1人サボったら全員で掃除…生徒の「連帯責任」は強い個を育てない、時代遅れのナンセンス
学校で生徒がミスや悪いことをした際、本人だけでなく班やクラス単位で罰を与えることがありますが、こうした「連帯責任」には弊害があります。
子育て中の、ある母親が「うちは兄弟3人全員が6時までに宿題を終えないと、夕食のデザートは無しにしてる。すごく効果があるよ」と言っていました。それを聞いていたママ友達が「いいねえ。うちもやってみようかな」と答えていました。
つまり「連帯責任」です。これは、権力者・支配者が被支配者を管理するためによく使う手段です。先生や親の中にも、子どもを管理するためにこれを使う人が結構いますが、その弊害についてお話します。
努力する子が報われない制度
学校の先生ですと、連帯責任を次のように使うことがあります。
・班の誰かが忘れ物をしたら、罰として昼休みに班の全員でごみ拾い。
・班の全員が完食してからでないと、余ったおかずのおかわりができない。
・クラスの誰かが掃除をさぼったら、クラス全員で掃除をやり直す。
筆者は、この連帯責任には断固反対です。なぜなら、言われた通りにできない子が周りから責められて、いじめの原因になる制度だからです。努力してもどうしてもできない子はいますし、そもそも、生まれつき努力する才能に恵まれていない子もいます。
これをやると、子ども同士の人間関係が悪くなり、心がささくれだってきます。学校では、学校カーストの強化につながりますし、いじめの原因にもなります。家庭では兄弟の仲が悪くなりますし、場合によっては一生涯の不仲につながることもあります。
それに、これは、真面目に努力する子やしっかりできる子が報われない制度でもあります。報われないことを知った子たちが努力をやめたり、先生の見ていないところで手を抜いたりするということになりかねません。
また、罰で脅してやらせているので、その反動として、罰がないときはやらないということにもなりやすいです。そして、権力者である先生や親に対する反発心を持つようにもなります。学校では、先生への反発心が高まることで学級崩壊の原因にもなります。家庭では親子関係が悪くなり、ひいては親子関係の崩壊にもつながります。連帯責任という罰で脅すのはやめるべきです。
子どもに何かできないことがあったら、先生や親がその原因を探って合理的な解決方法を工夫することが大切です。同時に、子どもがやる気になるような言葉をかけるようにすることも大切です。それは、大人の責任としてやるべきことなのです。連帯責任の安易な利用は、このような大人の責任を放棄することです。
親野智可等さんは、『「連帯責任」は強い個を育てない、時代遅れのナンセンス 』とばっさり切り捨てていますね。個の意思や努力も大事ですが、今の世の中あまりにも個人主義的になりすぎて、身勝手な行いや犯罪が多いように思います。連帯責任とは少し違うかもしれませんが、先日まで大いに盛り上がった、One for all. All for one. の考え方もすばらしいと思いますが如何でしょう。
>つまり、歯車ではなく強い個人が求められているのです。
でも、このような人は、10人中1~2人いればよく、必要とする人間の大半は、歯車となって働ける人です。強い個人を10人集めて、業務が進むと思うのでしょうか。
また、現在も「連帯責任」は流行っています。
例えば。
政治の世界での「首相の任命責任」。
有名人の、成人した子が不都合を起こしたときの「親の謝罪」。
借金の連帯保証人。