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意外と野心家? 吉沢亮の大河「青天を衝け」が期待できるこれだけの理由

適性を示した「なつぞら」の対話シーン

 こういう貪欲さは、偉人や英雄のサクセスストーリーが基本の大河に向いているといえます。ただ、もちろん、役者としてのスキルも伴わなくてはなりません。その意味でも、適性の高さを示したのが、あの亡くなった「天陽くん」とヒロインとの幻想的な対話シーンでした。磯智明チーフプロデューサーは、こんな指摘をしています。

「吉沢さんは淡々と演じたいとおっしゃっていました。なつにとっては天陽との最後の別れで、広瀬さんは感極まった芝居をするわけですが、吉沢さんは敢えて感情的に受けず、天陽が最後まで、なつの人生を導く役割を担っていることに徹しました。(中略)吉沢さんは敢えて広瀬さんとは違う、抑制した芝居に挑んだ。だからこそ、魅力的で見応えのあるシーンになったと思います」(スポニチアネックス)

「天陽くん」には実在したモデルがいて、それをこなしたあたりも大河に通じます。また、吉沢さんは二次元原作の実写モノでも高い評価を受けてきました。そのイメージを損ねることなく、フィクションとしての魅力を加えることにもたけているのでしょう。

 ちなみに「青天を衝け」の主人公・渋沢栄一は、農民から武士、官僚、実業家へと転身を遂げつつ、志の高さと反骨、慈悲といった心を持ち続けた人でした。吉沢さんには、ハマリ役に思えます。青春期から壮年期まで演じることになりそうですが、加齢による落ち着きや渋みも表現できることは「天陽くん」で証明済みです。

 なお、所属事務所のアミューズは大河に強く、これまでにも、福山雅治さんや上野樹里さん、佐藤健さん、三浦春馬さんといった面々が主役や重要な脇役を演じてきました。こうした先輩たちの助演も期待できますし、「なつぞら」つながりで、草刈正雄さんあたりとの再共演もあるかもしれません。

 また、脚本を手がける大森美香さんは出世作の連続ドラマ「ランチの女王」(フジテレビ系)や朝ドラ「あさが来た」などでイケメンの生かし方にも実績のある人。これも頼もしいところです。

 というわけで「天陽くんロス」の皆さん、1年数カ月後にはまた、吉沢さんがおおいにワクワクさせてくれること、間違いなしです!

(作家・芸能評論家 宝泉薫)

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宝泉薫(ほうせん・かおる)

作家、芸能評論家

1964年岐阜県生まれ。岩手県在住。早大除籍後「よい子の歌謡曲」「週刊明星」「宝島30」「噂の真相」「サイゾー」などに執筆する。近著に「平成の死 追悼は生きる糧」(KKベストセラーズ)、「平成『一発屋』見聞録」(言視舎)、「あのアイドルがなぜヌードに」(文春ムック)など。

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