今どきの若者事情、その「慎ましい」言葉がアダになる
「誤用」ではないダブルミーニング
このように「機会があれば」には「損する」トラップがまだまだたくさん残っています。とはいえ、「言葉狩り」には反対です。私自身、嫌なヤツにはニッコリ笑って「機会がございましたら」と、「拒絶」の意思表示に使っています。その点では、日本語のあいまい表現は実に便利です。
また、ビジネスから離れて恋愛に目を向けてみましょう。「機会があれば」は「拒絶」の美化語として若い女性に多用されているようです。その一方で「本当は好きなんだけど、自分から言うのも恥ずかしい」といった、「裏の裏は表」といった使い方もされています。良く言えば「奥ゆかしい」、はっきり言えば「まどろっこしい」。なかなか一筋縄でいかないのが「機会があれば」です。
日本語のダブルミーニングは決して「誤用」ではありません。だから「機会があれば」の意味も「正否」では分けられないのです。ただ、「損する」リスクを知っていれば、何気なく慣用句感覚で使っている若者も「損をしない」で済みます。
本来的な用途ならば、「機会があればよろしくお願いします」ではなく「ぜひよろしくお願いします」に変えればいいだけのことです。「言葉の意味が間違っている」ではなく、「言葉の使い方で損をしている」。これこそが、日本語特有の婉曲さではないでしょうか。
(辛口社会エッセイスト サイゴー・ヴァン・ウィンクル)

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