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一人芝居をリアルタイム合成、「40万キロかなたの恋」の可能性とは? 濱谷晃一Pインタビュー

テレビ東京で7月24日よりスタートするドラマ24特別編「40万キロかなたの恋」の濱谷晃一プロデューサーに、コロナ禍の中、制作を決めた背景などを聞きました。

ドラマ24特別編「40万キロかなたの恋」より(C)「40万キロかなたの恋」製作委員会
ドラマ24特別編「40万キロかなたの恋」より(C)「40万キロかなたの恋」製作委員会

 コロナ禍でさまざまな制約を受ける中、3密を避けるために一人芝居をバーチャルスタジオで撮影し、リアルタイム合成で映像化するという、撮影の制約を逆手に取ったドラマ24特別編「40万キロかなたの恋」(毎週金曜 深0:12)がテレビ東京で7月24日よりスタートします。

 同ドラマは、地球と約40万キロ離れた月周辺で、宇宙船にたった1人で長期滞在している孤独な宇宙飛行士の物語。人間嫌いの宇宙飛行士・高村宗一(千葉雄大さん)は人工知能・ユリ(声:吉岡里帆さん)とともに、宇宙での生活に満足していましたが、ある日、地球にいる元恋人・鮎原咲子(門脇麦さん)とモニター越しに再会したことをきっかけに生活が一変し、人工知能も巻き込んだ三角関係に発展するというストーリーです。

 オトナンサー編集部では、同作の濱谷晃一プロデューサーに単独インタビューを実施。コロナ禍の中、制作を決めた背景や作品への思い、見どころなどを聞きました。

失って気付いた「直接会える日常の大切さ」

Q.放送ラインナップの影響を受け、急きょ放送することになったとお聞きしました。そんな状況の中、制作を決められたきっかけと理由を教えてください。

濱谷さん(以下敬称略)「緊急事態宣言もあり、連続ドラマの撮影は軒並みストップ。この影響もあって放送ラインナップの変更を余儀なくされましたが、そんな中で企画の募集があり、コロナ禍でも撮影ができて、この時期にやる意義があるものをと思ったのが制作のきっかけです。

設定を宇宙にしたのは、今作のテーマでもある『非日常』『孤独』『会えることの大切さ』を考えたときに“物理的に会うことができない”という形で伝えようと思い、『地球と宇宙くらい離しても面白いのでは?』と思いつきました。他にも、リモートワークで謎を追う『在宅捜査官』や『怪傑!アベノマスク』というヒーローモノなども提案したのですが、採用されませんでしたね(笑)」

Q.視聴者に見てもらいたいポイントや見どころは。

濱谷「このドラマは、人間嫌いで孤独で過ごすことをよしとしていた主人公が、非日常と新たな出会いを経て、人に会えることの素晴らしさを再認識するという話です。人と会うことができなくなってしまい、失って初めて気付いた『人が直接会える日常の大切さ』を表現し、今作は地球と40万キロ離れた宇宙船を舞台に描いていますが、共感してもらえるポイントがたくさんあると思っています」

Q.リアルタイム合成で映像化するという撮影手法も話題になっています。撮影現場の様子はいかがでしょうか。

濱谷「SFモノやハリウッドの世界ではよくある手法ですが、それをテレ東の深夜ドラマでやってみるというのは、一つのチャレンジでもありました。ただ、今作はとにかく短期決戦で、企画から放送までの時間があまりに少なかったので、今回の撮影手法は非常にマッチしていたのかなとも思いました。

主演の千葉さんは合成用背景の前で、ここが宇宙船だと想像しながら、代読の方やスタッフの合図に合わせてお芝居を丸1日していたので、過酷で孤独な戦いをさせてしまったなとも思います」

Q.大変に思ったことや苦労した点、あるいは新たな発見などがあれば教えてください。

濱谷「世の中がこういう状況でなければ思いつかなかったですし、採用されなかった企画だと思います。昨今の連続ドラマは刑事ドラマ、医療ドラマ、恋愛ドラマ…とリアリティーが重視されるものが多いですから、地球から40万キロ離れた宇宙船が舞台という、思い切り非日常の設定の企画ができているのは、この状況ならではかなと思います。

通常取り入れないリアルタイム合成という手法も、今後やっていく上での選択肢の一つになればいいなとも思います」

Q.宇宙飛行士・高村宗一役に千葉さんを起用した理由は。

濱谷「人が直接会える日常の大切さを表そうと思ったとき、主人公は人と会うことが嫌いな人からスタートしようとも思ったのですが、作品自体はラブコメなので、どこか気難しさと人懐っこさが共存しているような雰囲気の方、愛されるキャラクターを持っている方をみんなで考えた結果、千葉さんということになりました」

Q.千葉さんをはじめ、キャストの方との関係性や現場の雰囲気はいかがでしょうか。

濱谷「キャストの皆さんも予定されていた作品や撮影が延期になったりする中、『短期間だけど集まって良いものを作りましょう』と今作の現場を楽しんでくれていた印象です。『撮影が行われることが当たり前ではないと、今回のことで気付かされた』というような声も聞こえてきましたね。

ただ、千葉さんは間違いなく孤独で過酷だったかと(笑)今作では、基本的に一人芝居の千葉さんがワンシーンだけ、みんなのところに来る場面があったのですが、『みんながいる撮影ってこんな楽しいんだ』とおっしゃっていたのがとても印象的です。千葉さんも1人でいろいろ考えながら取り組んでくれたおかげで、非日常、孤独、会えることの大切さというテーマが、より色濃く作品の中にじみ出ていると思います」

Q.4話限りの特別編ということですが、短い話数の中で視聴者の関心を引くのは難しくありませんか。

濱谷「確かに、通常の連続ドラマに比べれば話数は半分以下です。ただ、今作は1話30分の全4話なのでトータル120分。だいたい映画1本分と考えれば、その中で起承転結は描けますし、この企画で10話近くやっていたら、孤独な時間が長すぎて見ている方もつらいと思います(笑)」

Q.最後にメッセージをお願いします。

濱谷「宇宙やSFと聞くと、興味がないと思う方もいるかもしれませんが(笑)描いているのは、3人の登場人物によるラブコメです。設定こそ宇宙ですが、そこで起こることだったり、日常の延長、共感できる部分は非常にあると思うので、チャンネルを合わせてくれるとうれしいです」

(オトナンサー編集部)

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