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安心は禁物? 「1日分の野菜が取れる」ジュースで1日分の栄養は取れない?

「1日分の野菜が取れる」とうたうジュースを飲んでも、1日分の栄養素を取れるわけではないそうです。本当でしょうか。

「1日分の野菜が取れる」ジュースを飲んでも…?
「1日分の野菜が取れる」ジュースを飲んでも…?

 よく、「1日に野菜を350グラム取りましょう」という言葉を聞きます。毎日の家庭での食事で取ることができれば理想的ですが、仕事などが忙しく、外食に頼りがちな場合、パック入りの野菜ジュースにお世話になる人も多いのではないでしょうか。「1日分の野菜が取れる」とうたうジュースもあり、「これさえ飲んでおけば、1日分の栄養は取れたから大丈夫」と思っている人もいることでしょう。

 しかし、「1日分の野菜が取れる」ジュースを飲んでも、1日分の栄養素を取れるわけではないそうです。本当でしょうか。料理研究家で管理栄養士の関口絢子さんに聞きました。

加工過程で失われる栄養素も

Q.「1日分の野菜が取れる」とうたうジュースで、1日分の栄養素を取れるわけではないのは本当でしょうか。

関口さん「本当です。野菜を1日350グラム取るというのは、厚生労働省が推奨する目標摂取量のことです。内訳は、ニンジンやホウレンソウなどの緑黄色野菜が120グラム、タマネギやダイコンなどの淡色野菜が230グラムです。しかし、これらの量の野菜を食べた場合に期待できる栄養素の量は、パック入りの野菜ジュースには含まれてはいません」

Q.では、野菜ジュースの「1日分の野菜が取れる」という表記は誤りなのでしょうか。

関口さん「表記はあくまで、『350グラム相当の野菜を使っています』という意味なので、うそや誤りではありません。しかし、野菜の栄養素には、加工することで失われるものと、加工によって効率よく取れるものとがあります。そのため、パック入りの野菜ジュースは野菜の加工品であることを前提に、補助的に活用するという考え方が正解です」

Q.野菜をジュースにすることで、どのような栄養素が失われるのですか。

関口さん「ジュースにすることで、最も失われるのは食物繊維です。さらに、ジュースにする過程の加熱処理によって、熱に弱いビタミンCやビタミンB群、酵素などの栄養素が失われます。

また、市販のジュースの多くは原料の野菜をそのまま絞って製造しているわけではありません。『濃縮還元』といって、原料となる野菜からジュースを絞り、それを濃縮したものに水分を再び加えて、元の濃度に戻したものを使用するのが一般的です。海外から輸入する原料などは濃縮した状態で輸入され、国内の工場で調整されます。一連の加工過程で栄養素が失われてしまうのです」

Q.一方で、加工により効率よく取れる栄養素とは、どのようなものですか。

関口さん「熱を加えると失われる栄養素とは逆に、熱を加えて濃縮されることで、効率よく取れる栄養素もあります。緑黄色野菜に多いベータカロテンやトマトのリコピンは熱による損失がないため、フレッシュな野菜から取るより多く含まれ、また、ジュースになることで吸収率が高まり、効率よく取ることができる栄養素です」

Q.結局のところ、「1日分の野菜が取れる」とうたうジュースは1日に取るべき野菜の栄養素のうち、どれくらいの栄養素が含まれているのでしょうか。

関口さん「商品によっても違いますが、ベータカロテンはほぼ1日分の摂取量に近いです。カリウムも1食分はカバーできる含有量です。その他、鉄分、亜鉛、マグネシウムなどミネラルも含まれますが、野菜を食事として取る量とそれほど変わらないようです。一方で、先述の通り、食物繊維や熱に弱いビタミンB群、ビタミンC、『フィトケミカル』といわれる生理活性物質の一部、酵素といった栄養素は野菜そのものから取るよりも少なくなっています」

Q.「1日分の野菜が取れる」とうたうジュースに加えて、どのような野菜をどれくらい取れば、1日に取るべき野菜の栄養素を満たすことができますか。

関口さん「ジュースに加工することで最も失われる栄養素は先述の通り、食物繊維です。加熱した野菜に含まれる栄養はジュースでも取れるので、非加熱の野菜を取るように心掛ければ、バランスはよくなります。

食物繊維は野菜のほかに、豆類や玄米、トウモロコシ、雑穀、海藻、キノコなどに多く含まれます。例えば、朝食にフレークやグラノーラなどのシリアル類を食べて、食物繊維を意識して取る、ランチでは、サラダやあえ物などの副菜を追加するといった工夫をすれば、外食やコンビニの利用が多い人でも食生活を改善できると思います。

野菜350グラムに含まれる食物繊維は10グラム程度なので、野菜以外の食品でも食物繊維の含まれる食べ物を積極的に取ればクリアできます。ただし、食物繊維の摂取量は1日20グラムなので、野菜不足の人はかなり意識して別の食品から取ることが必要です」

Q.野菜を調理するのが面倒という理由で、野菜ジュースを栄養補給に使う人もいます。野菜ジュースを頼りにし過ぎるのは、あまりよくないのでしょうか。

関口さん「野菜ジュースを毎日、継続的に取ることは健康習慣としてはよいと思います。ただし、ジュースは補助的なものです。先述の通り、ジュースに不足している栄養素は別の形で取る必要があります。

『野菜を食べる機会が少ない』と感じている人は食後にミカン1つ程度の果物を取ったり、未精製の穀物、豆、海藻、キノコなどの食べ物を積極的に取り入れたりしましょう。また、食物繊維が含まれる『難消化性デキストリン』などの補助食を飲み物に加えて取ることも得策です」

(オトナンサー編集部)

関口絢子(せきぐち・あやこ)

料理研究家・管理栄養士・インナービューティースペシャリスト

米国栄養カウンセラー、ヘルスケアプランナー。企業やウェブサイトなどの各種メディアで、レシピやコラム、企画提案などを行う。斬新なアイデアやニーズを捉えた企画が人気を博し、CM用のフードコーディネートやフードスタイリング、商業施設のフードプロデュースなど多岐にわたり活動。「毎日続けられること」をモットーに簡単・おいしい・おしゃれ、かつ美容と健康に直結したレシピを発信。自らの体調不良を食で克服した経験から執筆した著書「キレイになる!フェロモンレシピ」で「食から始めるアンチエイジング」をテーマに、女性が一生輝き続けるための食事法を紹介。セミナーや女性誌の特集で人気を集めている。

■オフィシャルブログ(http://ameblo.jp/ayako-sekiguchi/
■YouTubeチャンネル「管理栄養士:関口絢子のウェルネスキッチン」(https://www.youtube.com/channel/UC6cZRYwUPyvoeOOb0dqrAug

管理栄養士:関口絢子のウェルネスキッチン

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