名家に婿入りも…「養子縁組」されずに財産を相続できなかった56歳男性の悲憤
裕二さんを信用していなかった義父
裕二さんは致命的な勘違いをしていました。実家で同居して金子姓を名乗り、両親の世話をすれば、自分が金子家の跡取りであり、金子家を継ぐことができるに違いない、と。しかし、養子縁組をしなくても婚姻届の「妻の姓を名乗る」欄にチェックをすれば、夫が妻の姓に変わることは可能です。
裕二さんが義父の遺産を相続するには、養子縁組が必須です。長女の夫には法定相続権(法律で認められている相続権)は存在しません。養子縁組の有無は戸籍謄本で確認することができ、日常生活では子どもの進学、パスポート更新、離婚などの場面で戸籍謄本を目にします。
しかし、子どもの進学やパスポート更新は妻が行っていたため、裕二さんは蚊帳の外。妻との離婚話が出たことは一度もありませんでした。一度でも戸籍謄本を閲覧していれば、結果は違っていたでしょう。義父のことを信用しすぎ、養子縁組の有無を疑わなかったことがあだとなった形です。あまりにも金子家が偉大すぎて、「僕はお義父さんの養子になってますよね」と軽々しく言える立場ではありませんでした。
逆に義父は裕二さんのことを信用しておらず、裕二さんに金子家の資産を握らせたら何を仕出かすか分からないと疑われていたのでしょう。いったん養子縁組すると、離縁するには双方の同意が必要です。養子にも遺留分(どんな遺言を書いても残る相続分)が認められているので、遺言次第で養子の相続分をゼロにすることは難しいです。
養子を相続人から排除しようにも、虐待などの特別な事情がない限り家庭裁判所が許可しません(民法892条)。それなら、最初から養子縁組しないのが最良の策でしょう。主だった財産は本流である妻(長女)が相続したので、いずれは裕二さんと血のつながった息子(28歳)に流れます。裕二さんの存在が金子家に必要だったのですが、金子家の財産が裕二さん名義になることはありません。
「いっそのこと離婚しようかと思いましたよ!」
裕二さんは自嘲気味に言いますが、騒ぎ立てなければ日々の生活は安泰ですし、長年、義父に搾取され続けたせいで裕二さんの貯金はほとんどありませんが、退職金と厚生年金は裕二さんの財産なので、手元に何もないというわけではありません。
また、今年7月、相続の寄与分に関する新しい法律が施行されました(民法1050条)。寄与分とは、生前の被相続人療養や看護、財産の維持や増加に貢献したりするなど特別に寄与をした人間は、相続分の割り増しを求めることができるという制度です。裕二さんは義父の生活費を負担していたので、特別な寄与に該当する可能性があります。
今までの法律では、寄与分が認められるのは相続人に限られていました。裕二さんのような長女の夫は残念ながら対象外です。しかし、今回の法改正で、相続人ではない親族も対象に加えられました。裕二さんは相続人ではないものの親族であることは確かなので、もし法改正の後に相続が発生していたら、裕二さんは多少の寄与分(特別寄与料)を得ることができたかもしれません。
(露木行政書士事務所代表 露木幸彦)
なに言ってるんだ?
嫁なんてみんなそうだよ。
夫の親の介護をどんなに頑張っても相続できなかったじゃない。
記事の中にある「法が変わった」という話の前までは、嫁は奴隷だったよ。
婿だから奴隷にならずに済んでるんじゃない?
まだましだろ。
普通、婿養子に来て嫁の親の養子になりますか?その考え方がおかしい。まるで財産狙いに思われても仕方ないですね。嫁が結婚して旦那の親が亡くなっても相続はその妻と子供で分けるのが普通ですよ。
嫁の財産に半分入るのだからそれが普通です。お金を入れてたり介護したら、少しは要求してみてもらえればいいと思います。初めて聞きました。婿に入って養子になるなんて・・・