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子どもにうつされた「風邪」は重症化しやすく、治りにくいって本当?

「子どもの風邪が親にうつると重症化しやすかったり、治りにくくなったりする」という声があります。本当なのでしょうか。

子どもの風邪が親にうつると重くなる?
子どもの風邪が親にうつると重くなる?

 保育園や幼稚園などで夏風邪が流行し始めています。中には「子どもが風邪をひいてから、自分も体調が悪くなった」という親や、子どもの後に風邪をひいて自分の方が症状が重くなったり、長引いたりする親もいるようです。子どもの風邪がうつると本当に重症化しやすかったり、治りにくくなったりするのでしょうか。医師の市原由美江さんに聞きました。

重症化する可能性はある

Q.「子どもが風邪をひくと、親も風邪をひきやすくなる」という声がありますが、事実でしょうか。

市原さん「子どもが風邪をひいたとき、一番近い距離で接している親にその風邪がうつることは不思議ではありません。一般的に、風邪は飛沫(ひまつ)感染するので、咳(せき)やくしゃみで飛散した唾液で感染するケースや、唾液や鼻水が付着した手で親を触って感染することが考えられます」

Q.家族内で親が先に風邪をひいた場合に比べ、子どもから「もらってしまった」と思われる風邪は、症状が重くなるように感じます。気のせいでしょうか、実際に重くなるのでしょうか。

市原さん「原因は、はっきりと分かってはいませんが、子どもからもらった風邪の方が症状が重くなる可能性はありますし、私自身の経験や周りの人の話からもそう思わざるを得ないケースが多いように感じます。

保育園や幼稚園、学校などでは多くの子どもが一緒に生活するので、風邪などの感染症が広がることが多いです。そして、風邪をひいた子どもが病院に行くと、抗生物質を処方されることが少なくないので、抗生物質の効きにくい耐性菌が出現し、それが親に感染することで、子どもよりも親の方が症状が重かったり、治りが悪かったりする可能性があります。

また、ヘルパンギーナ、手足口病、RSウイルス感染症など子どもに多い感染症の中には、大人が感染すると重症化するものがあります。『子どもの風邪がうつった』からと、病院を受診せずにこれらの感染症を風邪と誤認することで、『子どもからもらった風邪は症状が重い』という印象を持っているケースもあるのではないでしょうか」

Q.「子どもが生まれる前はめったに風邪をひかなかった」という人が、子どもが風邪をひいた後、重い風邪で苦しむケースがあるようです。親が風邪をひきにくい体質でも、子どもの風邪で感染リスクは上がるのでしょうか。

市原さん「個人差があるので何とも言えません。ただ、子どもが生まれれば、子どもと密接に関わる時間が長いことで感染する可能性は上がるでしょうし、育児による睡眠不足や過労によって免疫力が低下し、子どもが生まれる前よりも感染しやすくなる可能性は考えられます」

Q.子どもが風邪をひいたとき、親への感染を防ぐためにはどうすればよいのでしょうか。

市原さん「『子どもの咳やくしゃみからの感染を防ぐために親がマスクをする』『子どもが大きくてマスクができる年齢であればマスクをさせる』『タオルは別々のものを使い、共用しない』『こまめに手洗いをする』などを心がけましょう。

また、そもそも、子どもも親も風邪をひかないように、基本的なことですが『栄養バランスの良い食事』『十分な睡眠』『手洗いやうがいの徹底』(喉の乾燥防止のために)『部屋の湿度を適度に保つ』『適度な水分摂取』などに気を付けることが大切です」

(オトナンサー編集部)

市原由美江(いちはら・ゆみえ)

医師(内科・糖尿病専門医)

横浜鶴ヶ峰病院付属予防医療クリニック副院長。自身が11歳の時に1型糖尿病(年間10万人に約2人が発症)を発症したことをきっかけに糖尿病専門医に。病気のことを周囲に理解してもらえず苦しんだ子ども時代の経験から、1型糖尿病の正しい理解の普及・啓発のために患者会や企業での講演活動を行っている。また、医師と患者両方の立場から患者の気持ちに寄り添い、「病気を個性として前向きに付き合ってほしい」との思いで日々診療している。糖尿病専門医として、患者としての経験から、ダイエットや食事療法、糖質管理などの食に関する知識が豊富。1児の母として子育てをしながら仕事や家事をパワフルにこなしている。オフィシャルブログ(https://ameblo.jp/yumie6822/)。

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