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犬の散歩? 人権無視? 賛否両論の「幼児用ハーネス」、子どものために必要?

手をつないでおけば安全?

Q.幼児用ハーネスに否定的な人は「子どもの手をつないでおけば、幼児用ハーネスは必要ない」と主張します。手をつないでおけば、不意に道路に飛び出したり、迷子になったりすることをほぼ確実に防げるのでしょうか。

長岡さん「親子の性質や特性、その時々の体調や状況によります。従順で手をつなぐことを楽しめる子や危ないことに慎重な子もいれば、過敏で、手をつなぐことが苦手な子もいます。興味のあることを見つけると、即座に手を振りほどいて飛びつく子もいます。

また、親の体調があまりよくなかったり、年齢が近く手がかかる兄弟姉妹がいたりする場合も、親子で手をつなぎ続けることが難しくなるでしょう。こうした個々の家庭状況の違いを理解するならば、一概に『手をつないでおけば幼児用ハーネスは必要ない』とは言えないはずです」

Q.一方、日本でも「幼児用ハーネスは必要。子どもの安全のため、周囲からの見た目は気にしない」という声があります。

長岡さん「『見た目より安全を取った方がいいか』については、その通りだと思います。何事も、子どもの安全に勝るものはありません。ただ、実は幼児用ハーネスが本当に事故を防ぐかについては明確な研究報告がまだありません。

ベビーカーが必要なくなる頃には、子どもによっては理解力もより育ってきているので、絵本や動画、人形なども使って、『何をすることによって、どんな結果になり得るのか』を子どもとよく話し合い、事故を防ぐようにすることも一つの方法です。

例えば、『高い塀に登ったらどうなるかな?』『車道に飛び出すとどうなるのかな?』といった話し合いができるでしょう。そして、子どもが学ぶ時間を持ちつつ、子どもの発達や特性、親の状態や家庭状況、どのような場所に出掛けるかというようなことを考慮しながら、必要であれば幼児用ハーネスを活用してはどうでしょうか」

Q.幼児用ハーネスは専門家の視点から、子どもの安全のために必要なものとお考えでしょうか。あるいは、必要のないものとお考えでしょうか。

長岡さん「幼児用ハーネスを用いても用いなくても、最終的な目標は子ども自らが『これをしたら危ない』と判断し、安全な行動ができるようになることです。その目標に至るまでに、より時間がかかる性質や特性を持つ子もいますし、親や家庭の状態、状況によって、幼児用ハーネスを用いることが適切な場合もあるでしょう。

大人は子育てを取り巻く環境を理解し、個々の家庭の選択を尊重することを心掛けたいものです。『これまで生きてきた自分自身の体験や知識の範囲では、知らないことや分からないことがあるのかもしれない』といった気持ちで、お互いが個々の選択を認め合うならば、より多くの人々にとって、子育てがよりしやすい環境が実現するのではないでしょうか。幼児用ハーネスをつけている親子を温かい目で見守りたいですね」

(オトナンサー編集部)

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長岡真意子(ながおか・まいこ)

子育ち研究家・ライター

北米にて、幼児教室主宰、小中高生クラス講師、大学講師として活動し、幅広い年齢と文化背景を持つ乳幼児から青年までの育ちを20年間指導する。日本では、親向け講座主宰。国内外1000以上の文献に基づく子育て記事執筆多数。個性あふれる2男3女の母。著書に「敏感っ子を育てるママの不安がなくなる本」。名古屋大学大学院人間情報学研究科修士課程修了(文化人類学専攻)。All About「子育て」ガイド(https://allabout.co.jp/gm/gp/1648/)を務めている。「ユア子育ちスタジオ」(http://kosodatekyua.com/)。

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