子どもへの体罰がなくなる、親が身につけるべき「肯定表現」
今年4月から施行される改正児童虐待防止法で、親の子どもに対する体罰が禁止されます。体罰をしないための方法はあるのでしょうか。

今年4月から、改正児童虐待防止法が施行されます。これに先立つ昨年12月、厚生労働省の「体罰等によらない子育ての推進に関する検討会」が、「体罰等によらない子育てのために」と題したガイドラインの素案を公表しました。
子どもの健全な成長を阻害
そこには、「これらは全て体罰です」というフレーズとともに、何が体罰に当たるかの具体例が次のように示されています。
・口で3回注意したのに言うことを聞かないので、頬をたたいた
・大切なものにいたずらをしたので、長時間正座をさせた
・友達を殴ってケガをさせたので、同じように子どもを殴った
・他人のものを盗んだので、罰としてお尻をたたいた
・宿題をしなかったので、夕ご飯は与えなかった
素案によると、これらの体罰だけでなく、次のような、心を傷付ける行為も虐待として禁止されています。
・冗談のつもりで、「お前なんか生まれてこなければよかった」など、子どもの存在を否定するようなことを言った
・やる気を出させるために、きょうだいを引き合いにしてダメ出しや無視をした
これらに当てはまることをしてしまったことのある人も、少なくないに違いありません。そして、年齢が上がれば上がるほど、その割合は増えるように思います。以前から、親や教師による体罰は当然のように行われていました。
中には、「殴る方も痛い。その思いを堪えて、子どものために殴っているのだ」という親側の声や、「親から殴られたことを覚えているが、今では感謝している」という体罰を経験した側からの声のように、体罰を肯定するかのような声すらあります。
しかし、筆者は体罰に断固反対です。「結果的に体罰を受けてよかった」「身に染みた」と感じた人もいるかもしれませんが、逆に体罰により、これ以上ないほどネガティブなインパクトを受けて、成長が損なわれたというケースの方が圧倒的に多いと思えてならないからです。
ただし、最も必要なことは、体罰をしないで済むための具体的な方法を浸透させることだと思います。それも頭で分かっているだけではなく、行動で発揮できなければ意味がありません。じっくり考えてから行動に移す状態では不十分で、どんなときもとっさに、瞬間的に発揮できる状態になっていなければなりません。
なぜなら、体罰をしてしまうケースというのは、カッとなっているときが多いわけですが、カッとなっているときでも、いわば無意識の中でも、体罰ではない行動を瞬間的に発揮できなければならないのです。そのためには、体罰をしなくなる訓練が必要です。
こう言うと、「そんなうまい方法があるとは思えない」という反応に接しますが、それができるようになる方法があるのです。企業や団体で、ビジネススキルをその場で向上させる演習プログラムを実施してきた経験を踏まえると、ハラスメントを防止するためのプログラムが役立ちます。
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