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1人サボったら全員で掃除…生徒の「連帯責任」は強い個を育てない、時代遅れのナンセンス

「連帯責任」はいつから使われていた?

 以前は学校で、この連帯責任が頻繁に使われていました。筆者が子どもの頃は班活動が非常に重視されていて、当然のことながら、連帯責任も多かったです。最近は以前より減っていますが、それでもまだまだあちこちに見られます。

 なぜ、以前の日本の学校で連帯責任が重視されたかというと、一つには旧日本陸軍の影響が大きかったと考えられます。旧日本陸軍には内務班というものがあり、これが兵士の日常生活における最小単位でした。下士官が班長になり、ささいなことで「連帯責任だ!」といって兵士たちを殴るなどして厳しく統制していたのです。

 筆者が子どもの頃は、日本軍の元兵士で復員して学校の先生になった人たちがたくさんいました。ちなみに、筆者の5、6年生のときの担任は元日本陸軍の兵士で、有名な「バターン死の行進」の現場にいたそうです。片手を負傷している、いわゆる傷痍(しょうい)軍人でした。

 さて、もう一つの理由は、旧ソ連の教育者であるマカレンコやクルプスカヤが唱えた集団主義教育の影響を、日本の教育界も受けたことです。特に「学級集団づくり」「班競争」などの教育手法がかなり流行しました。その中で、連帯責任も使われたのです。筆者が5、6年生のときのクラスも、6人で構成する班が学校生活における全ての活動の基本でした。

 歴史をさかのぼれば第2次世界大戦のとき、国民を管理するために「隣組」という制度がありました。江戸時代には「五人組」というものがありました。これは近隣の5戸を一組にして連帯責任を取らせる制度であり、相互監察、相互扶助、そして、年貢の滞納・農民の逃散(ちょうさん)・犯罪などを防ぐためのものでした。もっと前の律令時代には「五保」という制度がありましたし、日本の歴史の中で連綿と続いてきたのです。

 隣組、五人組、五保のいずれも似たような発想によるものであり、お互いに助け合うためというのは建前で、それよりも、税金徴収のためとか、集団の和を乱す勝手なことをさせないため、などというのが一番大きな目的だったのです。要するに、昔から権力者が自分の支配力を高めるために使ってきたのが連帯責任なのです。そして、現代の先生や親もいまだにそれを使っているわけです。

 これまでの日本の子育てや教育においては、一部それが有効に機能した部分もあったかもしれません。子どものときから、「個人より集団を大事にせよ。和を乱すな。みんなのために自分のわがままは我慢して頑張れ。みんなと同じことをしなさい。言われたことを忠実にやりなさい。自分で勝手なことを考えたり人と違うことをしたりしてはいけない」などの価値観を刷り込むことで、優秀な歯車的な人材を大量生産してきたのです。それによって高度経済成長を成し遂げてきたという面もありました。

 ただ、今や時代は大きく変わりました。今求められる人材は、人と違う発想ができる人、イノベーションを起こせる人、起業できる人、やりたいことを自分で見つけて自分で頑張れる人、自己実現できる人…です。つまり、歯車ではなく強い個人が求められているのです。こういう時代において、連帯責任はナンセンスの極みです。

(教育評論家 親野智可等)

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親野智可等(おやの・ちから)

教育評論家

長年の教師経験をもとにブログ「親力講座」、メールマガジン「親力で決まる子供の将来」、ツイッターなどで発信中。「『自分でグングン伸びる子』が育つ親の習慣」(PHP文庫)など、ベストセラー多数。全国各地の小・中・高校や幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会でも大人気。公式サイト「親力」で新書3冊分のコラムが閲覧可能。公式サイト「親力」(http://www.oyaryoku.jp/)、ツイッター(https://twitter.com/oyanochikara)、ブログ「親力講座」(http://oyaryoku.blog.jp/)。

コメント

紺菜 伊兼茂 にコメントする コメントをキャンセル

2件のコメント

  1. 親野智可等さんは、『「連帯責任」は強い個を育てない、時代遅れのナンセンス 』とばっさり切り捨てていますね。個の意思や努力も大事ですが、今の世の中あまりにも個人主義的になりすぎて、身勝手な行いや犯罪が多いように思います。連帯責任とは少し違うかもしれませんが、先日まで大いに盛り上がった、One for all. All for one. の考え方もすばらしいと思いますが如何でしょう。

  2. >つまり、歯車ではなく強い個人が求められているのです。
    でも、このような人は、10人中1~2人いればよく、必要とする人間の大半は、歯車となって働ける人です。強い個人を10人集めて、業務が進むと思うのでしょうか。
    また、現在も「連帯責任」は流行っています。
    例えば。
    政治の世界での「首相の任命責任」。
    有名人の、成人した子が不都合を起こしたときの「親の謝罪」。
    借金の連帯保証人。