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北海道の経験 コロナ収束へ、国民の我慢続くかは「首相の覚悟」次第

問われる「矢面に立つ覚悟」

 では、知事と首相の違いはどこにあったのでしょうか。一つは「拙速との批判も恐れないスピード感」でしょう。

 最初に打った対策である一斉休校については、感染対策としては効果が薄かったのではないかとの指摘がありますが、北海道では一斉休校要請から3日後、独自の緊急事態宣言に踏み切りました。これに対して、安倍首相が国レベルの緊急事態宣言を出したのは4月7日。その間、3月下旬に3連休があり、そこで感染がさらに広がったのではないかとの見方が根強くあります。結果論かもしれませんが、感染拡大初期に「やれることはすべてやる」を実践して、北海道が第1波の抑え込みに成功したのは事実です。

 そして、もう一つが「リーダーとして矢面に立つ覚悟」です。北海道庁のホームページによると、昨年2月と3月に開かれた鈴木知事の記者会見は18回。これに対して、当時の安倍首相の記者会見は首相官邸のHPによると、3回です。もちろん、知事と首相とでは仕事の範囲が違いますし、業務の量的な違いもあるでしょう。安倍氏は「担当大臣が説明していた」「ぶら下がり取材に応じていた」と言うかもしれません。

 しかし、人々に不便を強い、協力を得なければいけない場面では、テレビカメラの前で記者の厳しい質問にも長時間対応しながら、訴えかける姿が重要です。リーダーの「覚悟」が見えるかどうかで人々の受け止め方は変わってくるからです。

 ワクチンの先行接種が始まりましたが、国民に広く行き渡るには数カ月かかります。首都圏の緊急事態宣言はまだ続いています。この1年の北海道と日本全体の歩みを振り返ると、新型コロナの収束に向けて国民の我慢が続くかどうかは、菅首相の「リーダーとして矢面に立つ覚悟」の有無にかかっていると私は考えます。

(防災・危機管理アドバイザー 古本尚樹)

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古本尚樹(ふるもと・なおき)

防災・危機管理アドバイザー

医学博士、防災・危機管理アドバイザー。1968年、北海道旭川市生まれ。北海道大学大学院医学研究科博士課程修了後、東京大学医学部付属病院救急部特任研究員、阪神・淡路大震災記念人と防災未来センター主任研究員、熊本大学大学院自然科学研究科特任准教授などを歴任。現在は札幌市在住で、防災・危機管理アドバイザーとして、新型コロナウイルス対策や企業の危機管理、災害医療、防災対策、被災者の健康問題等について助言、提言を行う。ラジオでコメンテーターも務める。ホームページ(https://naokino.jimdofree.com/)。

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