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家で一日中デスクワークで「エコノミークラス症候群」のリスク? 予防法は?【#コロナとどう暮らす】

新型コロナウイルスの影響で、在宅勤務をする人が増えました。しかし、一日中、家にこもってデスクワークを続けていると「エコノミークラス症候群」になる恐れがあるようです。

在宅勤務で「エコノミークラス症候群」に?
在宅勤務で「エコノミークラス症候群」に?

 新型コロナウイルスの影響で在宅勤務をする人が増え、緊急事態宣言解除後も継続している人が多いようです。宣言中ほどではないものの、外出も控え気味の人が多く、梅雨に入ったこともあって一日中、家でデスクワークという人も多いのではないでしょうか。デスクワークを続けていると、心配なのが「エコノミークラス症候群」で、医療関係者も注意を呼び掛けています。

 在宅勤務とエコノミークラス症候群の関係について、内科医の市原由美江さんに聞きました。

有症ならすぐに救急車を

Q.まず、エコノミークラス症候群の正式名称や原因、症状、危険性、治療法、なりやすい人の特徴について教えてください。

市原さん「いわゆる、エコノミークラス症候群は医学的には『肺血栓塞栓(そくせん)症』、または『肺塞栓症』といいます。

長時間座った状態で脚を動かさないでいると、血液が固まりやすくなり、脚の静脈に血栓(血液の塊)ができることがあります。これを『深部静脈血栓症』といいます。こうして脚に血栓ができると、脚が腫れたり痛んだりします。血栓が脚にとどまっている状態の場合の治療法としては、血液をサラサラにする薬や血栓を溶かす薬の使用、血栓を捕捉するフィルターの静脈への挿入・留置などが行われます。

しかし、血栓が血流にのって肺の動脈をふさいでしまうと、肺塞栓症となり、息切れや胸痛などの症状が急に出現し、命に関わります。肺塞栓症の治療は血栓を溶かす薬を使ったり、カテーテルなどで血栓を直接取り除いたりします。

血液の流れが滞ることで発症しやすくなるので、寝たきりの人、手術後の人、長時間座って作業をする人、脱水状態にある人のリスクが高いです。また、薬の副作用として、ピルを飲んでいる人は血栓ができやすいので注意が必要です。動脈硬化が進行していると血栓ができやすくなるため、喫煙者に加え、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病の人も注意が必要です」

Q.在宅勤務で、エコノミークラス症候群になりやすくなる可能性はありますか。

市原さん「在宅勤務は長時間座っていることが多いと考えられるので、可能性はあります。先述したリスクの高い人のうち、『長時間座って作業をする人』にあたります」

Q.分散登校やオンライン授業で、今も在宅時間が長い子どもたちもいます。子どもがエコノミークラス症候群になる恐れもあるのでしょうか。

市原さん「子どもは、大人に比べれば可能性が低いと思いますがゼロではありません。どの年代でも注意すべきです」

Q.気温が高い季節になることや、梅雨に入ったことはリスクが高まる要因になるでしょうか。

市原さん「気温の上昇で脱水状態になる危険性が高まったり、雨で外出を控えて、座った状態が長引いたりすることが考えられますので、リスクが高まる要因になります。脱水が発症リスクを上げるので、意識して水分を摂取することが大切ですし、長時間座り続けることにも注意が必要です」

Q.エコノミークラス症候群の兆候となる症状はありますか。その場合、すぐに病院に行った方がよいのでしょうか。万が一、発症してしまったら、救急車を呼ぶしかないのでしょうか。

市原さん「肺塞栓症の前段階である深部静脈血栓症は、両脚よりは片脚に症状が現れることが多いです。膝の裏や太もも、ふくらはぎに痛みを感じたり腫れてきたりと、普段と異なる症状が現れた場合は医療機関に相談しましょう。深部静脈血栓症が疑われる場合、長時間歩くといった脚への刺激を避け、タクシーなどを利用して、なるべく安静にして過ごしましょう。

急な胸痛や息苦しさなど、肺塞栓症が疑われる症状があるときは、ためらわずに救急車を呼んでください」

Q.在宅勤務の継続と外出自粛によって、在宅時間が長くならざるを得ないことを前提に予防法を教えてください。また、連続してのデスクワークはどのくらいの時間にした方がよいかもお願いします。

市原さん「在宅勤務は座っている時間が長くなりがちなので、最低でも2~3時間おきに休憩をとり、軽い体操やストレッチをして、水分を小まめに摂取するようにしましょう。また、座ったままでも、脚を定期的に動かすことで血流が滞ることを予防することができます」

(オトナンサー編集部)

市原由美江(いちはら・ゆみえ)

医師(内科・糖尿病専門医)

横浜鶴ヶ峰病院付属予防医療クリニック副院長。自身が11歳の時に1型糖尿病(年間10万人に約2人が発症)を発症したことをきっかけに糖尿病専門医に。病気のことを周囲に理解してもらえず苦しんだ子ども時代の経験から、1型糖尿病の正しい理解の普及・啓発のために患者会や企業での講演活動を行っている。また、医師と患者両方の立場から患者の気持ちに寄り添い、「病気を個性として前向きに付き合ってほしい」との思いで日々診療している。糖尿病専門医として、患者としての経験から、ダイエットや食事療法、糖質管理などの食に関する知識が豊富。1児の母として子育てをしながら仕事や家事をパワフルにこなしている。オフィシャルブログ(https://ameblo.jp/yumie6822/)。

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