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取引先との交流どうする? 会食がままならない時代の「人間関係の深め方」【新時代のビジネスマナー】

ウィズコロナ時代にふさわしい新しいビジネスマナーについて、各界で活躍するビジネスパーソンを育成してきたマナーコンサルタントのマナー西出ひろ子さんが解説します。

会食に代わる「新時代のコミュニケーション」とは
会食に代わる「新時代のコミュニケーション」とは

 新型コロナウイルスにより、テレワークが常態化するなど、これまでのビジネスの常識が大きく変化した現在。人々の働き方がガラリと変わった今、ビジネスシーンにおいて、どのような振る舞い方をすればいいのか模索している人も多いと思います。

 この連載では、ウィズコロナ時代にふさわしい新しいビジネスマナーについて、年間100件以上の研修を通して、各回で活躍するビジネスパーソンを育成してきたマナーコンサルタントのマナーズ博子さんに4回にわたって聞きます。最新刊に「入社1年目の新しい教科書 ビジュアル版 ビジネスの基本とマナー」(3月2日発売)があります。

 今回のテーマは、会食の機会が減ったことで悩む人が多い「人間関係の深め方」です。

会食の目的とメリットを考えてみる

 コロナ禍により、大きく変化したことの一つが「会食」を控えるようになったこと。効率化や生産性の向上が優先されるビジネスの場では、お互いに忙しい中、時間を調節して会食をすることはそれ自体が重要な意味を持ちます。

 会食が減ったことで、取引先とリラックスした雰囲気で話す機会がなくなっているのではないでしょうか。緊急事態宣言が解除されても、会食自体は引き続き控えることになるかもしれません。そんな今だからこそ、改めて会食の目的やメリットを考えてみましょう。

・人間関係が深まる
食事やお酒をともにしながら、仕事中とは異なる会話を交わすことができます。ビジネスは人と人のつながりで行うものなので、お互いの意外な一面を知ることで仕事がスムーズに運ぶようになります。

・普段のねぎらいや感謝の心をカタチにできる
食事やお酒は目に見えない心をカタチにしたものといえます。ねぎらいや感謝の気持ちを言葉で表すことも大切ですが、会食自体が相手への思いやりを行動で示せる場なのです。

・リラックスして意見交換や情報収集ができる
改まった会議の場では言えない意見も、食事やお酒の席では伝えやすくなります。普段は思いつかないアイデアが得られたり、思わぬ情報を聞けたりすることも。会食が大きなビジネスにつながるケースもあります。

 このように、人間関係を深めて信頼を得るチャンスが会食です。米国の心理学者グレゴリー・ラズランが行った研究では「おいしい食事と楽しい会話をしながら一緒に時間を過ごすと相手に好印象を与えられる」という結果が出ています。相手の好みに合わせた料理を提供したり、相手に合わせた話題選びをしたりするなど、相手本位で考えるとよりよい関係が築けると言えますね。

相手を気遣う贈り物で関係を深めよう

 では、会食を控えなければならないウィズコロナ時代には、どのようなコミュニケーションが適しているのでしょうか。おすすめは「相手のことを気遣う贈り物」です。もし、対面の機会があるなら持参してもよいですが、手渡しせずにテーブルに置くなど渡し方にもひと工夫を。

 また、テレワーク中心の方に郵送する場合は、出社のタイミングを確認しておくと安心です。品物選びもやはり、相手本位でのセレクトがポイントになるので、以下の点を参考にしてみてください。

・職場の皆さんに向けた品
取引先のチームに向けて贈る場合は数と日持ち重視の品がよいでしょう。お茶や焼き菓子の詰め合わせなら、個包装で複数の味から選べるので、全員の状況や好みが分からないときでも安心です。

・相手の好む品
個人に贈る場合は相手一人の好みに合わせることができます。過去にプライベートな会話ができていたら、好みの食べ物や実用品などを選ぶことができます。相手の好みが分からない場合は、外出先で思いがけず見つけた品や話題の一品などを選ぶのも一つの手です。

その場合は、渡す際のコミュニケーションや添え状で「出先で見かけて、○○さんの顔が浮かびました」「お気に召していただけるとよいのですが」などの気遣いの気持ちを伝えるとよいですね。

・時節に合った品
テレワークや自粛生活など今の暮らしに合った品もぜひ検討を。家での食事やお酒の時間が楽しくなる品、ルームフレグランスや入浴剤などのリラックスアイテム、手荒れをいたわるハンドクリームなど、相手の健康や暮らしに寄り添う気持ちを伝えられる品を選びましょう。

 会食も贈り物も相手との関係を深められるという意味では同じ。お店選びも品物選びも、相手の喜ぶ顔を想像しながら心を込めて準備しましょう。また、しばらくは会食の機会が設けられないことを惜しむ気持ちを伝えることも「今後もよい関係を築きたい」というメッセージになります。添え状やメールで「状況が落ち着いた頃、また、食事などご一緒させていただけたら幸いです」などの言葉を伝えるとすてきですね。

 相手を思いやるコミュニケーションについては、「入社1年目の新しい教科書 ビジネスの基本とマナー」の特典動画でも紹介しています。人間関係を深める方法は一生役立つビジネスマナー。ぜひ動画で学んでみてください。

■「ビジネスパーソンの心得とマナー」MOVIE
https://gakken-ep.jp/extra/nishidemanner(「入社1年目の新しい教科書 ビジュアル版 ビジネスの基本とマナー」p.186のID・PWが必要)

■アウトプットtype診断
https://gakken-ep.jp/extra/nishidemanner/outputtype/(同)

(文/構成・オトナンサー編集部)

西出ひろ子(にしで・ひろこ)

マナーコンサルタント、マナー解説者、美道家

ヒロコマナーグループ代表。一般社団法人「マナー&プロトコル・日本伝統文化普及協会」代表理事。大妻女子大学卒業後、国会議員などの秘書職を経て、マナー講師として独立。マナーの本場英国へ。オックスフォードにて、オックスフォード大学大学院遺伝子学研究者のビジネスパートナーと1999年に起業し、お互いをプラスに導くマナー論を確立させる。帰国後、名だたる企業300社以上にマナーコンサルティングなどを行い、他に類を見ない唯一無二の指導と称賛される。その実績はテレビや新聞、雑誌などで「マナー界のカリスマ」として多数紹介。「マナーの賢人」として「ソロモン流」(テレビ東京)などのドキュメンタリー番組でも報道された。NHK大河ドラマ「龍馬伝」をはじめ、NHKドラマ「岸辺露伴は動かない 富豪村」、映画「るろうに剣心 伝説の最期編」などのドラマや映画、CMのマナー指導・監修者としても活躍中。著書は28万部突破の「お仕事のマナーとコツ」(学研プラス)、16万部を超える「改訂新版 入社1年目 ビジネスマナーの教科書」(プレジデント社) など監修含め国内外で100冊以上。「10歳までに身につけたい 一生困らない子どものマナー」「かつてない結果を導く 超『接待』術」(共に青春出版社)など子どものマナーから、ビジネスマナー、テーブルマナーなどマナーのすべてに精通。ヒロコマナーグループ(http://www.hirokomanner-group.com)。
※「TPPPO」「先手必笑」「マナーコミュニケーション」「真心マナー」は西出博子の登録商標です。

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