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生徒着用の学校も 「フェースシールド」って本当に必要? 熱中症リスクは?

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、「フェースシールド」を生徒に着用させる学校もあります。フェースシールドは本当に必要なのでしょうか。

フェースシールドは本当に必要?
フェースシールドは本当に必要?

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の解除後、多くの商業施設や学校が再開しました。接客業の人が「フェースシールド」を着用しているケースが目立ちますが中には、児童、生徒に着用させている学校もあります。ただ、フェースシールドはマスクと一緒に使われることも多く、熱中症にかかる危険性が高まる可能性もありそうです。

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ上で、フェースシールドは本当に必要なのでしょうか。医療ジャーナリスト・キャスターの森まどかさんに聞きました。

飛沫飛散にはマスクの方が効果

Q.フェースシールドを児童、生徒に着用させる学校があります。フェースシールドは本当に必要なのでしょうか。

森さん「医療現場などの感染リスクが高い職種や、至近距離で長時間の接客が必要な職種では、顔全体を覆うフェースシールドとマスクを着用する必要が出てきますが、一般的な生活の場では、フェースシールドを着用する必要性は低いと考えられています。

フェースシールドに期待される効果は『相手の飛沫(ひまつ)が顔に直接かからない』『目や鼻や口に自分の手が触れることを防ぐ』ですが、顔の側面に隙間ができるため、完全に防げるわけではありません。また、マスクのように自分の飛沫が飛び散ることを防げるかどうかについては明らかではなく、マスクの方が効果は高いとされています。

文部科学省が作成した『学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル』でも、『児童生徒等および教職員は、基本的には常時マスクを着用することが望ましい』と書かれており、特別な理由がない場合は、フェースシールドではなくマスクの着用が適切であると考えられます。ただし、長時間のマスク着用が難しい人、コミュニケーションを取る上で顔の表情や口元が見えた方がよい場合などは、フェースシールドが必要になることもあります」

Q.それでは、フェースシールドを使わずに感染拡大を避ける方法はあるのでしょうか。

森さん「すでにご存じかもしれませんが、人と人との距離を2メートル(最低1メートル)空けることが推奨されています。これは『フィジカルディスタンス』、あるいは『ソーシャルディスタンス』と言われている方法で、飛沫の付着や接触のリスクを下げるために有効です。近い距離での会話が必要な場合は、マスクの着用や正面で向き合わないことが対策として挙げられます。

もちろん、小まめに丁寧な手洗いを心掛けること、換気をすることも感染拡大を避けるために大切です。目をこすったり、触ったりする癖がある人は眼鏡をかけるというのも、ある程度の効果を期待できる一つの方法です」

Q.学業上、フェースシールドが必要な児童、生徒は、どのように使うのが適切なのでしょうか。マスクと一緒に使用されるケースが多いため、熱中症の危険性はないのですか。

森さん「顔のサイズに合ったもので、できるだけ側面まで覆うことができるものを着用するのがよいと思います。使用中は、素手でフェースシールドの表面に触れないよう注意する必要があります。

また、これからの季節は、フェースシールドとマスクとの併用による『熱中症』『脱水症』が心配になります。息苦しいと感じたり、暑さがこもって苦痛になったりした場合には、フェースシールドを外して体の負担を軽くすることが大切です。

マスクをしていることで口の中が渇いた状態になっていることに気付かない子、口や顔を覆っていることで水分摂取が面倒になる子もいます。熱中症や脱水症が重症化しないよう、夏場のフェースシールドやマスク着用時の体調の変化には十分注意しましょう。特に低学年の児童については、教職員が気を付けて様子を見る必要があると思います」

Q.フェースシールドは、未就学児に使わせても問題ないのでしょうか。

森さん「使用する場合は安全性に留意し、窒息や熱中症、けがなどの『事故』に気を付ける必要がありますが、そもそも、公益社団法人日本小児科医会はフェースシールドについて『子どもだけの集団で、そこまでして感染防御を考える必要はないと考えます』という見解を示しています。この背景には、感染しにくく、重症化もしにくいという、成人と異なる健康な子どもの感染状況があります。

乳幼児は気道が狭いため、マスク着用やフェースシールドの位置によっては、呼吸や心臓への負担につながることもあるので、メリット/デメリットの両面を考えて判断すること、子どもに強要しないことが大切ではないでしょうか」

Q.もし、フェースシールドを使う場合、どのように手入れをすればいいのでしょうか。

森さん「フェースシールドの表面にウイルスが付いている可能性があるので、複数人で使い回したりせず、使用後は毎日、アルコール消毒か洗剤を使って洗うなどの手入れが必要です。途中で外したときもフェースシールドを放置せず、素手で触っていれば、手指とフェースシールドの両方を洗うか消毒する必要があります。使い切りマスクや洗濯可能な布マスクよりも慎重な扱いが求められます」

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森まどか(もり・まどか)

医療ジャーナリスト、キャスター

幼少の頃より、医院を開業する父や祖父を通して「地域に暮らす人たちのための医療」を身近に感じながら育つ。医療職には進まず、学習院大学法学部政治学科を卒業。2000年より、医療・健康・介護を専門とする放送局のキャスターとして、現場取材、医師、コメディカル、厚生労働省担当官との対談など数多くの医療番組に出演。医療コンテンツの企画・プロデュース、シンポジウムのコーディネーターなど幅広く活動している。自身が症例数の少ない病気で手術、長期入院をした経験から、「患者の視点」を大切に医師と患者の懸け橋となるような医療情報の発信を目指している。日本医学ジャーナリスト協会正会員、ピンクリボンアドバイザー。

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