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警官や有名人はアウト? ハロウィーン「コスプレ」が法に触れるのは、どんなとき?

日本のハロウィーンでは、さまざまなコスプレをして街に繰り出す人が多いですが、法に触れる可能性のあるコスプレもあるようです。

ハロウィーンのコスプレが法に触れることも?
ハロウィーンのコスプレが法に触れることも?

 10月31日は「ハロウィーン」です。本来は秋の収穫を祝い、悪霊を追い払うお祭りとして欧州で生まれ、仮装は悪霊を驚かせるためにするものですが、日本では「仮装を楽しむイベント」として定着しています。今年も、東京・渋谷などに多くの若者がコスプレをして集まることが予想されます。しかし、どのようなコスプレでも自由にできるわけではありません。本物そっくりの、女性警官、自衛官、消防士、アニメのキャラクター、有名人のコスプレは法に触れる可能性があるようです。

 どのようなコスプレが法に触れるのでしょうか。グラディアトル法律事務所の森脇慎也弁護士に聞きました。

軽犯罪法や著作権法違反も?

Q.本物そっくりの女性警官、自衛官、消防士などのコスプレは法に触れる可能性があるそうですが、それは本当ですか。

森脇さん「本当です。本物そっくりのコスプレをした場合、軽犯罪法1条15号に違反する可能性があります。『資格がないのにかかわらず、法令により定められた制服もしくは勲章、記章その他の標章、もしくはこれらに似せて作った物を用いた者』は、『拘留または科料に処する』とされているからです。違反した場合、拘留(1日以上30日未満の身柄拘束)、または科料(1000円以上1万円未満の金銭徴収)と定められています」

Q.なぜ、本物そっくりの女性警官、自衛官、消防士などのコスプレをしてはいけないのでしょうか。

森脇さん「軽犯罪法1条15号の法律が定められているのは、警官や自衛官、消防士以外の者がその格好をして歩いていると、警官などが仕事で活動していると周囲から思われ、社会に無用な混乱を引き起こしかねないからです。また、警官のふりをして詐欺が行われるなど、重大な犯罪が行われてしまう可能性も考えられるからです。

そのため、アメリカの警察官の格好など一目でコスプレと分かる程度のものであれば、社会に無用な混乱を引き起こすことがないので許容範囲といえるでしょう」

Q.漫画やアニメのキャラクターのコスプレは、著作権法などの法律に抵触する可能性があるのでしょうか。

森脇さん「漫画やアニメのキャラクターのコスプレは、著作権法に違反する可能性があります。著作権者は、漫画の一コマに描かれたキャラクターを“変形”して利用できる『翻案権』を持っています(著作権法27条)。そのため、著作権者以外の人が漫画の一コマに描かれたキャラクターを変形させ、利用することは、著作権の中の翻案権を侵害する恐れがあり、著作権法に違反する可能性があるのです。

ただし、個人がコスプレの衣装を制作する行為は、私的翻案(著作権法47条の6)として許されると考えられます。ただ、営利目的でイベント出演などをすれば、私的利用の範囲外として著作権法違反になるでしょう」

Q.話題の芸能人や政治家など有名人に似せたコスプレをする人もいます。こうした人が、そのコスプレ姿で有名人の物まねをすることもありますが、どのような場合に法に触れるのでしょうか。

森脇さん「話題の芸能人や政治家などの言動や行動を、物まねするだけなら問題はありません。しかし、具体的な事実を示して、有名人の社会的名誉を傷つけるような発言をすれば、名誉毀損(きそん)罪(刑法230条)に問われたり、不法行為に基づく損害賠償を請求(民法709条)されたりすることもあるでしょう。

また、物まねが、物まねをされた対象者の名誉や感情を傷つけるような内容であれば、侮辱罪(刑法231条)や、不法行為に基づく損害賠償を請求されるかもしれません」

Q.法に触れるコスプレをしていても、強制力のある是正ではなく、注意だけで終わってしまうのでしょうか。

森脇さん「そもそも、コスプレをするという行為自体も、表現の自由(憲法21条1項)として保護されるものと考えられています。警察が現場で用いることのできる強制力とは、現行犯逮捕(刑事訴訟法213条)になりますが、本物そっくりのコスプレを見つけたときに現行犯逮捕するかというと、警察官次第にはなりますが、行わない可能性が高いのではないでしょうか。もちろん、口頭での注意程度は行うと思います。

著作権法違反も罪には問われるものですが、つい最近まで、被害者の告訴が必要な『親告罪』だったため(2018年12月30日から非親告罪化)、著作権者の申し出なしに警察が動くことは考えにくいでしょう。また、名誉毀損罪や侮辱罪も親告罪であり、同様に警察が積極的に動くことはないでしょう。コスプレに関しては、注意すらされないのではないでしょうか」

Q.警察が強制的にコスプレを是正させることができるのは、どのようなときですか。

森脇さん「強制的にコスプレを是正させることができるケースはありません。軽犯罪法違反の場合でも、理屈としては逮捕される恐れはありますが、実際に逮捕まで踏み切ることはないのではないでしょうか。口頭による注意程度にとどまるのではないかと思います。

しかし、公然わいせつ罪であれば、逮捕される可能性はあります。みだりに肌を露出させるようなコスプレであれば、軽犯罪法1条20号に違反します。また、下半身の露出が極端であれば、公然わいせつ罪(刑法174条、6月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金)で摘発される恐れがあります」

(オトナンサー編集部)

森脇慎也(もりわき・しんや)

弁護士

弁護士法人グラディアトル法律事務所所属。同志社大学法学部卒業後、大阪大学法科大学院修了。得意分野は「インターネット問題」「離婚・男女問題」「労働問題」「不動産・建築」「詐欺被害・消費者被害」など。趣味は旅行、人と話すこと。特技はゲートボール。

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