していく姿を描いたストーリー。

「貧富の差ゆえに結ばれなかった、みね子と慶応ボーイの御曹司・島谷純一郎(竹内さん)の2人が切ないです」

「島谷が恋人のみね子を大学に連れて行き、友人に紹介した場面で、みね子は自分が島谷にふさわしくないと引け目を感じますが、島谷が『かわいそうな女の子ではなく、谷田部みね子を好きになったんだ』『金を持っているのは俺じゃないよ、おやじだよ。学費を払っているのも俺じゃない。俺はお金持ちの大学生っていう名前の人間じゃない』と言うシーンにグッときました。

さらに、父の縁談を断って家を捨てようとする島谷に、わざと突き放すような物言いをして自ら身を引くみね子。その思いを理解して去る島谷。別れのときが来ることを恐れ、長い沈黙の時間を過ごす2人が切なすぎました」

■広瀬すずさん&吉沢亮さん 「なつぞら」(2019年度前期)

 連続テレビ小説100作目の作品。北海道・十勝で、優しい大人たちに囲まれて育った戦災孤児のヒロイン・奥原なつ(広瀬さん)が後に上京し、日本アニメの草創期を舞台にアニメーターを目指して真っすぐに生きる姿を描いたオリジナルストーリー。

「目がくらむほど美しい2人。吉沢さんの存在がまぶしく、異世界のようなはかなさがあって、登場した瞬間に死亡フラグが見えるほどです」

「戦災孤児のなつにとって、ずっと味方でいてくれ、絵心を教えてくれた存在でもあった山田天陽(吉沢さん)。子役時代も非常にかわいかったですが、吉沢さんに交代してからの女性たちの食い付き方はすさまじいほどでした。

上京するなつに『頑張れ』と言って背中を押すのと同時に『帰ってくるのを待たない』と宣言した天陽は、別の女性とあっさり結婚してしまいます。2人が結ばれることはなかったものの、北海道で農業をしながら、絵を描いて暮らす天陽が若くして亡くなるときの幻想的なシーンも話題になりました」

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田幸和歌子(たこう・わかこ)

ライター

1973年長野県生まれ。出版社、広告制作会社勤務を経て、フリーランスのライターに。Yahoo!公式コメンテーター「エンタメライター」。週刊誌・月刊誌・ウェブ等で俳優・脚本家・プロデューサーなどのインタビューを手掛けるほか、ドラマコラムをさまざまな媒体で執筆中。エンタメ記事は毎日2本程度執筆。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)、「KinKiKids おわりなき道」「Hey!Say!JUMP 9つのトビラが開くとき」(いずれもアールズ出版)など。

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