集中力なく、何もかも面倒…つらい「鼻水」、食べ物で改善できる?
この時季、花粉症などで「鼻水」に悩んでいる人も多いのではないでしょうか。鼻水対策に有効な食品について聞きました。

花粉症シーズンとなり、目がかゆくなったり、くしゃみや鼻水がとまらなかったりして、日々、つらい思いをしている人も多いのではないでしょうか。花粉症ではない人でも、「アレルギー性鼻炎」により鼻水がとまらなくなる人もいます。鼻水によって集中力がなくなり、何をするにもおっくうに感じてしまう人も多いはずです。そこで今回は「鼻水」に有効な食べ物について管理栄養士の有水友美さんに聞きました。
体の炎症を抑える「オメガ3」
Q.そもそも、「鼻水」はなぜ出てくるのでしょうか。
有水さん「鼻水は鼻から花粉などの異物が入り、鼻の中の粘膜を刺激すると、その異物を外に排出するために、粘膜から粘液を出して外に押し流そうとする働きによるものです。そして、異物に触れた粘膜は炎症を起こします。粘膜がずっと炎症して腫れてしまうと、それが鼻詰まりとなり、慢性鼻炎となるのです。そうなると、鼻水がとめどなく出てきてしまいます」
Q.では、鼻水をとめるにはどうしたらいいのでしょうか。
有水さん「ずばり、鼻の中や体内の炎症をできるだけ抑えることです。炎症が起きている状態とは、体のあちらこちらで大小の『火事』が起きているということであり、それらの鎮火が必要です。仕事柄、よく、『花粉症によい食べ物はないですか?』などと聞かれることがあります。その答えとして、体の炎症を抑える食品を取ることはとても有効であるとお伝えします」
Q.炎症を抑える上で有効な食品にはどんなものがありますか。
有水さん「体の炎症を抑える食品として有名なもので、私がおすすめするのは『オメガ3』の油です。『オメガ』とは脂質の主成分である脂肪酸の分類のことで、『オメガ6(サラダ油、ゴマ油など)』『オメガ9(オリーブオイルなど)』もあります。
オメガ3の油としては例えば、DHA、EPAなどが有名です。DHAやEPAが多く含まれる食品の代表格は青魚。昨今はサバ缶でもよいですし、お刺し身でいえばトロもよいです。魚の油は頭にもいいと言われますが、それはオメガ3の油が多く含まれているからです」
Q.アレルギーなどで青魚が苦手な人もいます。どうすればいいのでしょうか。
有水さん「おすすめはアマニ油やエゴマ油です。アマニ油やエゴマ油には『α-リノレン酸』という脂肪酸が入っています。オメガ3の油自体に炎症を抑える効果があることが知られており、花粉症のアレルギー性結膜炎が改善することも分かっています(順天堂大学 News&Information 2018年11月5日)が、実は、オメガ3の油は人間の腸内で化学反応が起きて、物質が変わっていくのです。順番は『α-リノレン酸→EPA→DHA』です。
人によっては、DHAやEPAを多く、効率よく取りたいからとカプセルのサプリメントを飲んでいる人もいますが、体内でα-リノレン酸からEPAに、EPAからDHAに変換されるとき、腸内細菌との反応でできる物質(代謝物)が多くあることが分かっています。実は、これらの物質がさらに炎症を抑えて、アレルギー反応が抑制されることが分かりました(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 2020年2月13日プレスリリース参照)。
まだまだ、さまざまな研究の段階ですが、アレルギーを副作用のない食品で健康的に抑えることができたなら、こんなにうれしいことはありませんね」
Q.アマニ油やエゴマ油を効率よく摂取する方法を教えてください。
有水さん「直接、食卓でお料理にかけたり、スープや飲み物に入れたり、サラダのドレッシングにしたりして、加熱をせずに取るのがおすすめです。なぜなら、オメガ3の油は熱に弱いからです。また、納豆に入れて混ぜることで、より、腸内で免疫力をアップする物質ができることが分かっています」
Q.オメガ3を摂取する際の注意点があれば教えてください。
有水さん「オメガ3も油なので、取りすぎるとエネルギー(カロリー)が増えて太る可能性があります。他の油と置き換えることを意識して、多くても1日大さじ1杯くらいまでにするとよいでしょう。オメガ3の油は酸化しやすいので冷蔵庫で保管し、できるだけ早く使い切ることが大切です」
(オトナンサー編集部)
コメント