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毎月5000円貯金し旅行へ ひきこもりの30代長女が「清掃」の仕事で見つけた光

変化していく自分に驚き

 ところが、筆者との面談から数カ月がたった頃、母親からよい知らせがありました。面談後、長女がサポステへ相談に行き、現在はパートで仕事をしているというのです。せっかくなので、その後のいきさつを詳しく聞かせてもらいました。

 きっかけは、筆者との面談から数日がたった頃、長女が母親につぶやいたひと言でした。

「私もサポステで相談してみようかな…でも、1人じゃ不安だし」

 母親はすかさず、「じゃあ、お母さんと一緒に行ってみようか?」と答えたそうです。長女はうなずき、すぐ、サポステに連絡を入れました。

 サポステの人たちは長女を温かく迎え入れてくれました。担当者と面談を重ね、彼女の特性、好きなこと、苦手なこと、やってみたいことなどを時間をかけて共有し、いよいよ職場体験をすることになりました。

 職場体験は長女の希望もあって、ショッピングモールの清掃の仕事になりました。当日は午前7時開始でしたが、期待と不安の入り交じる中、何とか早起きすることができました。清掃道具の使い方も掃除の方法も全く分からなかった長女に対し、同じ清掃フロアを任されているパートの女性が丁寧に教えてくれました。

「たまたま、このパートの女性が優しかったのかな?」と筆者は思いましたが、どうやら違ったようです。

 その清掃会社は社長も社員もパートも、すべての人が理解を持って接してくれるとのことです。社長さんの「理解しよう。受け入れよう」という強い姿勢が従業員によい影響を与えているのかもしれません。

 また、黙々と仕事ができる環境が長女の性格にも合っていたようで、「ここならやっていけそうだ」という気持ちが芽生えたようです。

 職場体験は1回のみでしたが、本人の希望で後日採用面接を受け、無事合格。清掃の仕事を担当することになりました。

 話し合いの結果、仕事は週2日から3日、1日3時間勤務から始め、最初はベテランのパートの女性と2人で仕事をすることに。そこでも、仕事の段取りを丁寧に教えてもらえたそうです。現在の仕事はフロアの床掃除、自動ドアや看板の拭き掃除、ごみ箱の掃除、トイレの掃除などです。

 もちろん、いいことばかりではありません。汚れがひどいところを掃除するときには「うわ、汚いなあ、嫌だなあ…」と思ってしまうこともあるそうですが、すぐに「ここをきれいにしなきゃ!」という気持ちに切り替え、仕事に集中できるようになりました。

 慣れないうちは時間がかかりましたが、徐々にてきぱきと動けるようになっていったそうで、変化していく自分に驚くとともに、だんだんと自信が芽生えたとのこと。時給は決して高くはありませんが、それでも、初給料をもらった日は心からうれしそうにしていたそうです。

 現在、長女は「働く時間を増やす」「毎月5000円ずつ貯金して旅行に行く」という2つの目標を掲げており、そのことで、さらに仕事への意欲が湧いたそうです。

「以前の娘からは想像もできないくらい前向きになり、親も本人もびっくりしています。今後、どうなるかは分かりませんが、親としては温かく見守っていこうと思っています」

 長女の今を語る母親の声は、本当にうれしそうでした。

(社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー 浜田裕也)

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浜田裕也(はまだ・ゆうや)

社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー

2011年7月に発行された内閣府ひきこもり支援者読本「第5章 親が高齢化、死亡した場合のための備え」を共同執筆。親族がひきこもり経験者であったことから、社会貢献の一環としてひきこもり支援にも携わるようになる。ひきこもりの子どもを持つ家族の相談には、ファイナンシャルプランナーとして生活設計を立てるだけでなく、社会保険労務士として、利用できる社会保障制度の検討もするなど、双方の視点からのアドバイスを常に心がけている。ひきこもりの子どもに限らず、障がいのある子ども、ニートやフリーターの子どもを持つ家庭の生活設計の相談を受ける「働けない子どものお金を考える会」メンバーでもある。

コメント

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1件のコメント

  1. サポステって対象年齢39歳までじゃないの?
    地域によっても対象年齢が違うのかな。
    それとも引き下げられた?
    40代の家族について相談してみたかったのに、自分の地域のサポステを調べてガッカリしてしまった。