揚げ物、ハンバーグ…肉料理の下に「スパゲティ」が敷かれるのはなぜ?
弁当店のおかずの揚げ物やハンバーグの下に、「スパゲティ」が敷かれていることがあります。なぜ、敷かれているのでしょうか。

弁当店でおなじみのおかずといえば、揚げ物やハンバーグなどの肉料理が挙げられます。これらのおかずの下には「スパゲティ」が入っていることが多いですが、味が付いているわけでもなく、おかずというには不十分なことも多いです。なぜ、スパゲティが揚げ物やハンバーグの下に敷かれているのでしょうか。その役割とは。
料理研究家で管理栄養士の関口絢子さんに聞きました。
スパゲティには4つの役割
Q.弁当店の弁当には、なぜ、揚げ物やハンバーグの下にスパゲティが敷かれているのでしょうか。
関口さん「揚げ物やハンバーグの下に敷かれているスパゲティには、4つの意味があります。
1つ目は、おかずの下に敷くことによって量が多く見え、豪華な盛り付けになることです。刺し身のつまのような立体感のある盛り付けと同じです。2つ目は、運搬中におかずが片寄ったり散らばったりして、見栄えが悪くなるのを防ぐことです。スパゲティを土台に入れておくことで、隙間を減らし、おかずを滑りにくくしているのです。
3つ目は、弁当の容器を熱から守るクッションの役目です。唐揚げなどの揚げ物は出来上がりの温度が200度近くあり、おかずをそのまま入れると容器が変質する恐れがあります。スパゲティを敷くことで直接触れるのを避けるとともに、空気の層があるので揚げ物の蒸気が放出しやすくなります。
4つ目は、おかずから出る脂や汁気、揚げ物の油を吸って、おかずがべちゃっとするのを防ぐ効果です」
Q.スパゲティには、特に味が付いていない場合が多いようです。おかずとしては不十分に思いますが、なぜ、味が付いていないのでしょうか。
関口さん「ここで敷かれているスパゲティはおかずの一品というよりも、おいしくおかずを保つための素材という役割です。そのため、おかず自体の味に影響が出ないよう、スパゲティにはあえて味付けをしていないことが多いです。
味付けされていると、スパゲティ自体の味もおかずからの油やソースによって変わってしまいます。ハンバーグや焼き肉などソースがあるものは、スパゲティをソースに絡めて食べることができるという側面もあります」
Q.弁当で揚げ物の下に敷かれたスパゲティは、長時間その状態が続くと、揚げ物の油を吸い込み、脂っこくなることがあります。こうした場合、無理に食べない方がよいのでしょうか。
関口さん「揚げ物の下のスパゲティは油を吸わせるために使われているので、食べなくてもよいと思います。食品に直接触れるものは、付け合わせや彩りのためだけだとしても、口に入っても安全なものが望ましいので、スパゲティを活用していることが多いのだと思われます。もちろん、食べたとしても体に害があるわけではありません」
Q.スパゲティの代わりに、レタスやキャベツなどの野菜が敷かれている弁当もあります。野菜を敷く場合とスパゲティを敷く場合とでは、何か違いがあるのですか。
関口さん「生野菜を敷くと、時間がたって野菜から水が出たり、しんなりして見栄えが悪くなったりします。そのため、おかずの消費期限が短くなってしまいます。お昼ご飯の時間帯だけで売り切るような出来たてを売りにするお弁当では、新鮮な野菜があることで、見た目や食感、味わいも変わってくると思います。
しかし、消費期限がある程度長い弁当や電子レンジで温め直すことが前提の弁当には、生野菜は不向きです」
Q.弁当で、揚げ物やハンバーグの下に敷く食材としては、スパゲティが一番優れているのでしょうか。あるいは、その他にも適切な食材があるのでしょうか。
関口さん「スパゲティは常温で長期間ストックできる上、調理もゆでるだけと手軽で材料費も安く、多くの弁当業者で利用されているのだと思います。
フライドポテト、マッシュポテト、揚げた春雨、ゆでたモヤシ、加熱後、細切りしたタケノコやニンジン、ミックスベジタブルなどの冷凍野菜を炒めたものが使われる場合もありますが、メインのおかずとの相性や特性によって、向き不向きがあると思います」
(オトナンサー編集部)
おまけパスタは、「箸休め」だと思います。