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結婚は諦めたから…と43歳女性 「実家暮らし」を続けるアラフォー世代のホンネ

日本には昔から、「自立=親と離れて暮らす」という考え方がありますが、アラフォー世代でも、実家暮らしを続ける人は一定数います。

実家暮らしをするアラフォー世代の考えは?
実家暮らしをするアラフォー世代の考えは?

 日本には昔から、「自立=親と離れて暮らす」という考え方があります。就職後すぐ、あるいはある程度、社会人として年数を重ねた後は1人暮らしをするのが当たり前のように思われがちです。しかし、アラフォー世代になっても、実家暮らしを続ける人が一定数いるのは事実で、そうした人たちに対する見方もさまざまです。では、具体的にどのような意見があるのか、いくつか紹介したいと思います。

「甘えている」と言われたことも

 まず、実家暮らしをしている未婚の人たちから。Aさん(37歳、男性)は金融系の会社に勤めていて、年収1000万円前後です。さぞ、ウハウハな暮らしをしているかと思いきや、「趣味は貯金」というだけあって、実際は質素な生活をしています。

「結婚できれば、すぐにでも家を出ようと思っていましたが縁がなく、ズルズルとこの年まできました。『実家暮らしは居心地がいい』ということもありますが、むしろ、『家を出る理由がない』という方が大きいです。職場は実家から通える距離で貯金はたっぷりできるし、金銭面でわずかばかりでも両親の助けになればと、家に入れる生活費も多めにしているつもりです。両親は70歳を超え、僕がいることでサポートできることも多いので、ますます実家にいた方がいいかなと…」(Aさん)

 しかし、その生活にやや引け目を感じているのも事実だそうです。

「いい年をしたおじさんが親と同居っていうのもなかなか格好悪いかなと…。昔はたまに合コンに参加していたのですが、『親と住んでいる』と言うと引かれてしまいそうな気がして、だんだんと行かなくなってしまいました」

 フリーターを続けながら、ミュージシャンとして成功することを目指すBさん(41歳、男性)は実家のありがたみを痛感しています。

「20代の頃から、親元を離れて1人暮らしをしていましたが、30代半ばで実家に戻りました。家の手伝いはもちろんしますが、1人暮らしに比べて圧倒的に生活が楽になりました。今は作曲や楽器の練習など自分の活動の時間をなるべく多く取りたいので、本当に助かっています。

実家暮らしが世間からどう思われているかは人一倍意識しますし、面と向かって『甘えている』と言われたことも一度や二度ではありません。本当にその通りだと思いますが、今は『恥を忍んでも自分のやることを優先すべきだ』と自分に言い聞かせています」(Bさん)

 AさんもBさんも「実家暮らしでいいでしょ!」と開き直りきれない後ろ暗さを感じているようです。

 一方、公務員のCさん(43歳、女性)はAさんと同様、結婚したら家を出ようと考えつつも縁に恵まれず、実家暮らしを続けてきましたが、「周りの目は気にならなくなった」と話します。

「『結婚しないのか』『親元を離れて暮らさないのか』という目で散々見られてきて、20代、30代の頃は心底、気に病んでいましたが徐々に達観して、最近ではほとんど気にならなくなりました。この年になって、結婚をほぼ諦め、デンと構えるようになると、自然と周りも気軽に接してくれるようになったと感じます。もちろん、未婚アラフォー女性に対する気遣いはさせてしまっていると思いますが」(Cさん)

 実家暮らしをしている人は世間の目を気にするあまり、自意識過剰に陥ってしまうことも考えられますが、Cさんのように泰然と構えられれば、心安らかな境地が手に入れられるかもしれません。

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武藤弘樹(むとう・こうき)

フリーライター

早稲田大学第一文学部卒。広告代理店社員、トラック運転手、築地市場内の魚介類卸売店勤務などさまざまな職歴を重ね、現在はライターとミュージシャンとして活動。1児の父で、溺愛しすぎている飼い猫とは、ほぼ共依存の関係にあるが本来は犬派。趣味はゲームと人間観察。

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