知ってますか!? 「ざるそば」「もりそば」「せいろそば」の違い
日本人の食生活になじみ深い「そば」。冷たいそばを、つゆにつけて食べるのが好きな人も多いことと思いますが、さて、「ざるそば」「もりそば」「せいろそば」という3種類の違いについて、正しく理解できていますか。
麺類好きといわれる日本人の食生活にあって、とりわけなじみの深い「そば」。温かい「かけそば」で食べるもよし、冷たい「ざるそば」でもよし、と調理法や具材を問わず、さまざまなバリエーションを楽しめるほか、栄養豊富でヘルシーな点が魅力でしょう。
今回は、そんなそばについて、知っていると自慢できるかもしれない(?)トリビアを紹介します。テーマは「ざるそば」「もりそば」「せいろそば」の違いについて。教えてくれるのは、和文化研究家で日本礼法教授の齊木由香さんです。
高級そばとして扱われた「ざるそば」
「ざるそば」と「せいろそば」はそばを盛りつける器が違い、「ざるそば」と「もりそば」はそばに海苔がかかっているかどうかが違う――。「そう考えている方が多いかもしれませんが、実はもう少し深い、そばの歴史があります」。
齊木さんによると、江戸時代のそばは小麦粉を使用せず、ゆでると切れやすくなるため、蒸す調理法が用いられていました。このせいろを器として使ったそばが「せいろそば」と呼ばれるようになりました。
一方、江戸っ子たちの間で、直接つゆをかけて食べる「ぶっかけそば」が流行した時に、それと区別するために、従来の、つゆにつけて食べるそばが「もりそば」と呼ばれるようになりました。
それでは、「ざるそば」はいつ頃誕生したのでしょうか。「ざるそば」を初めて出したのは、江戸・深川の「伊勢屋」であるとされています。竹ざるに盛ったそばが評判となり、真似をするそば屋も増え、江戸中に「ざるそば」が広まりました。さらに「ざるそば」には、「もりそば」よりも高級なそばとして、「ざるつゆ」という特別なつゆが作られ、海苔がかけられるようになりました。
現在では、ざるつゆを作るお店は少なくなり、高級そばの名残として、海苔だけが残った「ざるそば」を出すお店が多くなっています。「しかし、江戸に3000軒あったとされるそば屋の中で初めて、『ざるに盛ろう』と考えた洒落っ気に思いをはせると、いつも通りの『ざるそば』にも、江戸の粋を感じられるはずです」。
最近では「ざるそば」「もりそば」「せいろそば」の呼び名は、お店によってまちまちです。ざるに盛られた「せいろそば」もあれば、海苔がかかった「せいろそば」を「ざるせいろ」と称するお店も。「つじつまが合わないことを楽しむのが『粋』の一つだとすると、呼び名の定義はさておき、粋におそばを楽しみたいですね」。
ざるは一番だしもりは二番だしで出していたものを間違わないように海苔をかけたのがざるだと認識してます