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平手友梨奈さん脱退に思う 「牽引」か「調和」か、志向と現状のギャップを見極めよ

欅坂46の平手友梨奈さんが脱退を発表、話題となっています。理由は必ずしも明らかではありませんが、どのような理由が考えられるのでしょうか。

平手友梨奈さん(2018年2月、時事)
平手友梨奈さん(2018年2月、時事)

 1月23日、アイドルグループ・欅坂46の運営会社「Seed & Flower」が、同グループの中心メンバーである平手友梨奈さんの脱退を発表しました。卒業でも活動休止でもなく、「脱退」という部分に平手さんの強い意志を感じます。

 発表直後、FMラジオ局であるTOKYO FMの番組「SCHOOL OF LOCK!」に出演した平手さんは、脱退について、「今は話したいとは思わないので、いつか自分が話したいと思ったときに、どこか機会があれば、お話しさせていただこうかなと思っております」と理由を語りませんでした。曲紹介の際は、声を詰まらせているようにもうかがえました。

役割期待と自分自身のギャップ

 平手さんは2015年のグループ結成以来、センターを務め続けてきたことで、欅坂46のメッセージ性の強い世界観を一身に担い続けてきたといえます。腕や腰などの負傷もありました。メンバーやスタッフとの間で、さまざまなあつれきに直面してきた重圧ももちろんあったでしょう。

 突き詰めれば、「役割期待と自分自身のギャップ」に行き着くように思えてなりません。実は、このギャップは、ビジネスパーソンの転職理由を掘り下げていくと見えてくる根源的な要因でもあるのです。

 筆者は、ビジネスパーソンの行動志向を「牽引(けんいん)志向」「調和志向」に分けて捉えています。チャレンジすることをリードしたり、自ら工夫したり、ステップアップすることで意欲が上がる人は「牽引志向の高い人」、周囲と協力する、安定的に仕事をする、バランスを取ることで意欲が高まる人は「調和志向の高い人」です。

 20年来、行動志向を踏まえた能力開発プログラムを実施してきましたが、日本のビジネスパーソンは牽引志向51.4%、調和志向48.6%とだいたい半々に分かれます。

 牽引志向と調和志向を、肉食系と草食系、狩猟型と農耕型と称するメディアもあります。筆者は中国でも行動志向を踏まえた能力開発プログラムを実施していますが、現地の通訳担当者は、狼(オオカミ)型と羊型というように訳してくれています。言い方はともかく、人にはそれぞれ意欲の高まりやすさに違いがあるということです。

 自分の志向に合った仕事だけを続けていけるのであれば、ストレスを感じることがなく、仕事がはかどりやすいことが分かっています。牽引志向の人がほかの人をリードする仕事だけをしていたり、調和志向の人が周囲の人を取りまとめる仕事だけをしていたりするケースです。

 ただ、誰しも自分の志向に合った仕事だけをしていけるわけではありません。例えば、リスクを恐れずチャレンジすることで意欲が上がる牽引志向の人がその志向を抑えて、ひたすらエラーをチェックし、安定性を担保する調和志向の仕事をしなければならない場面もあります。周囲と協力することで意欲が高まる調和志向の人が、周囲との協力なしに独自の工夫をしなければならない場面もあります。

志向の相違がストレス要因

 このように、仕事の志向と自分の志向が食い違ったときにストレスがたまりやすく、パフォーマンスが下がりやすくなることが分かっています。この傾向は、ユニークなタスクを担っているチームほど顕著です。仕事の志向が突き抜けていて、自分の志向と仕事の志向に合致させる振れ幅が大きくなるからです。

 欅坂46は突き抜けた世界観を持つ、牽引志向が極めて高い役割を担うグループです。しかも、多くのメンバーを擁しています。もちろん、「グループの志向に合った志向」を持っているメンバーを集めていると思いますが、それでも、グループが担う志向に自分の志向を合致させるギャップの総和は相当大きくなるというわけです。

 少しでもストレスを感じたら、仕事の志向と自分の志向のギャップを見極めることをおすすめします。そして、自分の志向と仕事の志向をつなぐプロセスを盛り込むだけで相当程度、ストレスは解消され、成果が上がりやすくなります。例えば、他の人と知恵を出し合い協力するプロセスを設けた上で(調和志向)、独自の工夫を生み出すプロセスを踏む(牽引志向)というように。

 平手さんが次のステージで、仕事の志向と自分の志向のギャップを解消して、役割期待と自分自身のギャップをうまく埋めて成功されることを願ってやみません。

(モチベーションファクター代表取締役 山口博)

山口博(やまぐち・ひろし)

モチベーションファクター代表取締役

長野県上田市出身。慶応義塾大学法学部卒業。国内外金融・IT・製造企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て現職。モチベーションファクター(R)(意欲を高める要素)をてこにした分解スキル反復演習(R)型能力開発プログラムを開発、展開しているグローバルトレーニングトレーナー。横浜国立大学大学院非常勤講師。主な著書に「ビジネススキル急上昇日めくりドリル」(http://amzn.asia/d/cwWsVkE)、「チームを動かすファシリテーションのドリル」(単行本=http://amzn.asia/d/6ZPWVaC、新書=http://amzn.asia/d/hRTRrvn)、「99%の人が気づいていないビジネス力アップの基本100」(http://amzn.asia/d/8z6NmSl)。

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