帰宅拒否夫に問う「俺が家に帰りたくない理由」 妻からの逃避で“恐怖の老後”へ
「帰宅拒否夫」、筆者の言葉で「おひとリーマン」。妻の問題としてではなく、お互いの問題として捉えてみることが必要かもしれません。
「帰宅拒否症」という言葉を聞くと、「仕事の後、家にすぐ帰りたくない症状なんだろうな」と容易に想像できます。職場や学校に行きたくなくなる「五月病」の真逆版です。「帰宅拒否夫」は、怖い奥さんが家にいるから居心地が悪いのだというのが一般的な見解です。
家に帰りたくないので街で時間をつぶして帰る夫を、私は「おひとリーマン」と名付けました。妻側に「もっと優しくしましょう」と伝えるものの、一方で、夫側の声を聞くにつけ、「子どもっぽくないですか」と突っ込みたくなるケースもあります。そう、夫側の原因もなきにしもあらずなのです。
「妻が悪い」視点ではなく「お互いにどうよ」の視点で、おひとリーマンの事例を見てみましょう。
2人目誕生後、妻の締め付けが厳しく
【俺は家が嫌だ:事例1】
彬さん(仮名、30代)は、2人の子どものパパ。長女が生まれたときはかわいくて、早く家に帰って抱っこしたいと胸を躍らせて家路を急いでいました。しかし、2年前に下の子どもが生まれてから、妻の締め付けが次第に厳しくなります。
「日中、家事も子育てもワンオペなんだから、夜はあなたがやって」と、食器の片付けや風呂掃除、オムツ替え、寝かしつけなどを全部押し付けます。その上、子ども2人で家計が大変だからと、小遣いも3分の2に減額。結婚当初の優しい笑顔は消えました。顔を合わすたびに「あれやって、これやって」です。
彬さんは仕事の後、わざと1時間、ファストフード店で100円のコーヒーを飲むか、コンビニ併設のイートインでぼーっとしてから帰るようになったといいます。
【俺は家が嫌だ:事例2】
良樹さん(仮名、40代後半)はリストラで一度職を失いました。そのとき、妻に散々嫌みを言われたのが心に残っています。今は再就職しましたが給与は減り、妻はパート先を掛け持ちして働き始めました。
妻のレストラン勤務が夜番のときは、普通に帰宅してのんびりしますが、妻が夕方から家にいる日は、コミックカフェか駅ビルで時間をつぶしてから深夜に帰宅します。妻の顔を見ると下腹が痛くなるので、トイレにいることも増えました。
妻は暗い顔で「私がこんなに働かなきゃいけないのは、あなたが前の会社を辞めさせられたせいだ」と毎日愚痴を言い、高校生の長男に「父さんみたいになるな」と告げることもしばしば。良樹さんは、自分に自信がなくなっています。
いずれも話を聞くとつらくなる状況です。「妻が怖いから家にいたくない」という短絡的な発想ではありません。「自分でも他にどうしていいか分からない」「出口がない闇のような日々で、気持ちを落ち着けるには1人の時間を過ごすしかない」というジレンマを感じます。
コメント