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生産性の高い人が実践しているタスクの「3分類」

やらなければならないことは増えているのに、人も時間も足りない。山積するタスクをどのように処理したらよいのでしょうか。

山積するタスクをどう処理する?
山積するタスクをどう処理する?

「やらなければならないことは増えているのに、時間がない」、それも「人手が足りない」「限られた時間で実施しなければならない」――。こんな悩みを抱えている人が増えています。働き方改革で「早く帰れ」と言われているのに仕事は一向に減らず、お盆休みを前に片付けねばならない仕事が集中する一方、仕事相手や取引先は夏休みを取り始めていて、思うように仕事がはかどらないという状況に直面しているのです。

 家事においても、子どもが夏休みに入ってやるべきことが増え、のんびりできるどころか忙しさが増している。「山積するタスクをどのようにこなせばよいのでしょうか。これでは、とても、職場でも家庭でも働き方改革は実現できません」。こんな声が鳴りやみません。いったいどうすれば、山積するタスクをスケジューリングして、効率よく成果を生み出すことができるのでしょうか。

まずは今日やらないことを排除する

スケジューリングの3つの切り口
スケジューリングの3つの切り口

 通常、1日では到底処理しきれないタスクをどのようにスケジューリングするか、という演習をしていて出される工夫例に、次のようなものがあります。

・類似業務は同じ時間帯で実施する
・同じ場所で行う業務は同じ時間帯で実施する
・相手の区分が同じ業務は近い時間帯で実施する

・同時にできることは同時に実施する
・並行してできることは同じ時間帯で実施する
・移動時間にできることはその時間帯で実施する

・顧客関連の業務に優先順位のメリハリを付けて実施する
・優先順位のスクリーニングをする
・実施する時間帯で優先順位を付ける

・同僚に依頼できることは依頼する
・上司に依頼できることは依頼する
・今日やらなくてもよい業務があれば、それは除外する

 しかし、工夫すべきことはたくさんあり、それを考えただけでも時間がかかってしまったり、こんがらがったりしてしまうものです。そこで、私は表に示した3つの切り口でスケジューリングすることをおすすめしています。

 大事なポイントは、1から順に実施するということです。このように申し上げても、無意識のうちに3から順に自分がアクションするものから選びがちですが、そうではなく、今日やらないことを選んで排除し、他の人に依頼できるものを選んで除き、残ったものに自分で取り組むという順にスケジューリングするのです。残ったタスクに集中できるので、成果が上がります。

 このように演習していると、「今日やらなくてもよいことを除外するということは、単なる先延ばしではないか」「結局、後で困ることになるのは自分ではないか」という質問が出ます。しかし、実際にこの方法でスケジューリングすることを何日か続けていると、「今日はUnder the Tableに振り分けられていたタスクが、数日後にはActionに残り、その後、Actionの中の最優先のタスクになる」ということを体験していただけると思います。

 また、「相手に依頼するということは、単なる仕事の押し付けではないか」という意見が出ることもあります。相手に依頼するだけでなく、相手から受ける仕事もあります。その仕事を実施する最適な人が担うということが実現しやすくなるわけです。

 生産性を上げている人が実施しているスケジューリング手法を分解してモデル化すると、この3つの切り口に行き着きます。試してみていただければ幸いです。

(モチベーションファクター代表取締役 山口博)

山口博(やまぐち・ひろし)

モチベーションファクター代表取締役

長野県上田市出身。慶応義塾大学法学部卒業。国内外金融・IT・製造企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て現職。モチベーションファクター(R)(意欲を高める要素)をてこにした分解スキル反復演習(R)型能力開発プログラムを開発、展開しているグローバルトレーニングトレーナー。横浜国立大学大学院非常勤講師。主な著書に「ビジネススキル急上昇日めくりドリル」(http://amzn.asia/d/cwWsVkE)、「チームを動かすファシリテーションのドリル」(単行本=http://amzn.asia/d/6ZPWVaC、新書=http://amzn.asia/d/hRTRrvn)、「99%の人が気づいていないビジネス力アップの基本100」(http://amzn.asia/d/8z6NmSl)。

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