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30日以内なら取り消し 「離婚クーリングオフ」を導入する中国の離婚事情

「人民日報」に延べ12億人がアクセス

Q.今回の、新制度の狙いは。また、具体的に制度はどう変わるのでしょうか。

青樹さん「共産党は『調和の取れた社会』(和諧社会)を目指しています。その社会の基盤は家庭なのに、こんなに離婚率が高いと困る、何とかしなければということで、衝動的に離婚するのを避け、少し冷却期間を置きましょうとなりました。それが『離婚冷静期』(離婚クーリングオフ)という新制度です。

現在は協議離婚と訴訟離婚がありますが、いずれにせよ、意見が一致して役所に手続きに行けば、離婚が成立しました。新制度導入後の2021年1月からは、離婚届け出から30日間は、夫婦のどちらかが撤回を申し出たら取り消しできることになりました。なお、DVがあった場合や重婚、相手が麻薬中毒、ギャンブル依存症といった場合は適用されません」

Q.新制度について、中国国内の反応は。

青樹さん「今回の全人代は、新型コロナウイルス関連のことやトランプ大統領との関係に、世界の注目が集まっていましたが、その中でも、この新制度への反応は大きかったようです。

人民日報だけでも、離婚冷静期のニュースに延べ12億人がアクセスし、56万人がコメントを書き込んだそうです。その他、SNSの書き込みを見ると、『離婚の自由さえ奪うのか』という意見、『衝動的な離婚が減るのではないか』という意見の2つに集約されているようです。

中国人なら誰もが知っているオピニオンリーダー的な男性キャスターは、新制度について、『離婚の自由を奪うものではなく、衝動的な離婚を防ぐのが目的だ』と言及しています」

Q.日本でも、離婚クーリングオフ制度を導入した方がよいのでしょうか。

青樹さん「日本では必要ないと信じたいです。中国人ほど衝動的ではありませんので(笑)肌感覚で言っても、中国では衝動的な結婚、衝動的な離婚が本当に多いです。だからといって、法律で規制するのも疑問ですが。

ちなみに、日本では外出自粛中に夫婦仲が悪くなり、『コロナ離婚』の増加が懸念されていますが、中国も同様で、ロックダウン(都市封鎖)中に仲たがいした夫婦が多く、ネットでは、外出禁止令解除後、最初に何をしたいかという問いに『離婚専門の弁護士事務所に行く!』という書き込みも目立ちました」

(オトナンサー編集部)

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青樹明子(あおき・あきこ)

ノンフィクション作家・中国社会情勢専門家

早稲田大学第一文学部卒、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科修士課程修了。大学卒業後、テレビ構成作家や舞台脚本家などを経て企画編集事務所を設立し、業務の傍らノンフィクションライターとして世界数十カ国を取材する。テーマは「海外・日本企業ビジネス最前線」など。1995年から2年間、北京師範大学、北京語言文化大学に留学し、1998年から中国国際放送局で北京向け日本語放送のキャスターを務める。2016年6月から公益財団法人日中友好会館理事。著書に「中国人の頭の中」「『小皇帝』世代の中国」「日中ビジネス摩擦」など。近著に「中国人の『財布の中身』」(詩想社新書)がある。

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