私大入試、早慶上理など難関校は志願者減か 「強気の受験」がチャンスを開く
入試や授業内容、学生の就職支援など、大学のさまざまな話題について、教育関連の情報発信に携わってきた筆者が解説します。
最近、私立大の新しいグループ分けが注目されています。以前から使われている「早慶上理」(早稲田大学、慶応義塾大学、上智大学、東京理科大学)、「MARCH」(明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学)、「関関同立」(関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学)などに加えて「SMART」というものが出てきました。
「S」は上智大学で、英語名の「ソフィア・ユニバーシティ」からきています。「M」は明治大学、「A」は青山学院大学、「R」は立教大学、「T」は東京理科大学で、この5大学のグループです。それに「GCH」(学習院大学、中央大学、法政大学)をつけて、「SMART-GCH」(スマート・ジーチャンネル)ということもあります。
これら難関私大の2021年入試の概況について、お話しします。
「共通テストのみで合否」が人気
まず、SMART-GCHの2021年の一般選抜を見ると、大きく入試方式を変えるのが上智大学、青山学院大学、立教大学、学習院大学です。
上智と学習院は2021年から始まる「大学入学共通テスト」に参加しますが、両大学はセンター試験時代を含めて、共通方式のテストに初めて参加することになります。特に、上智は一般選抜で、従来の3教科型入試を共通テストと大学独自試験で合否判定する方式に変えます。国公立大と同じような方式です。
上智はこの方式の他、共通テストだけで合否が決まる方式、今までと変わりのない、民間英語試験「TEAP」の成績と大学独自試験で合否が決まる方式の入試を実施します。学習院は新しく、共通テストの成績のみで合否が決まる入試を実施します。
青山学院も個別学部日程の入試で、経済学部を除き、共通テストと大学独自試験で合否を決めます。一部の学部や学科では従来の方式も残ります。立教は文学部の一部を除いて、英語で大学独自の試験を課さず、民間英語試験のスコアか、共通テストの英語の成績を利用します。さらに、試験日の自由選択制を導入することで、受験機会が格段に増えています。
この他、早稲田が政治経済、国際教養、スポーツ科学の3学部で、共通テストを受けていないと受験できない方式に変えました。特に、政治経済学部の一般選抜は共通テストで「数学I・数学A」が必須になり、私立大3教科型の受験生が受けにくくなりました。
新しい入試方式を導入した大学・学部は共通テスト利用入試を除いて、今のところ、志望者が減少しています。逆に、共通テスト利用入試はコロナ禍の影響で、他の大学を含めて全体的に人気がアップしています。大学個別の試験に行かなくていいことで、新型コロナへの感染リスクを低くできるからです。
コロナ禍によって、受験生の先行きへの不安は大きくなっており、過去問の問題集があって、しっかり対策をとれる大学・学部が人気になりそうです。早稲田大学では、学部によって人気の明暗が出そうで、入試方式を増やした商学部の人気が上がっています。全体的に、入試方式を変えた大学・学部は狙い目になっているようです。
難関大が「穴場」に?
関西に目を移すと、関関同立は今年(2020年)、複数学科の併願をしやすくしてきた立命館大学が志願者増となった一方、他の3校は減少。難関大を敬遠する安全志向の影響とみられますが、この傾向は来年も続きそうです。
また、コロナ禍により、受験生は感染拡大が顕著な東京や大阪などの大学の受験を控え、地元の大学を受験する「地元志向」が強まっています。大学での授業がオンライン中心になり、「友達もできない」などといわれていることも地元志向を強めている一因といえます。
早慶上理やSMART-GCH、関関同立など難関大は、全体的には志願者減となると見られています。来年の一般選抜は難関大が「穴場」になる可能性が高く、こういうときこそ、「強気の受験」がチャンスを切り開きそうです。
(大学通信常務 安田賢治)
片方で、ブランド名のみにつられて受験のための猛勉強し、入ってから遊び倒して後悔したなどという阿保な記事があるのに、一方ではいつまでもローマ字の語呂合わせで人気校宣伝の片棒を担ぐ人がいる。結局、何を学びどんな力をつけるかよりも、エントリーシートにカッコいい大学名が書きたいだけなんだよねえ。