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40代でイケメンを捨てた玉木宏、2クール連続“裏社会の男”を演じる必然性

過去の出演作品から、ど真ん中のイケメン俳優のイメージが強い玉木宏さんですが、この2クールは連続で“裏社会の男”を演じています。

玉木宏さん(2018年7月、時事)
玉木宏さん(2018年7月、時事)

 10月11日、ドラマ「極主夫道」(読売テレビ・日本テレビ系)がスタート。番組冒頭、玉木宏さん演じる龍は体中に彫られた入れ墨を誇示するように歩き、大きな傷痕が残る目で視聴者をにらみつけました。龍は極道時代、「不死身の龍」の異名で恐れられた男で、美久(川口春奈さん)との結婚を機に主夫業に専念しているという設定であり、オープニングから視聴者に強烈な印象を与えたのです。

 玉木さんは7月28日から9月15日まで放送された「竜の道 二つの顔の復讐者」(関西テレビ・フジテレビ系)でも、復讐(ふくしゅう)のために極道とつながり、悪事を重ねる裏社会の男・矢端竜一を演じました。

 つまり、玉木さんは「2クール連続で裏社会の男を演じている」ということ。かつては、2006年の「のだめカンタービレ」(フジテレビ系)、2009年の「ラブシャッフル」(TBS系)、2014年の「きょうは会社休みます。」(日本テレビ系)など各局のラブコメに出演し、さらに2015~2016年の朝ドラ「あさが来た」(NHK)では実業家の妻を明るく支える夫を好演するなど、ど真ん中のイケメン俳優として活躍してきただけに、大幅な変化に驚かされます。

 なぜ、玉木さんは裏社会の男を立て続けに演じることを決め、それが似合っているように見えるのでしょうか。

40代突入で「違う形」を見せたい

 今年1月、玉木さんは40歳の誕生日を迎えました。前述したイケメンの役柄が多かったのは20代、30代であり、40代に突入して早々にガラッとイメージを変えているのです。

 玉木さん自身、「極主夫道」の龍を演じる際、「ここまで変身する役は少なくとも現代劇ではなかった」と語っていました。眉間だけでなく、顔中にシワを作り、それをあえて見せつけるような表情はこれまで見せなかったものであり、役者魂を感じさせてくれます。極道時代の名残でつい手足が出てしまうバイオレンスなシーンも含めて、20代、30代で得たイケメンという強みをサラッと捨ててしまったようにも見えるのです。

 また、玉木さんは「竜の道」を演じる際、「40歳になったからといってそんなに意識的に何も考えはしませんが、今まで積み上げてきたものがまた違う形になって表れるのが40代だと思います」と語っていました。その「違う形」が裏社会の男を演じることであり、迫力のある表情やバイオレンスなシーンなのでしょう。このコメントを聞く限り、「極主夫道」の終了後も、裏社会の男とは違う形も見せてくれそうですし、20代、30代の「イケメン」というイメージを再び見せてくれるかもしれません。

「竜の道」と「極主夫道」はともに裏社会を描いた作品ではあるものの、世界観は真逆。「竜の道」はとことんハードボイルドな復讐劇であるのに対して、「極主夫道」は笑って泣けるヒューマン任侠(にんきょう)コメディーです。玉木さんはこの2作で「イケメンのイメージからかけ離れたコワモテを演じる」ことだけではなく、「ハードボイルドからコメディーへの切り替え」という俳優としての振り幅を見せようとしているのでしょう。

 この振り幅こそが、40代の玉木さんが見せていきたいものではないでしょうか。

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木村隆志(きむら・たかし)

コラムニスト、テレビ解説者

雑誌やウェブに月間20本強のコラムを提供するほか、「週刊フジテレビ批評」などに出演し、各局のスタッフに情報提供も行っている。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもあり、新番組と連ドラはすべて視聴するなど1日のテレビ視聴は20時間超(同時含む)。著書に「トップ・インタビュアーの『聴き技』84」「話しかけなくていい!会話術」など。

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