極右躍進にブレグジット…目が離せない欧州情勢
EU離脱やユーロ廃止を主張するルペン氏
最新の世論調査では、ルペン氏の支持率が26.0%、マクロン氏19.5%、フィヨン氏18.5%、アモン氏14%となっており、ルペン氏が第2回投票へ進む公算が大きくなっています。ただし決選投票では、極右を避けるために中道右派や左派の支持が集まって、マクロン氏が62%対38%でルペン氏を破る見込みです。相手がフィヨン氏の場合でも、ルペン氏は敗北するとの調査結果になっています。ただし、世論調査の結果がアテにならないことは、昨年の英国や米国が雄弁に物語っています。
仮に、EU離脱や欧州統一通貨ユーロの廃止を主張するルペン氏が大統領に選出されれば、その衝撃はブレグジット(英国のEU離脱)に勝るとも劣りません。ルペン氏が決選投票で負けるとしても、第1回投票で想定以上の得票であれば、金融市場は一段と神経質にならざるをえないでしょう。
オランダ総選挙や英EU離脱も
3月15日にはオランダ総選挙が実施されます。オランダの選挙の仕組みからすれば、移民排斥を掲げる極右の自由党(ヘルト・ウィルダース党首)が政権に手をかけることはないようです。ただ、フランス大統領選の前哨戦とも位置付けられるオランダ総選挙で極右政党が躍進すれば、フランス大統領選にも大きな影響を与える可能性はあります。
他方、英国ではメイ首相にEU離脱を宣言する権限を付与する法案が下院を通過しました。上院の通過に大きな支障はないとみられ、メイ首相が自ら期限を設定した3月末までに離脱宣言がなされそうです。英ポンドは昨年10月以降、比較的しっかりと推移してきましたが、英国の欧州単一市場からの離脱を意味する「ハードブレグジット」が現実味を帯びるなかで、その実力が試されることになりそうです。
フランス大統領選が今年前半の最大のヤマ場だとすれば、後半のヤマ場は8~10月のドイツ総選挙でしょう。欧州大陸のリーダーであるドイツで政権交代が起きれば、天地がひっくり返るほどの大騒ぎになるかもしれません。ただ、欧州情勢が流動的であることを考えれば、現時点でドイツ総選挙の行方を占うことは無意味かもしれません。
(株式会社マネースクウェア・ジャパンチーフエコノミスト 西田明弘)
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