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歩くと激痛が…「巻き爪」の原因と治療法、予防に必要なことは?

「巻き爪」になると、歩行時に痛みを感じるようになるなど日常生活に支障が出ます。巻き爪を防ぐには、普段から、どのようなことを心掛けるべきなのでしょうか。

「巻き爪」を防ぐには?
「巻き爪」を防ぐには?

 爪の端が内側に食い込む「巻き爪」に悩んでいる人も多いのではないでしょうか。症状がひどくなった場合、歩くだけで激しい痛みに悩まされるなど日常生活に支障が出ますが、そもそもなぜ、巻き爪になってしまうのでしょうか。また、巻き爪を防ぐには、日常生活でどのようなことを心掛けるべきなのでしょうか。アヴェニュー表参道クリニックの佐藤卓士院長(皮膚科・形成外科)に聞きました。

「歩き方」「爪切り」が要因に

Q.まず、巻き爪の原因について教えてください。また、巻き爪がひどくなるとどのような症状が出るのでしょうか。

佐藤さん「巻き爪は爪の左右両端が内側に巻きこんだ状態のことを指し、多くは足の親指に起こります。先天的要素(生まれつきの爪や骨の形)で生じる場合もありますが、多くは『歩き方が悪い(足指に力をかけずに歩くなど)』『足指の側面に過剰な力がかかる』『間違った方法で爪を切る』などが原因で発症します。かかりやすさに男女差はありません。

本来、爪は丸くなる性質がありますが、歩行時に地面から適度に力が加わることで平らになります。ところが、足の指に力を入れずにペタペタと歩く癖がある人は地面からの力が加わらないため、爪がどんどん巻いていきます。一方、足指の側面に過剰に力が加わる場合も巻き爪になりやすいです。例えば、『X脚』の人は内股で歩くため、親指の内側に体重が過剰に加わることで親指の爪が真っすぐ伸びず、巻いていきます。

『外反母趾(ぼし)がある』『足の形に合わない靴を履いている』『足指に力がかかるスポーツをしている』などの場合も足指の側面に力が過剰に加わりやすいため、巻き爪になる傾向にあります。また、爪の切り方にも注意が必要です。深爪をすると、足の指に力が加わったときに爪の先の皮膚が力を受けて盛り上がります。その結果、爪が真っすぐ伸びずに厚みが増したり、両端が巻いたりします。

爪が巻き始めた段階では、皮膚に爪が食い込んでいても痛みを感じないこともありますが、やがて、親指に体重をかけたときに痛くなることが多くなります。ひどくなると、皮膚が炎症を起こして腫れや肉芽(にくげ=皮膚が赤く盛り上がった状態)、化膿(かのう)が生じる『陥入爪』を発症し、激しい痛みのために歩くのが困難になることもあります」

Q.巻き爪の発症後、膝痛や腰痛などに悩まされるようになったという話も聞きます。なぜでしょうか。

佐藤さん「巻き爪によって痛む指をかばうようにして歩くことになり、膝や股関節に負担がかかるためです。膝痛や腰痛のほか、爪に痛みがあるとケアがしにくくなって不衛生な状態となるため、足や爪の水虫を併発することもあります」

Q.では、巻き爪を防止するための歩き方や爪の切り方について教えてください。

佐藤さん「歩行時に足指の底面にしっかりと体重をかけるとともに、側面に過剰な力がかからないようにすることが重要です。そのためには姿勢をよくして、足の指の底面をしっかり地面につけて、地面を蹴り出して前に進む歩行を心掛けましょう。

爪は3、4週間に1回を目安に切ってください。その際は爪を切り過ぎないことが大事で深爪は厳禁です。爪の長さは指先と同じか、指先より1ミリ程度長いくらいまで伸ばしている状態が適切です。爪の先端は平らでまっすぐな形になるように切り、角は少しだけ落とす程度にしましょう」

Q.巻き爪になった場合、すぐに通院した方がよいのでしょうか。

佐藤さん「巻き爪は自然には治らず、対策を行わなければ症状はどんどん悪化します。もし、歩き方や爪の切り方を改善しても症状がひどくなるようであれば、皮膚科を受診するとよいでしょう。特に陥入爪の状態になると炎症や痛みが悪化するので、できるだけ早めに受診してください。痛みなどがなく、症状が軽度でも、皮膚科やフットケア外来などで予防法のアドバイスをしてくれます。巻き爪の傾向が見られるようであれば一度受診しましょう」

Q.病院では、巻き爪をどのように治療するのでしょうか。

佐藤さん「まずはテーピングを行います。スポーツテーピング用のテープを細く切って、食い込んだ皮膚を下方向に引っ張りながら指に巻いていきます。そうすることで、食い込みが和らぐため痛みが改善します。ただし、テーピングはあくまで対症療法です。

爪の湾曲の治療にはまず、矯正法(保存的治療)を行います。これには『ワイヤ法』『クリップ法』などがあり、矯正器具を爪の甲に装着し、爪を平らにしていきます。歯の矯正のようにワイヤなどの弾性力で徐々に爪を広げていきます。治療に痛みはありませんが期間が数カ月かかり、途中で外れると再装着が必要です。

爪が突き刺さっていたり、食い込んでいたりする場合は、突き刺さっている爪の角に乾いたコットンを詰めるなどして食い込みを緩和させます。これは爪と皮膚の間に緩衝剤を詰めて、爪が皮膚に当たらないようにする治療です。陥入爪で炎症がある場合は、抗生剤や鎮痛剤を投与するほか、抗生剤軟こうを塗り、状況に応じて、部分的に爪を抜いたり、先述した食い込みを緩和させる治療をしたりします。

『激痛がある』『短期間で治したい』『保存的治療でも再発を繰り返す』といった場合は手術する必要があります。その場合、巻いている爪の側面を短冊状に爪母(爪が生える根元)から切除した後、切除した部分の爪母を薬品で焼やして、その部分から爪が生えないようにします」

Q.巻き爪になったとき、指の皮膚に食い込んでいる爪を爪切りなどで切り取ると痛みが一時的に消えますが、こうした対症療法は避けた方がいいのでしょうか。

佐藤さん「確かに、爪の角が皮膚に食い込むと痛みが出るので、その角を切り取れば一時的に痛みが消失します。しかし、食い込んだ爪を『クリッパー型爪切り(一般的な爪切り)』で切ると、爪の一番端の部分がとげ状になって残ることが多く、爪が伸びていくうちにそのとげが皮膚に食い込んでさらに痛くなり、陥入爪になるリスクが高くなります。

この方法は一時しのぎにしかなりません。爪の角はできるだけ切らずに伸ばして、先述のテーピングやコットンパッキングなどの方法で食い込みを緩和させるようにするのがよいでしょう」

(オトナンサー編集部)

佐藤卓士(さとう・たかし)

医師(皮膚科・形成外科)・医学博士

アヴェニュー表参道クリニック院長。京都大学農学部卒業。九州大学医学部卒業。岡山大学医学部、杏林大学医学部、都立大塚病院形成外科にて研鑽(けんさん)を積み、現在に至る。日本形成外科学会認定専門医、日本レーザー医学会認定レーザー専門医。日本形成外科学会、日本皮膚科学会、日本美容外科学会、日本レーザー医学会、日本手外科学会、日本創傷外科学会所属。アヴェニュー表参道クリニック(https://www.a6-clinic.com)。

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