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「がん」を自分事として考えよう 健康なときこそ定期的に「がん検診」を

日本人の2人に1人がかかると考えられている「がん」。ひとごとではなく自分事として、がんを知ることが求められています。

「がん検診」は病気の早期発見につながる
「がん検診」は病気の早期発見につながる

 去る2月4日は「世界がんデー」でした。がんに関する正しい知識の普及や研究の進展、一人一人の予防行動促進を目指し、この日の前後には、世界各地でさまざまなイベントが行われました。

 がんは日本では最も多い死因であり、統計によると、日本人の2人に1人が生涯のうちに何らかのがんになると考えられており、芸能人やスポーツ選手でも、がんを公表する人が増えました。1年間に100万人以上ががんと診断されているので、ひとごとではなく“自分事”としてがんを知ることが今、私たちに求められています。

生活習慣では完全に防げない

 がんは誰でもなる可能性があります。中高年に多い病気ですが、数は少ないとはいえ「小児がん」「AYA(アヤ)世代」と呼ばれる思春期~若い世代でもなることがあります。
特に女性の「子宮頸(けい)がん」「乳がん」は20~30代の若い世代で増えているので注意が必要です。

 ではどうしたら、がんにならないのでしょうか。がんは今、社会問題ともなっている「新型コロナウイルス」のように、人から人に感染する病気ではありません。大人のがんは生活習慣が深く関わっていると考えられていますが、食事に気を付けていても、飲酒や喫煙をしなかったとしても、ストレスのない生活を送っていたとしても、完全に防げるものではありません。

 さまざまな原因によって遺伝子に傷がつく、あるいは細胞が入れ替わるときのコピーミスによって正常な細胞に異常が生じ、それが原因でがんになるのです。

定期的に「がん検診」を

 がんから身を守るために大切なことは、とにかく早く見つけることです。

 例えば、日本人に多いがんのうち、胃がん、大腸がん、乳がん、子宮頸がんについて、国立がん研究センターがん対策情報センターの資料を見ると、がんと診断されたときのステージ(進行度)が低いほど「5年生存率」が高く、早期の「ステージI」では95%前後で“ほぼ治る”と表現できるほどです。

 メリットは生存率だけではなく、治療においても、早期の方が身体的、精神的、経済的な負担が少なく、社会復帰も早いことが分かっています。

 しかし、困ったことに、早期のがんでは自覚症状が現れることはほとんどありません。進行して初めて自分で気付くサインのような症状が出るのです。早く見つけるためにできることは、“自分は健康だ”と思っているときに定期的に「がん検診」を受けることです。

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森まどか(もり・まどか)

医療ジャーナリスト、キャスター

幼少の頃より、医院を開業する父や祖父を通して「地域に暮らす人たちのための医療」を身近に感じながら育つ。医療職には進まず、学習院大学法学部政治学科を卒業。2000年より、医療・健康・介護を専門とする放送局のキャスターとして、現場取材、医師、コメディカル、厚生労働省担当官との対談など数多くの医療番組に出演。医療コンテンツの企画・プロデュース、シンポジウムのコーディネーターなど幅広く活動している。自身が症例数の少ない病気で手術、長期入院をした経験から、「患者の視点」を大切に医師と患者の懸け橋となるような医療情報の発信を目指している。日本医学ジャーナリスト協会正会員、ピンクリボンアドバイザー。

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