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木村文乃が時代劇に引っ張りだこの理由 女性に求められる“芯の強さ”

NHK大河ドラマ「麒麟がくる」で、明智光秀の正室・煕子を演じる木村文乃さん。時代劇への起用が続く理由を考察します。

木村文乃さん(2020年01月、時事)
木村文乃さん(2020年01月、時事)

 現在放送中のNHK大河ドラマ「麒麟がくる」(毎週日曜 後8:00)で主人公・明智光秀(長谷川博己さん)の正室・煕子(ひろこ)を演じている女優の木村文乃さん。戦国武将による激動の時代を描く同ドラマにあって、一服の清涼剤のような役割を果たしています。

 これまでも木村さんは、フジテレビ系人気ドラマ「大奥」シリーズの完結作となる「大奥 最終章」(2019年3月)に8代将軍・徳川吉宗の側室・お久免の方で主演。江戸時代が舞台の映画「居眠り磐音」(2019年公開)でもヒロインを演じるなど、時代劇への起用が続いています。

 木村さんの魅力や時代劇との相性について、コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんに聞きました。

「功名が辻」以来14年ぶりの大河

 木村文乃さんのパブリックイメージについて、木村隆志さんは次のように語ります。

「出始めの頃は、お嬢さま的なキャラクターを演じることが多かったのですが、5年ほど前から、アクションもできる強い女性、一癖ある役などもこなすようになり、さまざまな感情が表現できる女優です。

一見、お嬢さまのような雰囲気でも芯の強さがにじみ出るため、キャラクターにギャップが生まれやすいという魅力があります。また、女性らしさを感じさせる爽やかなCMに出演されていることもあって、親しみのあるイメージも持ち合わせています」

 プライベートでは昨年、離婚を経験していますが、人気に影響はないと木村隆志さん。

「コアなファン層がいる女優は結婚や離婚が人気に影響を及ぼしますが、いい意味でそれがない木村文乃さんは問題ないでしょう。また、芝居をする上で、豊富な人生経験は糧になりますから、その経験はむしろ強みにすらなりうるものです」

「麒麟がくる」で演じる煕子は、3月15日放送の第9話「信長の失敗」で花びらが舞う演出の中で初登場、4月5日放送の第12話「十兵衛の嫁」では、光秀との祝言が描かれました。公式サイトは「戦乱に明け暮れ疲弊する光秀の心の支えとなる女性」と紹介しています。

 なお、「麒麟がくる」とほぼ同じ時代が描かれた大河ドラマ「功名が辻」(2006年)は、木村文乃さんのテレビドラマ初出演作でもありました。今回14年ぶりの大河出演ですが、時代劇との相性がいいと木村隆志さんは指摘します。

「黒髪のイメージがあり、着物が似合っていますし、しゃべり方のトーンも落ち着いていますが一方で、りりしさを感じさせる演技もできます。品の良さを感じさせますが、これは言い換えれば、人を寄せ付けない、近寄りがたいということにもなりかねません。ただ、彼女はいい意味で普通っぽい、親しみのある女性なので、そういう印象にならないところも強みと言えるでしょう」

「時代劇は元々、女性の描き方が難しいジャンルです。『麒麟がくる』のような戦国時代を描く時代劇は、基本的に武将たちだけでストーリーが動くので、女性を描く必然性に欠けるところがあります。

そこで、女性を物語に絡ませるために、武将の父や夫に影響を与えたり、戦国時代でも流されずに、たくましく生きる姿を見せたりするなどの役割を与えるケースが多くなります。その意味で、芯の強さを感じさせる木村文乃さんはハマりやすいのでしょう」

 木村文乃さん自身、熙子の印象について、「生きるか死ぬかの戦国の世にありながら、ふわりとした柔らかな女性」としながらも、「妖精のようなふわりとした中にも戦国武将・明智光秀の妻としての芯は、どこかに出していかなければいけないと思っています」と語っています。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で撮影休止が発表されていますが、「麒麟がくる」は、武将たちの従来のイメージを覆すようなストーリーやキャスティングで話題になっています。木村文乃さんが今後、どのような存在感を発揮していくのか注目です。

(オトナンサー編集部)

木村隆志(きむら・たかし)

コラムニスト、コンサルタント、テレビ解説者

雑誌やウェブに月間30本前後のコラムを寄稿するほか、「週刊フジテレビ批評」などに出演し、各局のスタッフに情報提供も行っている。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアー、人間関係のコンサルタントとしても活動中。著書に「トップ・インタビュアーの『聴き技』84」「話しかけなくていい!会話術」など。

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