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激務支社で怒られ続けた42歳男性、「異動」で見つけた新しい自分

海外転勤で気付いた妻の頼りがい

 家族がいると、引っ越しを伴う転勤、それも海外への転勤は重大事です。運輸関係の会社に勤めるBさん(39歳男性)には、妻と幼い娘がいます。転勤先はタイで、4年間、タイで勤務した後、日本に戻る約束でした。転勤が多い業種なのである程度覚悟していましたが、いざ転勤辞令が出るとやはり驚いたようです。

「出張で何度か行っていたところだったので、全く知らない土地というわけではなかったんですが、家族を一緒に連れてゆくとなると話は別です。子どもを育てられるきちんとした環境があるのかも心配でした」(Bさん)

 単身赴任も検討しましたが、妻の「一緒に行こう」の一言で話は決まりました。

「妻は『家族なら一緒に暮らすのがいい』と言ってくれて、意外でしたがうれしかったです。妻はドライな性格で、家族や僕に対してそうした思いを抱いてくれているとは思っていなかったので」(Bさん)

 転勤を機に、Bさんの妻は仕事を辞めて専業主婦となりました。

「新生活の最初は何かと不安でしたが、妻がしっかり情報収集をしてくれていて、子どもの幼稚園選びもスムーズに決まりました」(Bさん)

 転勤から約1年がたち、妻が妊娠しました。Bさんは妻に「娘を連れて帰国して、里帰り出産してはどうか」と提案しましたが、妻は「妊婦が飛行機に乗るリスクがあるし、こっち(タイ)でも安心して出産できる病院はある」と言い、さっさと情報収集して病院を見つけてきました。

「妻があんなにたくましいとは思いませんでした。ひょっとしたら、異国の地で子どもを守って暮らすという使命感が妻を強くしたのかもしれません。『自分が無事に仕事をできているのも妻のおかげだな』と、以前より一層強く思うようになりました」(Bさん)

 Bさん家族のように、転勤を機に家族の絆が深まることもあるようです。

 慣れ親しんだ環境を手放すことを余儀なくされる異動の辞令は、場合によってはネガティブな影響をもたらすこともあるでしょう。しかし、思わぬ発見や成長のチャンスが新天地で待っているかもしれず、それは、人生経験がある程度培われているアラフォー世代やそれ以降の世代であっても変わらないようです。

(フリーライター 武藤弘樹)

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武藤弘樹(むとう・こうき)

フリーライター

早稲田大学第一文学部卒。広告代理店社員、トラック運転手、築地市場内の魚介類卸売店勤務などさまざまな職歴を重ね、現在はライターとミュージシャンとして活動。1児の父で、溺愛しすぎている飼い猫とは、ほぼ共依存の関係にあるが本来は犬派。趣味はゲームと人間観察。

geetara610@gmail.com

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