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いじめ体験、子どもを守りたい 「こども六法」発売直後から話題に、著者の思いとは?

子どもに関係する法律を易しい言葉に言い換えて、分かりやすく解説した「こども六法」が出版され、大きな話題となっています。

「こども六法」を手にする山崎聡一郎さん
「こども六法」を手にする山崎聡一郎さん

 子どもたちがいじめや虐待から身を守れるように、関係する法律を易しい言葉に言い換えて、分かりやすく解説した「こども六法」(弘文堂)が8月20日、出版されました。著者は教育研究者の山崎聡一郎さん(25、東京都板橋区)。自身のいじめ体験も踏まえた本は出版前から話題となり、発売直後から売り切れる書店が続出。初版は1万部でしたが、発売初日に重版が決まりました。山崎さんに話を聞きました。

大人にも読んでほしい本

 山崎さんは埼玉県出身。小学5年のとき、いじめられていた同級生をかばったことをきっかけに自らもいじめの標的に。自殺も考えるほどの境遇から離れようと、私立中学へ進学し、学校の図書室で「六法全書」に出合いました。

 刑法の「傷害罪」「暴行罪」「侮辱罪」を読んで、「小学校時代、自分がやられていたことは法律違反だった」と知り、「六法を知っていれば、自分の身を守れたのでは」と大学時代、子どもに関係の深い法律を抜粋して分かりやすく表現し、すべての漢字に読み仮名を付けた「こども六法」を自費出版。それを大幅改訂し、本格的な書籍にしたのが今回の「こども六法」です。すべて読み仮名付きで、動物をモチーフにしたかわいらしいイラストも入っています。

Q.六法の中から、商法以外の憲法、刑法、民法、刑事訴訟法、民事訴訟法を紹介し、さらに、少年法といじめ防止対策推進法を入れた構成ですが、その狙いは。

山崎さん「子どもに関係の深い法律と条文に絞りました。『いじめ防止対策推進法』を入れたのは、いじめをなくしたいという思いがもちろんありますし、『大人は、いじめに対応する義務がある』ことを、子どもにも大人にも伝えるためです。いじめられている被害者が声を上げやすくなり、その訴えを大人がきちんと受け止める世の中になってほしいです。

少年法については大人の中でも誤解が多いので、きちんと知ってほしいという思いから、1章を設けて盛り込みました。少年も刑罰は大人と同じになる場合もあること、子どもだからといって無罪放免になるわけではないということを、きちんと知ってほしいと思います。もちろん、子どもたちに『子どもだからといって謝るだけでは許されない』と伝えるためでもあります」

Q.刑法の「保護責任者遺棄等」を取り上げた部分には、説明文とは別に要約として「子どもは生きるための世話をしてもらう権利がある」と掲げています。児童虐待の防止も意識していますか。

山崎さん「いじめ問題がきっかけの本なので『いじめ六法』と思う人もいるようですが、児童虐待も大きな問題です。この本では、子どもを取り巻くあらゆる問題を網羅したいと思いました」

Q.刑法の暴行罪で「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったとき」という部分を「人に乱暴な行いをしたけれども、相手にケガをさせなかった場合」とするなど、どの条文も分かりやすくなっています。表現などで留意した点は。

山崎さん「分かりやすさだけでなく、正確さも両立させることです。法教育の教材として学校で使ってほしいものなので、分かりやすく、かつ法律的に正確な内容ということが絶対の条件でした」

Q.複数の弁護士や大学教授が監修してくれたそうですね。

山崎さん「送った原稿が真っ赤になって返ってくることが多かったです(笑)丁寧に監修していただいた証拠ですが、分かりやすい表現を巡って、何度もやり取りすることがありました。正確を期してのことだとは承知していましたが、『これじゃ普通の六法全書に逆戻りしてしまう』と、再度表現を変えて校正をお願いすることもありました。

監修者が決まるまでには、実は何人もの先生方に監修を断られてしまった経緯があります。法律を平易な表現で『翻訳』するというのは、とても難しい作業です。今回、監修を引き受けてくださった先生たちは『いじめ問題を何とかしたい』という思いを共有してくださった人たちです。『感謝』の言葉しかありません」

イラストを盛り込んだ「こども六法」の一部

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