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海外では学者も支持 「ポケモンGO」が“ひきこもり”の解決に有効って本当?

ひきこもりの人に「ポケモンGO」をやらせると、ひきこもりを脱することができるという意見があります。本当に効果があるのでしょうか。

ポケモンGOを楽しむ人たち(2016年11月、時事)
ポケモンGOを楽しむ人たち(2016年11月、時事)

 長期化、高齢化が指摘される「ひきこもり」問題の解決に向けて、行政やNPOなどの専門機関を中心に、さまざまな取り組みが行われています。それらは地道なものが多いのですが、ネット上では「『ポケモンGO』をやらせたら、ひきこもりから脱出できるのでは」という書き込みもあります。ゲームの活用というのは荒唐無稽な案に見えますが、海外では「外出する目的になり、ひきこもりの改善に有効」と主張する心理学者もいるそうです。

 ポケモンGOをはじめとする位置ゲームは、ひきこもりを脱する「特効薬」となるのでしょうか。YSこころのクリニック院長で精神科医の宮島賢也さんに聞きました。

ゲームで親子のコミュニケーションが増え…

Q.どのような状態が「ひきこもり」なのか、世の中の認識はさまざまなように思います。公式には、どのように定義されていますか。また、ひきこもりから脱するために、現在行われている手法はどのようなものですか。

宮島さん「『ひきこもり』は厚生労働省の定義によると、『仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに、6カ月以上続けて自宅にひきこもっている状態』を指し、日本でひきこもりの人がいる世帯は、推計32万といわれています。

脱する手法としては、精神保健福祉サービスでは、ひきこもりの人やその家族への電話、来所や訪問による相談、関連施設や医療への連携といった支援を行います。精神科や心療内科で統合失調症やうつ病、不安障害などと診断されると、一般的に薬物療法や精神療法といった治療を行います。精神保健福祉サービスでは、ひきこもりの人がいる家族の相談も受けていますが、改善するまでに長期間かかることが問題になっています」

Q.ポケモンGOは、屋外を歩き回ってアイテムを集めるゲームの特性から、ゲーム好きのひきこもりの人が外出するきっかけとなり、ひきこもりから抜け出せるという意見があります。

宮島さん「正しいと思います。『ポケモンGO』を親子で一緒に楽しむことで、ひきこもりの解消と親子関係の改善に成果をあげた事例があります。私の師事するカウンセリングの専門家が担当した事例ですが、ゲーム好きのひきこもりの子どもがいる母親に対し、『一緒にポケモンGOをやってみたら』と提案したそうです。

母親が子どもから『ポケモンGO』の遊び方を教わることで親子のコミュニケーションが増え、子どもはゲームを教えることで自己肯定感が生まれ、自信をつけました。そして一緒に『ポケモンGO』で遊ぶために外出し、やがて子どもは1人でも外に出て行くようになったそうです」

Q.ひきこもりの解消に取り組む医療関係者や専門機関の間では、「ポケモンGO」をはじめとする位置ゲームがひきこもりの解消に役立つとして、活用する機運は高まっているのですか。

宮島さん「残念ながら高まっていません。今の医療は保険点数で誘導されるところがあり、保険点数にカウントされないものは、医療現場で活用される機運が高まりにくいからです」

Q.ひきこもりの解消に有効だとしても、熱中し過ぎてゲーム依存になるなど、副作用の恐れはないでしょうか。

宮島さん「ないと言いたいところですが、確かに副作用の可能性はあります。ひきこもりの根本原因として、親子関係の問題が潜んでいる場合があります。その場合、親子の問題をそのままにしておくと、ひきこもりは解消してもゲーム依存に移行しやすくなってしまいます。親子関係の改善にも取り組む必要があります」

Q.では、ひきこもりの解消も視野に入れながら、親子関係を改善する方法とは。

宮島さん「ひきこもりのお子さんに直接アプローチするのではなく、まず親御さんの治療に取り組む方法があります。親子関係の問題について原因をたどっていくと、夫婦関係に行きつくケースが多いです。夫婦がパートナーに対して不満を持っていると、それが夫婦関係、さらには親子関係に影響します。

そこで、パートナーの悩みや苦しみを互いに理解し合い、パートナーの本来の姿を見いだすことに取り組んでもらいます。すると夫婦関係が改善し、さらに親子関係が改善、そして、ひきこもりの解消にもつながっていくことが期待できます」

(オトナンサー編集部)

宮島賢也(みやじま・けんや)

YSこころのクリニック院長、精神科医、精神保健指定医、産業医

防衛医大卒業後、研修医時代にうつ病の診断を受ける。紆余曲折を経て精神科医に。受診が終了しても再発する患者が多いことから、薬ではうつは治らないと感じて医者以外の方から学び、食事や考え方、コミュニケーションを変え、うつを克服する。「薬を使わない精神科医」と名乗り、成功哲学ベースの手法を発信。湯島清水坂クリニックで安保徹氏、福田稔氏の自律神経免疫療法で体の血行改善、温めの有効性を知り、生き方直しと一緒に提供して効果を実感。その後、YSメソッドに出会い、YSこころのクリニックでYSメソッドの治療を提供。単なるうつヌケだけでなく、本当の自分に出会い、愛と感謝と喜びの中に今日も生きる。著書に「薬を使わない精神科医の『うつ』が消えるノート」(青春出版社)、「自分の『うつ』を治した精神科医の方法」(河出書房新社)ほか多数。

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