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史上最高の大豊作! 「3年A組」卒業生たちの今、そしてこれから

福原遥さん、森七菜さん、富田望生さん、萩原利久さん…「3年A組」卒業生の活躍が目立ちます。多くのスターを輩出した「3年B組金八先生」にも匹敵する、と筆者は見ます。

(左上から時計回りに)福原遥さん(2015年5月、時事)、森七菜さん(2019年11月、同)、富田望生さん(2019年10月、同)、萩原利久さん(2018年6月、時事通信フォト)
(左上から時計回りに)福原遥さん(2015年5月、時事)、森七菜さん(2019年11月、同)、富田望生さん(2019年10月、同)、萩原利久さん(2018年6月、時事通信フォト)

 今年放送されたドラマの中でも一、二を争うインパクトをもたらした1月クールの連続ドラマ「3年A組-今から皆さんは、人質です-」(日本テレビ系)。主役の俳優・菅田将暉さんが喝采を浴びるとともに、生徒を演じた役者たちも大いに話題を集めました。

 そこには、朝ドラ主演女優の永野芽郁さんや元AKB48の川栄李奈さん、GENERATIONS from EXILE TRIBEの片寄涼太さんのように、既に実績十分だった人もいます。が、この作品でブレークや再浮上を果たした人もいました。

 その状況は、かつての「3年B組金八先生」シリーズ(TBS系)を思い起こさせます。このドラマの第1作は、武田鉄矢さんの熱演はもとより、杉田かおるさんや三原じゅん子さんといった子役出身者に、たのきんトリオの3人のようなアイドルの卵を組み合わせることで大ヒットしました。

 これを皮切りにその後も、森且行さん、風間俊介さん、平愛梨さん、上戸彩さん、濱田岳さん、趣里さんといった人たちが出演して、スターへと羽ばたいていったのです。

 そんな「3B」が30年以上かけて輩出した実績と遜色のないレベルで、この「3A」も逸材を送り出したのでは。そんなふうに思えます。

森七菜は「天気の子」でヒロインの声

 まずは、森七菜さん。作中では電脳部所属で、解析が得意な女子を演じました。「3A」卒業後はアニメ映画「天気の子」でヒロインの声を務めた他、公開中の映画「地獄少女」にも準主役で出演しています。ドラマでは「少年寅次郎」(NHK)にゲスト出演。あの映画「男はつらいよ」シリーズの主人公・寅さんの子ども時代を描いた作品です。

 番組のサイトには、制作統括者によるこんな紹介文が。

「なんといっても、寅次郎の初恋のひとです。そして、さとこから寅さんの片想い人生が始まります」

 過去にそうそうたる名女優たちが演じた「寅さん」映画のマドンナ役の原点ともいえる存在に、彼女が選ばれたわけです。来年4月スタートのNHK連続テレビ小説「エール」では、ヒロインの妹役に決まっており、さらなる飛躍が期待されます。

 その「エール」に、主人公の弟役で出演するのが佐久本宝さんです。「3A」では、乱暴だが情に厚い男子の役でした。デビュー作は映画「怒り」の沖縄パート。渡辺謙さんをはじめメインキャスト7人全員が主役級の超豪華な大作に、現地オーディションで選ばれたのです。

 そこで、新鮮かつ深みのある演技を見せ、衝撃的なクライマックスも無心でやり抜きました。パンフレットでは、こう振り返っています。

「実は、ハサミをつかんでから刺すまでは記憶がないんです。その後、涙が止まらなくて、撮影が終わっても泣きやむことができませんでした」

 デビュー作にして、ここまで役になりきれる才能、これからがますます楽しみです。

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宝泉薫(ほうせん・かおる)

作家、芸能評論家

1964年岐阜県生まれ。岩手県在住。早大除籍後「よい子の歌謡曲」「週刊明星」「宝島30」「噂の真相」「サイゾー」などに執筆する。近著に「平成の死 追悼は生きる糧」(KKベストセラーズ)、「平成『一発屋』見聞録」(言視舎)、「あのアイドルがなぜヌードに」(文春ムック)など。

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