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天満宮、八幡宮、稲荷…「神社」には多様な名称、それぞれのご利益は? 専門家に聞く

法輪寺には“電気”の神様も

Q.「天神様は学問の神様」といわれますが、ほかの神社もそれぞれのご利益があると思います。主なものを教えてください。

齊木さん「伏見稲荷大社(京都市伏見区)を本山とする稲荷神社は、先述したように五穀豊穣(ほうじょう)をつかさどっていましたが、転じて、商売繁盛のご利益があるとされます。また、宇佐神宮または石清水八幡宮(京都府八幡市)を総本社とする八幡神社は、勝負の神様と言われ、『勝負運』『金運』のご利益があります。

また、出雲大社(島根県出雲市)は『縁結び』のご利益があることで知られています。御祭神の大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)は『国譲り』と呼ばれる、取引、重要交渉事案を見事に成し遂げたことから縁結びの神様として有名で、6の女神と結ばれ、その間に180の子どもをもうけたと言われています」

Q.ご利益として伝わるもの以外のお願いをしてもよいのでしょうか。

齊木さん「そもそも、神様は『私たちに恵みを与えてくださる存在』ですので、ご利益として伝わるもの以外のお願いをしてもよいとされています。

天神様とされる菅原道真は学問の神様として祭られています。代々続く学問の家系で育ち、15歳で元服(成人)した道真は、現在の大学生にあたる『文章生(もんじょうしょう)』となるために勉学に励み、18歳で合格します。早くして合格したことから学問の神様として有名になりましたが、恵みを与えてくださる神様であることは変わりませんので、その他のお願いをしても問題はありません。

ただし、ご利益に合わせた神社にお参りしたい気持ちが強い場合は、探して訪れるのも一つの手段です」

Q.これまで名前が挙がった以外で、特徴のある神社を教えてください。

齊木さん「群馬県高崎市の榛名(はるな)神社は『御姿岩(みすがたいわ)』という巨岩をご神体としているのが特徴です。社殿のすぐ上にある、今にも落ちてきそうな岩が御姿岩です。

また、京都の嵐山にある法輪寺の中には、電気・電波の神様『電電明神』を祭った『電電宮』があります。電気・電波の発展や無事故を祈願することができ、ITやテレビ業界の関係者も参拝に訪れます。SDカードを使った『SDお守り』が特徴です」

Q.神社をお参りすると、境内にさまざまな小さな神社があることがあります。すべてお参りした方がよいのでしょうか。

齊木さん「神社の境内にある小さな社は『摂社(せっしゃ)』『末社(まっしゃ)』と呼ばれます。一般に摂社はその神社のお祭神に関する神様が祭られ、末社はそれ以外の神様が祭られています。つまり、本殿の神様とは別の神様ですので、それぞれ別の神社であると考えられます。すべてにお参りすべきだとは決められていませんので、摂社や末社の神様とご利益を調べて、必要に応じてお参りしてみてはいかがでしょうか」

(オトナンサー編集部)

※誤字を修正しました(1月2日15時30分)。

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齊木由香(さいき・ゆか)

日本礼法教授、和文化研究家、着付師

旧酒蔵家出身で、幼少期から「新年のあいさつ」などの年間行事で和装を着用し、着物に親しむ。大妻女子大学で着物を生地から製作するなど、日本文化における衣食住について研究。2002年に芸能プロダクションによる約4000人のオーディションを勝ち抜き、テレビドラマやCM、映画などに多数出演。ドラマで和装を着用した経験を生かし“魅せる着物”を提案する。保有資格は「民族衣装文化普及協会認定着物着付師範」「日本礼法教授」「食生活アドバイザー」「秘書検定1級」「英語検定2級」など。オフィシャルブログ(http://ameblo.jp/yukasaiki)。

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