オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

今どきの若者事情、その「慎ましい」言葉がアダになる

「誤用」ではないダブルミーニング

 このように「機会があれば」には「損する」トラップがまだまだたくさん残っています。とはいえ、「言葉狩り」には反対です。私自身、嫌なヤツにはニッコリ笑って「機会がございましたら」と、「拒絶」の意思表示に使っています。その点では、日本語のあいまい表現は実に便利です。

 また、ビジネスから離れて恋愛に目を向けてみましょう。「機会があれば」は「拒絶」の美化語として若い女性に多用されているようです。その一方で「本当は好きなんだけど、自分から言うのも恥ずかしい」といった、「裏の裏は表」といった使い方もされています。良く言えば「奥ゆかしい」、はっきり言えば「まどろっこしい」。なかなか一筋縄でいかないのが「機会があれば」です。

 日本語のダブルミーニングは決して「誤用」ではありません。だから「機会があれば」の意味も「正否」では分けられないのです。ただ、「損する」リスクを知っていれば、何気なく慣用句感覚で使っている若者も「損をしない」で済みます。

 本来的な用途ならば、「機会があればよろしくお願いします」ではなく「ぜひよろしくお願いします」に変えればいいだけのことです。「言葉の意味が間違っている」ではなく、「言葉の使い方で損をしている」。これこそが、日本語特有の婉曲さではないでしょうか。

(辛口社会エッセイスト サイゴー・ヴァン・ウィンクル)

1 2 3 4

サイゴー・ヴァン・ウィンクル

辛口社会エッセイスト

1960年代生まれで学生時代は「新人類」と呼ばれた。バブルを満喫した一方で、暗黒の不況時代の辛苦も味わった「酸いも甘いも知り尽くした」悲しいジェネレーション。シニカルにして小心者。得意とするのは、池上彰が教えてくれない社会時評。ナポリタンと椎名林檎をこよなく愛する。

コメント