オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

新札は使える? 通夜の服装? 「葬儀」はビジネスに通ずる、正しいマナーを!

近著に「新・ビジネスの基本とマナー」があり、「NHK大河ドラマ・龍馬伝」のマナー指導などで知られるマナー講師の西出ひろ子さんに「葬儀のマナー」について聞きました。

いざというときに慌てないために
いざというときに慌てないために

 最近、マナーに関する書籍が増えたように感じています。企業研修では必須項目として位置付けられているマナー。昭和の時代であれば、家庭内で教えられていたものが少なくありません。しかし、家族形態の変化とともに、近年では、マナーを学ぶ機会も減ってしまいました。

 今回は、マナー講師の西出ひろ子さんに「葬儀のマナー」について伺います。西出さんは「NHK大河ドラマ・龍馬伝」のマナー指導など幅広い実績があり、日本トップクラスのマナー講師としても知られています。近著に「新・ビジネスの基本とマナー」(学研プラス)があります。

社会人なら知っておきたい葬儀のマナー

 不祝儀袋に入れる金額は、故人や遺族とのお付き合いの程度によって変わるものです。会社員の場合は上司に相談するのが無難だと西出さんは言います。

「故人が仕事の関係者の場合、会社として渡す場合もあるので上司に確認します。新札を包むと不幸をあらかじめ予想していたように思われるため、使用しているお札を使いましょう。新札しかない場合は、折り目を入れてから包みます。また、社会人として恥ずかしくない不祝儀袋の書き方を身に付けておきたいものです」(西出さん)

「お札は不祝儀袋に入れます。不祝儀袋はお札を入れる『中包』と、それを包む『上包』に分かれています。表書きや名前は悲しみの涙で墨が薄くなったことを表すため、薄墨で書くのがマナーです。表書きは宗教によって異なりますが、『御霊前』なら、浄土真宗とプロテスタント以外は使えます」

 弔問できないときは弔電を送ります。また、供花や供え物で弔意を示す方法もあります。宗教の伝統によってマナーが異なるので確認しておきたいものです。

通夜の服装はどうすればいいの

「男性が通夜に参列するときはダークスーツを着るのがマナーです。喪服、もしくはダークスーツ(手持ちで最も黒に近いもの)を着用します。女性が通夜に参列するときは地味な服装を意識するといいでしょう。カジュアルなもの、派手な色やデザインのもの、肌の露出が大きいものは避けなければいけません」

「葬儀が仏式なら数珠を持っていきます。数珠は市販の略式のものを選べば、宗派を問わずに使えます。会場に入ったら、利き手とは逆の手で軽く握ります。一般的に、短い数珠は両手の親指と人さし指の間にかけて、親指で軽く押さえて持ちます。長い数珠は利き手と反対の手に二重にかけます。宗派の決まり事を確認した方がいいでしょう」

 着る機会が少ない喪服は時々、点検をしておきたいものです。サイズが合っているか、汚れやほつれがないかなどをチェックしておきましょう。

伝説化している田中角栄の振る舞い

 ここで、田中角栄の既に伝説と化しているいくつかのエピソードを紹介します。政敵の議員の母親が亡くなった際、生花店に依頼して1週間毎日、新しい献花を届けさせました。葬儀は氷雨の中で行われましたが、出棺の際には、傘もささずに最敬礼で見送ります。これは当時の新聞等でも大きく報道されました。

 田中角栄が通商産業大臣(現・経済産業大臣)だったときのエピソードです。通産相として最も大切な産業構造審議会であいさつをする予定でしたが、審議会に出向く前、「おい、今日は誰かの葬式がなかったかね」と秘書に尋ねました。

 その日、角栄の関係者の葬儀がありましたが、秘書は審議会を優先してスケジュールを入れていませんでした。すると、角栄はこう言いました。

「結婚式だったなら、君の判断は正しい。新郎新婦にまた日を改めて会いに行けばいい。だが、葬式は別だ。亡くなった人との最後の別れの機会だ。今日がダメなら、なぜ昨日、お通夜の日程を組まなかったのか」

 その後、角栄は審議会の前に時間を調整して葬儀に向かいました。

 悲しみに打ちひしがれているときのお悔やみは効果があります。葬儀で顔を売ることも大切な仕事です。葬儀参列が後々の仕事にもつながっているのです。パフォーマンスと言われてしまえばそれまでですが、誠意をもってやれば嫌みにはなりません。社会人は冠婚葬祭に出席する機会が多いので、この機会に正しいマナーを覚えておきましょう。

(コラムニスト、著述家、明治大学サービス創新研究所客員研究員 尾藤克之)

尾藤克之(びとう・かつゆき)

コラムニスト、著述家、明治大学サービス創新研究所客員研究員 尾藤克之

東京都出身。代議士秘書、大手コンサルティングファームにて、経営・事業開発支援、組織人事問題に関する業務に従事、IT系上場企業などの役員を経て現職。現在は障害者支援団体のアスカ王国(橋本久美子会長/橋本龍太郎首相夫人)をライフワークとしている。NHKや民放各社のテレビ出演や、経済誌などからの取材・掲載多数。著書も多く、近著に「頭がいい人の読書術」(すばる舎)がある。埼玉大学大学院経済学研究博士課程前期(経済学修士、経営学修士)。

筆者への連絡先
FB:https://fb.com/bito1212
TW:@k_bito

コメント