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渡部建さん、不倫女性に1万円渡す行為は「買春」に当たらない? 売春防止法を弁護士が解説

渡部建さんが不倫相手と性行為を行った際、金銭を渡していたことが明らかになりました。この行為は「買春」として、法的責任を問われないのでしょうか。

渡部建さん
渡部建さん

 お笑いコンビ・アンジャッシュの渡部建さんの不倫報道が波紋を広げています。報道によると、渡部さんは女優の佐々木希さんとの結婚前から、複数の女性と関係があった他、一部の女性と都内の多目的トイレで性行為を繰り返し、1万円を対価として渡していたといいます。

 そもそも、性行為の際に金銭を渡す行為は「買春」として、法的責任を問われないのでしょうか。グラディアトル法律事務所の若林翔弁護士に聞きました。

売春は「不特定の相手方と性交すること」

Q.売春防止法では、売春、買春が禁止されています。どのような行為が売春、買春と見なされるのでしょうか。また、どのような刑罰を受けるのですか。

若林さん「売春防止法では売春について、『対償を受け、または受ける約束で、不特定の相手方と性交すること』と定義しています(同法2条)。

つまり、『対価をもらい、またはその約束をして不特定の人と性交をする』ことを売春とし、同法3条で『何人も、売春をし、またはその相手方となってはならない』として、売春、買春(主に買う側の男性が金品を渡して女性と性交すること)を禁止しています。もっとも、個人間の売春や買春には刑罰はありません。

ただし、対価を伴う性行為や性交類似行為などの相手が18歳未満の場合は、児童買春(児童買春・ポルノ禁止法2条2項)に該当し、5年以下の懲役または300万円以下の罰金(同法4条)という重い罪に当たります」

Q.渡部さんのケースのように、性行為の際に相手の女性に金銭を渡すことは買春に該当するのでしょうか。また、金銭を受け取った女性は売春に当たりますか。

若林さん「渡部さんのケースでは、渡部さんと相手女性の関係性にもよりますが、特定の相手との行為であれば、『不特定の』相手との性交とは言えず、売春や買春に当たりません。

また、高収入と言われる渡部さんにとって、1万円という金額は性交の対価としては低いように感じます。渡部さんは1万円を性交の対価ではなく、不倫相手の帰りのタクシー代として認識していたのかもしれません。

仮に、不特定の相手との対価を伴う性行為があった場合など、当該行為が買春、売春に当たるとしても、先述したように、当事者間の単純な売春、買春には罰則はないため、相手方が18歳以上であれば、処罰されることはありません」

Q.売春防止法がつくられた背景とは。当事者間の売春、買春は罰せられないとのことですが、どのような行為が処罰の対象となるのでしょうか。

若林さん「もともと、売春防止法は戦後にできた法律で、貧困状態にある女性や性的搾取の対象になっている女性を保護し、売春を助長するような行為にのみ罰則を科すという目的で作られました。その目的は、売春防止法1条に記載されています。

『この法律は、売春が人としての尊厳を害し、性道徳に反し、社会の善良の風俗をみだすものであることにかんがみ、売春を助長する行為等を処罰するとともに、性行または環境に照らして売春を行うおそれのある女子に対する補導処分および保護更生の措置を講ずることによって、売春の防止を図ることを目的とする』

売春防止法が処罰の対象としているのは、売春を助長する行為です。具体的には、勧誘、周旋(あっせん)、困惑や暴行・脅迫により売春させる行為、売春をさせる契約、売春場所の提供、管理売春などです」

Q.金銭を渡した相手から後日、「合意もなく性行為を行った」などと訴えられた場合、金銭を渡した側が法的責任を問われる可能性はありますか。

若林さん「相手の女性に対して、反抗を著しく困難にする程度の暴行や脅迫を用いて性交などをしていた場合、強制性交等罪(旧強姦罪、刑法177条)に該当する可能性はあります。

ただ、今回のケースでは、相手の女性は渡部さんと複数回性行為をしており、毎回1万円を受け取っていたようなので合意があったとされ、暴行や脅迫による性行為ではなかったと判断されるでしょう」

Q.風俗店は買春、売春をあっせんする施設と見なすこともでき、法に触れる可能性もあります。なぜ、営業が可能なのでしょうか。

若林さん「売春に該当するのは性交(セックス)を行うときで、風俗店は性交をしないということで営業をしています。そのため、営業が認められています。風俗店で性交(いわゆる『本番行為』)が行われていたとして、売春防止法(周旋や場所提供)で有罪になったケースもあります」

Q.売春防止法とは別ですが、渡部さんは商業施設の多目的トイレで性行為を行っていました。この行為について法的責任を問われる可能性はあるのでしょうか。

若林さん「建造物侵入罪(刑法130条)に該当する可能性があります。通常であれば、建造物の管理権者は『性行為を目的とする人には建物内の多目的トイレに立ち入ってほしくない』と考えるのではないでしょうか。

つまり、性行為をするために多目的トイレに入ることは、管理権者の意思に反する『侵入』に当たると考えられ、3年以下の懲役または10万円以下の罰金を科される可能性があります」

(オトナンサー編集部)

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若林 翔(わかばやし・しょう)

弁護士

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。YouTubeチャンネル「弁護士ばやし」(https://www.youtube.com/channel/UC8IFJg5R_KxpRU5MIRcKatA)、誹謗中傷削除・発信者情報開示サイト(https://defamation.gladiator.jp/)。

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