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フィギュア中止で試練のフジテレビ、苦心の“4日間”が映すさらなる不安

フジテレビで3月19日から4日間にわたって放送予定だった「世界フィギュアスケート選手権2020」が中止に。急きょ、映画2本、緊急生放送2本が編成されましたが…。

「直撃! シンソウ坂上」MCの坂上忍さん(2018年7月、時事通信フォト)
「直撃! シンソウ坂上」MCの坂上忍さん(2018年7月、時事通信フォト)

 3月12日、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に伴い、カナダで開催予定だった「世界フィギュアスケート選手権2020」の中止が発表されました。19日から22日の4日間にわたって放送する予定だったフジテレビにとっては大打撃。もちろん、中止のリスクは多少なりとも考えていたでしょうが、わずか1週間前の発表に衝撃を受けたのは間違いないでしょう。

 フジテレビにとって、フィギュアスケートは高視聴率が確実視される重要コンテンツ。しかも、今回は3連休を含む4日間のゴールデンタイムであり、外出自粛で例年以上に在宅率が高いことも併せて、大きな期待が寄せられていました。

「4日間分のゴールデンタイムがごっそり空いてしまう」という危機的状況に見舞われたフジテレビは「春くるプロジェクト」と題して、19日に「直撃! シンソウ坂上特別編 新型コロナウイルス緊急生放送」、20日に映画「ザ・マミー/呪われた砂漠の王女」、21日に「緊急生放送! FNS音楽特別番組 春は必ず来る」、22日に映画「モアナと伝説の海」の放送を決めました。

 つまり、急きょ、映画2本と緊急生放送2本を編成したのですが、当然ながら事前に宣伝できなかったこともあり、大苦戦が予想されています。「春くるプロジェクト」はどんな結果が予想され、それは今後の何を意味するのでしょうか。

「一つでも成功してほしい」という祈り

 まず、19日の「直撃! シンソウ坂上特別編 新型コロナウイルス緊急生放送」は、もともとこの時間帯にレギュラー放送されている番組だけに、よくも悪くも影響は少ないでしょう。また、紀平梨花さんがスタジオに生出演するほか、荒川静香さんのエキシビションパフォーマンスで「フィギュアスケートファンの関心を集められる」という強みがあります。

 ただ、「直撃! シンソウ坂上」は5日にも「新型コロナウイルス緊急生放送SP」を放送し、橋下徹さんや東国原英夫さんが出演するなど、その内容は今回と似たものでした。他局に目を向けても、8日に「池上彰の新型コロナウイルス大疑問SP」(テレビ東京系)、16日に「いま あなたの不安は何ですか?」(NHK)などの緊急生放送特番が増えているだけに、「すでに視聴者は食傷気味ではないか」というリスクがあります。

 次に「緊急生放送! FNS音楽特別番組 春は必ず来る」は、大半のアーティストライブが中止・延期されているだけに、音楽好きの視聴が期待できますが、16日の大型音楽特番「CDTVスペシャル! 卒業ソング音楽祭2020」(TBS系)は、視聴率5.9%にとどまりました。緊急にもかかわらず、すでに30組超の出演が発表されているだけに、長年「FNS歌謡祭」で培ってきた視聴者の信頼感がどれだけあるのか、真価を問われることになりそうです。

「ザ・マミー/呪われた砂漠の王女」と「モアナと伝説の海」の映画2本は、そもそも苦戦覚悟の番組編成。現在、映画専門枠がないことから分かるように、ジブリ作品や「名探偵コナン」シリーズなどのよほどファンの多いものでない限り、「視聴率もネット上の反響も得られない」というケースが続いています。

 そのため、「4番組中、緊急生放送の2本でどれだけ結果を残せるのか」が焦点となりそうですが、全滅の危険性も否定できません。フジテレビにとっては改編期前に訪れた正念場であり、「どれか一つでも成功してほしい」と祈るような気持ちではないでしょうか。

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木村隆志(きむら・たかし)

コラムニスト、テレビ解説者

雑誌やウェブに月間20本強のコラムを提供するほか、「週刊フジテレビ批評」などに出演し、各局のスタッフに情報提供も行っている。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもあり、新番組と連ドラはすべて視聴するなど1日のテレビ視聴は20時間超(同時含む)。著書に「トップ・インタビュアーの『聴き技』84」「話しかけなくていい!会話術」など。

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