日本人が中国といえば「赤」を真っ先に連想する理由
中国に関係することというと、真っ先に「赤」を連想する日本人が多いと思います。なぜ、日本人は中国といえば「赤」と連想するのでしょうか。
年末年始になり、街には色鮮やかなイルミネーションが点灯する季節になりましたが中国でも同様です。北京や上海など都市部の近年の飾りつけは日本に引けを取らないほど華やかになりましたが、中国といえば、やはり、「赤」を基調とした装飾を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
日本国内にいても、中華料理店の店内や書店の中国本コーナーなど、中国関係というと真っ先に「赤」を連想する日本人が多いと思います。なぜ、日本人は中国といえば「赤」と連想するのでしょうか。
紅に「めでたい」「革命の」などの意味
中国語では赤のことを「紅(ホン)」といいます。辞書で調べると「紅」には「赤い」という意味以外に「めでたい」「革命の」「受けている」「人気がある」などの意味があります。日本でも「紅白歌合戦」などのときには「赤」ではなく、「紅」という字を使いますが、中国語にも「紅白(ホンバイ)」という言葉があり、意味は同じです。
実は、私たち日本人が中国といえば「赤」を連想するのには明確な理由があります。まず、赤は中国共産党のシンボルカラーだからです。中国の国旗は「五星紅旗(ごせいこうき)」といい、赤地に5つの黄色い五芒星(ごぼうせい)を配したもので、赤色は「共産主義革命」、黄色は「光明」を表しているといわれています。
さらに、中国で赤といえば昔から、吉祥(きっしょう)や財運を表す「おめでたい色」であり、さまざまな場面で多用されてきました。そのため、中国国内だけでなく、日本や海外でも、中国といえば「赤」というイメージが出来上がったのです。赤には古くから、太陽の力、血液の力が宿るとされ、邪気を払い、パワーを付ける意味合いがあり、春節や結婚、開店など「ハレの日」には必ず赤いもので壁や柱を飾りつけます。
中国語で結婚は「紅事(ホンシー)」といい、お年玉やご祝儀の袋は「紅包(ホンバオ)」、子どもが生まれたときに親戚や同僚などに配る卵は「紅蛋(ホンダン)」、中国を代表する国産高級車は「紅旗(ホンチー)」と全て「紅」が入った言葉で呼ばれています。「紅」の「人気がある」という意味を取って、最近、中国のネット上で人気があるインフルエンサーたちはネット(網)の人気者、つまり、「網紅(ワンホン)」と呼ばれています。
中国から日本に伝わってきた風習として、日本人に身近なものといえば、還暦のときに着る赤い「ちゃんちゃんこ」があります。えとが60年で一巡し、再び赤ちゃんに戻る、邪気を払うという2つの意味があるとされています。
日本ではそれ以外に、邪気を払うために赤いものを着るという風習はありませんが、中国では年男、年女のときに赤い下着を着るという習慣があります。年男、年女はよくない年といわれ、赤い下着を身に着けることで、悪いものが体に入ってこないようにするのだといわれています。
年末から春節の時期にかけて、中国の百貨店やスーパーに行ってみると、男性用、女性用ともに真っ赤な下着が売られているのを目にすることができます。日本人が見るとギョッとしますが、これも中国ならではの風習です。
(ジャーナリスト 中島恵)
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