「お年玉」をもらったら、子どもに自由に使わせるべき? 親が預かるべき?
正月に、祖父母や親戚からお年玉をもらう子どもも多いと思います。もらったお年玉は、子どもに自由に使わせてもいいのでしょうか。

子どもたちにとって、お正月の楽しみな行事の一つといえば「お年玉」でしょう。もらったお年玉は親に預けたり、欲しいものを買ったりと、子どもによって使い道はさまざまだと思いますが、お年玉は子どもにとっても親にとっても、お金の使い方や管理方法について考える良い機会になります。この機会にぜひ、親子で話し合ってみましょう。
小学生は「家の人に渡す」傾向
両親や祖父母、親戚からもらうお年玉は、大人でいうところのボーナスにあたるでしょう。今どき、小学生でも何万円もお年玉をもらう子どももいるようなので、親としてもお年玉の取り扱いには悩むところですね。
お年玉の使い道については、子どもたちの年齢によって大きく違うようです。金融広報中央委員会の「子どものくらしとお金に関する調査(第3回)2015年度調査」によると、もらったお年玉について、小学生は「家の人に渡す」、中学生・高校生は「おこづかいで足りないものを買う」傾向が強いようです。
特に中学生・高校生にもなれば、友達付き合いで使うお金も増えがちですから、そうしたものに充てるということなのでしょう。また、せっかくのまとまったお金ですから、「特別なものを買う」という考え方も年齢が上がるにつれて出てくる選択肢といえるでしょう。なお、どの年齢でもきちんと貯金している傾向があるようです。日本人は貯蓄好きといわれますが、こうしたところで育まれる性格なのかもしれません。
子どもが小さいうちは、親にお年玉を渡し、親がお年玉をためて管理するという家庭が多いようですが、お年玉の全部を親が管理するよりは、お年玉の一部を子どもに渡し、子ども自身でお金を使うことを経験させるのがよいと思います。
もちろん、お金に関する考えは各家庭の方針があると思いますし、これが正解というものはありません。ただ、これまでファイナンシャルプランナーとして、お金に苦しんでいる人を多く見てきた経験から、お金を上手に使い、管理するには、たくさん練習を積み、経験をする必要があると思えるからです。
お年玉をもらったら、その使い道について親子で一緒に話し合いましょう。その際、親が主導権を握るのはNGです。子どもの自主性を育むためにも、子ども自身がまず使い道を考えて、親がアドバイスをするようにしましょう。子ども自身がお年玉を使って実際に買い物をしてみて、物の価値や使い方を学んでいくことが大切です。
時には失敗する経験も大切でしょう。スポーツや習い事も最初からうまくできる人はほとんどいません。失敗を繰り返し、練習する中でうまくなっていきます。お金についても同じです。トライ・アンド・エラーを繰り返しながら前に進むことで、だんだんお金の扱い方がうまくなります。
知識や計画性を高めるために
できれば、お年玉の使い道については「今欲しいものを買うお金」「将来欲しいものを買うためにためるお金」「当面使わないでためるお金」などと目的を明確にしましょう。そうすることで、子どものお金に対する知識や計画性が高まります。
当面使わないで貯蓄するお金については、子ども名義の口座を作成し、そこにためていくとよいです。子どもと一緒に銀行に行ってお金を預けることで、子どもはお金をためる仕組みを身に付けることができますし、当事者意識が働くので貯蓄の意識も高まるでしょう。
現代社会では、給料はあらかじめ銀行口座に振り込まれるのが当たり前で、コンビニやスーパーで商品を購入する際や交通機関の運賃を支払う際は、クレジットカードや電子マネーを使う人がほとんどでしょう。気が付いたら「今日は一度も現金を使わなかった」という日もあるではないでしょうか。
このような、お金を取り巻く環境の中で育っている現代の子どもたちは、リアルにお金の存在を感じることができなくなってきています。その点、お年玉は子どもが直接、現金をもらう機会なので、お金のことを考えるには良い機会となるでしょう。
誰しも生きていく上で、お金とは切っても切れない関係があります。子どもの頃から、お金の管理について考える習慣を持つのは、より良い人生を歩むためにも大切なことといえるでしょう。お年玉を機会にぜひ、親子でお金について考えてみてください。
(ファイナンシャルプランナー、Money&You取締役 高山一恵)
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