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「貧困老人」とはどのような人たちなのか

OECDのデータによると、日本の高齢者の貧困率は19.4%で世界4位。高齢者の5人に1人が貧困という計算ですが、保有資産も考慮に入れると、実際は6~7%程度のようです。彼ら「貧困老人」の実態はどのようなものでしょうか。

「貧困老人」といわれる人たちの実態とは

 経済協力開発機構(OECD)が2015年に発表したデータによると、日本の高齢者の貧困率は19.4%で、1位韓国(49.6%)、2位オーストラリア(35.5%)、3位米国(21.5%)に次いで4位となっています。

 OECD平均の12.4%に比べてもわが国の貧困率は高く、日本の高齢者の5人に1人は貧困ということになります。韓国の49.6%は飛び抜けていますが、貧富の差が大きい印象のある米国と、それほど変わらないことに驚く方も多いはずです。

「絶対貧困」と「相対貧困」

 それでは、この「貧困」とは一体どのように定義されるのでしょうか。

 まず貧困には「絶対貧困」「相対貧困」という2つの概念があります。前者は「食べるものがない」「雨露を防げるところがない」など、生命が危機にさらされている状態で、後者は「社会全体の平均と比べて貧しいか」という基準です。前述の19.4%という数字も当然、相対貧困のことを指します。

 この相対貧困の定義はOECDや内閣府、総務省など、集計する機関によって異なるものの、大枠でいうと、「国民の平均的な生活費の半分以下で生活していること」を指しているケースが多いです。日本の場合、平均生活費は200万~240万円程度。その半分であれば、年間100万~120万円以下、毎月8万~10万円以下で生活している人が「貧困」です。

 しかし、ひと口に8万~10万円と言っても「家の有無」「単身/夫婦」「子どもと同居しているか」などの諸条件によって異なります。「家を保有し、ある程度の蓄えもある」「夫婦で自家農園を楽しみ、お金をほとんど使わない」など“悠々自適なスローライフ”を送る人も、都心で賃貸暮らしをする独り身の老人も、データ上は「貧困」ということになります。

 つまり「日々の生活費」にのみフォーカスし、「保有資産」については考慮されていないデータであるため、「本当に高齢者の19.4%が貧困なのか」は少し疑問が残るのです。そこで別のデータを見てみましょう。

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加藤圭祐(かとう・けいすけ)

あおばコンサルティング代表取締役、1級FP技能士、宅建士

大手外資系生命保険会社にて11年間、個人・法人のコンサルティング業務に従事。2015年に株式会社あおばコンサルティングを設立。日本初の、チャットでのお金のサービス「みかづきナビ」を開始。現在ではzoomも活用し、FP相談や保険相談で顧客の課題解決に取り組んでいる。みかづきナビ(http://www.mikazuki-navi.jp/)。

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