オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

誰も言わないならと女性肛門科医が解説 「鼻出しマスク」の問題点とは

大学入試で、鼻を出したままマスクを着けていた受験生が話題となりました。マスクの意味について“肛門科医”に聞きました。

マスクの医学的な意味とは?
マスクの医学的な意味とは?

 大学入学共通テストの会場で監督者の注意に従わず、鼻を出したままマスクを着け続けた受験生が不正行為と認定され、その後、逮捕された事件がありました。「この受験生の取った行動がどうなのかということよりも、鼻出しマスクが医学的にどうなのかについて論じなければ意味がありません」と主張するのは肛門科医の佐々木みのりさんです。

 女性の肛門科医は全国に30人弱と非常に少なく、佐々木さんは1998年7月に日本で初めて、女医による肛門科女性外来を開設したことでも知られています。近著に「オシリを洗うのはやめなさい」(あさ出版)があります。

マスクの目的を理解しよう

 佐々木さんは、鼻が出ていても、よほど大量の鼻水を周囲にまき散らす状況でなければ、周りの人には迷惑にならないと指摘します。

「マスクについては医師の中でも意見が分かれています。コロナの話題をシェアするだけで批判してくる医師もいます。自分が正しい、自分の方が知っていると。そして、何が正しいのか医学的に証明されるのは、ずっと後になってからかもしれません。私自身は『マスクは他人のためにつけるもの』と認識しています」(佐々木さん)

「なぜなら、どんなにハイスペックなマスクを装着しても、ウイルスの粒子はマスクの隙間やマスクの繊維を通過して入ってくるからです。つまり、マスクは飛沫(ひまつ)を飛ばさないためと考えています。鼻をマスクの中に入れるのは究極、『自分が感染しないため』とも言えます。空気中のウイルスを吸い込む量はマスクによって減らせるでしょうから」

 では、新型コロナウイルスが感染拡大している現状ではどうすべきなのでしょうか。

「今は、マスクは正しく鼻を覆う、できるだけ隙間をなくすように装着することをおすすめしたいです。しかし、マスクの役割はあくまでも『自分のために鼻を覆う』『他人のために口を覆う』ことです。マスクの素材選びも重要です。飛沫を抑える効果も、吸い込むのを防ぐ効果も不織布マスクが最も高いことが分かっています」

「布製マスクを着ける場合は、重層で目が詰まっていて、顔にフィットするものがいいでしょう。ウレタンマスク、フェースシールド単独(マスク+フェースシールドは効果あり)、マウスシールドでは、飛沫を抑える効果も、吸い込みを抑える効果も低いので避けた方が無難です」

 結局のところ、市販のマスクではウイルスの侵入を防ぐことはできません。ウイルスの侵入を防ぐには「防護マスク」「ゴーグル」を装着する必要があります。マスクをする状況や効果について正しく認識することが大切です。

気にしすぎると心の病の原因にも

佐々木みのりさん
佐々木みのりさん

 生活必需品になった「マスク」。日常の活動でマスク着用はエチケットですが、どんなにマスクをしていても感じてしまう臭いがあります。その一つが、肛門から漏れ出す臭いです。そうなると、マスクをしても消臭効果は期待できなくなります。

「原因は『出残り便秘」かもしれません。出残り便秘のことをお医者さんが知らない場合が多い上、精神科や心療内科では肛門の診察をしないので、実際に肛門から臭いが漏れ出ているのに『自己臭症』『自己臭恐怖症』と診断され、精神科の薬を飲んでいる患者さんが来院されることもあります。当然、薬を飲んでいても状況はよくなりません」

「便が常に肛門に鎮座しているのですから、臭いがあって当然です。臭いがあるのなら、それを取り除けばいいだけなのに、それを精神的、つまり、心の病のせいにされてしまうことで心が参ってしまう人もいます。何をしても治らなかった症状の原因が出残り便秘である可能性もあるのです。このような場合は、出残り便秘を疑ってみるといいかもしれません」

 さらに、臭いを気にしすぎることで心にも悪い影響を及ぼすことがあります。

「例えば、便臭で悩む方がいらっしゃいます。オナラや便が臭いせいで、オナラをしたわけでも人から指摘されたわけでも、それこそ、本当に臭いがするわけでもないのに、自分の肛門から便の臭いがしていると思い込んでしまうのです。この症状を『自己臭症』『自己臭恐怖症』といいます」

「その臭いに対する思い込みのせいで電車にも乗れない、会社にも行けない、周りの人が鼻をすすったり、咳(せき)をすると自分の臭いのせいではないかと思ってビクビクしてしまう…など、臭いに対する思い込みのせいで会社を辞めた会社員、学校に行けなくなった中学生、誰にも相談できず悩んでいるうちに心が病んでしまい、うつ病を発症した女性もいます」

 一度、心の病になってしまうと元の状態に戻るのは難しいものです。しかし、根本的な原因を知ることで、適した対処法を取ることができるようになります。

 最近、医学書にもない肛門トラブルが増加しています。日本人の「オシリ」、大ピンチに見舞われています。この機会に情報を収集してみてはいかがでしょうか。

■大阪肛門科診療所HP
https://osakakoumon.com/clinic/introduce/

(コラムニスト、著述家 尾藤克之)

尾藤克之(びとう・かつゆき)

コラムニスト、著述家 尾藤克之

コラムニスト、著述家。
議員秘書、コンサル、IT系上場企業等の役員を経て、現在は障害者支援団体の「アスカ王国」を運営。複数のニュースサイトに投稿。代表作として『頭がいい人の読書術』(すばる舎)など21冊。アメーバブログ「コラム秘伝のタレ」も絶賛公開中。

コメント

2件のコメント

  1. 不織布マスクがウイルスを捕集するのは静電捕集だからです。網目で濾過しているなんてアホな学者の言った無知な考えです。ウイルス捕集の電子顕微鏡写真は公開されていましたが、ウイルスも電荷として繊維に吸着されている状態は大木に蟻がいるような感じです。まあ、その程度の知識ならプラズマクラスターイオン発生器もUV-C空気清浄機のウイルス不活化データも知らないのでしょう。専門外なら余計な事に口出ししないのが正しい方向です。政治は虚偽拡散を潰すように動きます。

  2. このお医者「空気中のウイルスを吸い込む量はマスクによって減らせるでしょう」って言っているけど、マスクとウイルスの大きさの比は、蚊を防ぐのに、家の窓とドアを開けっぱなしにしているのと同じで、100%蚊の侵入を止められないのと同じ。医師国家試験って暗記ばかりだから、多くの医者がこの程度のド文系なので信用しない方が良い。