仕事や人生を成功に導く、実行可能な「プラン」はどうやって立てる?
新型コロナウイルスの影響で、仕事やプライベートなど人生設計の見直しを迫られている人もいるかと思います。計画を絵に描いた餅にしないためのコツはあるのでしょうか。
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、事業計画の変更などビジネスプランの変更を余儀なくされている人も少なくありません。中には、就職活動や転職活動での軌道修正が必要となり、キャリアプランの見直しを行っている人もいると思います。また、ビジネス上のプランだけでなく、プライベートも含めた人生設計にも影響が生じています。
現状に合ったプランを立てる
このような状況の中で、「プランを立てても、実行に移すことができない」「実行できた試しがないから、プランを立てても無駄だ」「会社からプランを立てろと言われているが、記述するだけで、活用された試しがない」と諦めている人がいます。
プランを立てても無駄なのでしょうか。もし、記述するだけのプランではなく、実際に活用することができ、役に立つプランを立てることができたら、実施してみたいと思わないでしょうか。実は、ほんの数分で実行可能なプランを立てる方法があります。
その方法とは、「積み上げ手法」と「逆算手法」の両方でプランを立てて、それらの共通項を見いだし、実行する方法です。積み上げ手法とは、現状の延長線上で、プランを作成する方法です。いわば、「現在これができているので、その経験を生かして次のステップのプランを立てる」というものです。
例えば、語学の研さんを積む→海外で勤務する→複数社の経験を積み視野を広げる→起業のアイデアを蓄積する→グローバルビジネスを立ち上げる、というように積み上げるわけです。現時点の状況を踏まえてプランを立てるため、個々のプランの実現性は高まります。ただ、現状の延長線上で検討していくので、方向性が一貫しなくなる可能性があります。
そこで用いられる方法が、逆算手法です。最終的な到達地点の姿を思い浮かべ、そこから引き戻してプランを作成します。
例えば、「最終的に、世の中にない新しいビジネスや価値観を生み出せる存在になっていたい」「10年後までには独立して経営者になっていたい」「8年後にはグローバル企業の管理職として仕事ができている必要がある」「そのためには、5年後に海外でのビジネス経験を積みたい」「それに先立って、グローバルビジネススキルを身に付けていなければならない」…というように逆算します。
逆算するため、到達地点までの道筋が見えやすくなります。ただ、到達地点を意識するあまり、自分の現状に合わないプランになってしまう可能性もあります。
自らプランを作成するときには、無意識のうちに、積み上げ手法になっている場合が多く、逆に、上司から言われてプランを作成するときは、逆算手法の場合が多いものです。
積み上げ手法は自分に合ったプランを立てられますが、プランそのものが到達地点に行き着かない可能性があります。逆算手法は上司の指示など必要に迫られて効率的なプランを立てようとするため、到達地点までの道筋は見えやすくなりますが、ストレスがかかりやすく、プラン通りに実行できるとは限りません。このように、一長一短です。
両方のよい部分を抜き出す
そこで、おすすめは、積み上げ手法と逆算手法のいいとこ取りをする方法です。まず、積み上げ手法で現状の延長線上にプランを立てます。それから、積み上げ手法のプランはいったん忘れて、改めて、逆算手法でプランを立てます。
積み上げ手法のプランと逆算手法のプランを見比べると、ほとんどのケースで共通の行動があることが分かります。前に挙げた積み上げ手法と逆算手法のプランの例でいうと、両方に登場してくる行動が、海外勤務と起業です。その共通の行動をつないで、改めてプランを作成します。積み上げ手法と逆算手法の両方に出現した行動は、プラン実現のために欠かせません。
この共通項でプランを立てることで、実現度を高めることができます。積み上げ手法による現状追随に陥ることを防ぎ、逆算手法によるストレス過多を解消できる、中庸の手段といえます。この方法、私が演習を実施している企業のビジネスパーソンのみならず、横浜国立大学大学院で実施している講座で数年来、学生の皆さんに活用いただいています。
中には、積み上げ手法と逆算手法でプランを立てた上で、重要度と緊急度、貢献度の観点から行動の優先順位を付けたり、自分のモチベーションファクター(意欲が高まる要素)と照らしてプロセスを策定したりする人もいます。逆算方式で、現在地点から過去にさかのぼり、これまでの取り組みを確認した上で、積み上げ方式でプランを立てて、実現度を高めるというように、さまざまな工夫をして活用しています。
このように、積み上げ手法と逆算手法を両立させることは、プランが絵に描いた餅にならぬようにするために、有効な方法です。
(モチベーションファクター代表取締役 山口博)
コメント